サイコミュ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 07:48 UTC 版)
バリエーション
サイコ・ニュートライザー
OVA『GUNDAM EVOLVE../9 MSZ-006 Z-GUNDAM』に登場する、パイロットの思考や動作をダイレクトに機体の挙動に反映する新機軸のサイコミュ思考操縦システム[43]。開発はチャクラ研究所[44]。本システムにあわせ、搭載機であるレッド・ゼータのコクピットはリニア・シートが変形[44]して、操縦スティックやフットペダルが収納される構造となっている。更に敵機のサイコミュに干渉する能力も有しており、稼働時にはビーム・バリアが発生する現象もみられるなど既存のサイコミュにはない機能を有する反面、同調できるパイロットは限られる[44]。
サイコフレーム
劇場アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が初出。サイコミュの機能をもつ金属粒子サイズのコンピューター・チップを鋳込んだMSの構造材。
ナイトロ
ゲーム『機動戦士ガンダムUC』や漫画『機動戦士ガンダムU.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』などに登場するガンダムデルタカイなどに搭載されているサイコミュシステム。NT的な素養の低いパイロットでも、搭乗すると同等の空間認識能力を得ることができる。このシステムの恩恵により、オールドタイプの一般兵でもガンダムデルタカイに搭載されたサイコミュ兵器(フィン・ファンネル)を操作できる。これは、パイロットを強制的に強化人間化することでシステム側に言わば強引に最適化しているためであり、ナイトロシステムが発動するごとに搭乗者の脳内を強制的に書き換えている。短期間でパイロットのNT的素養の覚醒を促すことも可能だが、パイロットの性格が非常に攻撃的で不安定なものに変化していく危険性も孕んだ、諸刃のシステムでもある。本システムは、初期のサイコミュ・システムの欠陥であった「感応波の逆流現象」を応用したものではないかと推測されている。この仮説が正しいとするなら、パイロットはナイトロ・システムの起動するたびに自身の感応波に晒され、結果的に催眠法による「強化処置」と同等の効果が生じていた可能性が高い。人格崩壊を含む精神面でのリスクはあるにせよ、薬物を伴わない分、禁断症状に苦しめられることはないという利点もある[45]。なお、初期に開発された旧式のナイトロシステムでは、パイロットが燃え尽きる(廃人になる)という欠陥もみられる[46]。本来はグリプス戦役期の0087年に、サイコガンダムをよどみなく動かすためにティターンズで作られたシステムである[47]。使用時の特性として、機体各部の駆動部から青い炎のような光が噴き出すという外観上の性質がある。
インテンション・オートマチック・システム
『機動戦士ガンダムUC』に登場するサイコミュ思考操縦システム。「UC計画」によって誕生したユニコーンガンダムやシナンジュ[48][49][50]に搭載されており、特にユニコーンガンダムの場合は、ニュータイプとの戦闘時に発動する特殊オペレーティングシステム「NT-Dシステム(ニュータイプ・デストロイヤー・システム)」によって移行する[51]。これらの機体は全身の内部骨格にはパイロットの感応波に反応するサイコフレームが採用されている(フル・サイコフレーム)ため、パイロットの思考を機体にダイレクトに反応させるが、パイロット自身にも大きな負荷をかけてしまう[51]。そのため、限界活動時間は5分が限度とされている[51]。
パイロットへのG負荷を緩和するために、ユニコーンガンダムの専用パイロットスーツには「DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)[52][注 4]」と呼ばれる対G負荷用薬剤投与システムが搭載されており、パイロットに薬剤を投与することで体内の血液循環を活性化して、Gによる循環の停滞を抑える役割を持っている。このシステムによる機体とパイロットとの同期性の向上のために、専用のパイロットスーツのヘルメットには、内部フレームにサイコフレームが採用されており[53][注 4]、またΖガンダムのパイロットのヘルメットにも搭載されているバイオセンサーシステムも組み込んでいる[53][注 4]。このヘルメットの後頭部には「NT New type device」と記載され、専用の認識コードで管理されているとする資料もある[53][注 4]。
思考操縦システムとしての用途以外にも、ユニコーン1号機はフルアーマー装備で多数の銃火器を用いた際、サイコミュと連動した本システムがパイロットによる目標の探知と呼応し、ある程度は自動で照準を合わせ[54]、更に1号機のサイコフレームの発光が緑に変化したのちは、シールドに内装するサイコフレームが独自の推進力を発生させ、インテンション・オートマチック・システムと連動してビットのように挙動したという事例もある[55]。「袖付き」の巨大MAネオ・ジオングは、本システムを搭載するシナンジュをコア・ユニットとして中枢に据えることで、ネオ・ジオングが備える多数かつ大型のサイコミュ兵器の運用を、単独のパイロットによる操縦で実現している。[要出典]
ネオ・サイコミュ・システム
劇場アニメ『機動戦士ガンダムF91』に登場するMAラフレシアに搭載された、思考操縦システム。制御系にバイオ・コンピューターを使用している[56]。非人型の機動兵器(MA)の機動からオールレンジ攻撃端末であるテンタクラー・ロッド125基を含む豊富な武装を用いた攻撃行動に至るまですべての機体制御を思考のみで可能とする[57]。このためラフレシアのコックピットはリニアシートや操縦桿さえ有していない[57]。無論、ラフレシアのこのような制御は常人には不可能であり、機械的な強化を施されたカロッゾ・ロナと機体を光ファイバーで接続することで実現している[57]。
また、アナハイム・エレクトロニクスが開発したネオガンダム試作1号機にも、クロスボーン・バンガードから提供を受けたネオ・サイコミュ・システムが搭載されている(ただし、アナハイム・エレクトロニクスにとってはブラックボックス技術となっている)。本機のパイロットはパイロットスーツ頭部に電極のような機器を装着し、機体と接続をおこなう。
注釈
- ^ アルレット・アルマージュのように、NTだが(強い感応波を発せられるが)サイコミュには対応できない者もいる。
- ^ ただし、ジオングの前身として開発されたサイコミュ試験用ザクは、通常MSサイズでサイコミュの搭載を実現している。
- ^ 経緯はエルメス (ガンダムシリーズ)を参照。
- ^ a b c d 『モビルスーツアーカイブ RX-0 ユニコーンガンダム』の奥付には“本書は「公式設定」ではなく、ガンダムシリーズに登場する「RX-0 ユニコーン」について書かれた歴史的・技術研究書であり、作中のエピソード後に「作中世界の中で刊行された書籍」という設定に基づいて執筆されているため、作中・関連作品などと異なる設定解釈が含まれる場合がありますがご了承ください。”といった旨の注記がある。
出典
- ^ a b c F91 オフィシャルエディション, p. 60.
- ^ a b c d e f g h i j k l 宇宙世紀ボックス PART.8, p. 38.
- ^ ガンダム辞典 Ver,1,5, p. 64.
- ^ a b c 小説『Vガンダム(5)』, p. 249.
- ^ 小説『逆襲のシャア(中篇)』, p. 83.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.13, p. 28.
- ^ a b c d e f g 小説『逆襲のシャア(中篇)』, p. 86.
- ^ a b c d 宇宙世紀ボックス PART.13, p. 29.
- ^ a b 小説『Vガンダム(5)』, p. 69.
- ^ 小説『Vガンダム(5)』, p. 351.
- ^ 小説『逆襲のシャア(後篇)』, p. 250.
- ^ 劇場用アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
- ^ 小説『Vガンダム(5)』, p. 114.
- ^ a b 小説『Vガンダム(5)』, p. 169.
- ^ a b 小説『Vガンダム(5)』, p. 284.
- ^ 小説『Vガンダム(5)』, p. 305.
- ^ 劇場アニメ『機動戦士ガンダムNT』
- ^ a b 宇宙世紀ボックス PART.2, p. 40.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.3, p. 36.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.3, p. 38.
- ^ a b c 宇宙世紀ボックス PART.2, p. 46.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.2, p. 76.
- ^ a b 小説『逆襲のシャア(中篇)』, p. 87.
- ^ ニュータイプ100%コレクション23, p. 97.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.10, p. 37.
- ^ 機動戦士Vガンダム MECHANIC ザンネック
- ^ a b 週刊MSバイブル146 2022, p. 5-7.
- ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 57.
- ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 43.
- ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 33-34.
- ^ a b c d e f g h 逆襲のシャア シネマブック, p. 58.
- ^ ガンダム辞典 Ver,1,5, p. 272.
- ^ ガンダム宇宙世紀メモリアル, p. 31.
- ^ a b c アニメ『機動戦士Ζガンダム』第49話「生命散って」
- ^ a b c d アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』第47話「戦士、再び……」
- ^ a b c アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』第36話「重力下のプルツー」
- ^ 小説『Ζガンダム 第五部』, p. 301.
- ^ アニメ『機動戦士Ζガンダム』第50話「宇宙を駆ける」
- ^ a b c d e 週刊MSバイブル17 2019, pp. 22–27.
- ^ 『マスターピース ダブルゼータガンダム』ソフトバンク クリエイティブ、2009年3月、59頁。(ISBN 978-4797352856)
- ^ ガンダムエース04 2023, p. 368-369, 「月刊モビルマシーン縮刷版07」.
- ^ ガンダムエース03 2023, p. 356-357, 「月刊モビルマシーン縮刷版06」.
- ^ 週刊MSバイブル143 2022, p. 5.
- ^ a b c 週刊MSバイブル143 2022, p. 7.
- ^ モビルスーツアーカイブ MSN-06S シナンジュ, p. 122.
- ^ 漫画『アクロス・ザ・スカイ 4』, p. 19.
- ^ 漫画『アクロス・ザ・スカイ 4』, p. 146-147 P158-159.
- ^ プラモデル「シナンジュ」組立説明書, 1/144スケールモデル RG, バンダイ
- ^ プラモデル「シナンジュ」組立説明書, 1/100スケールモデル MG, バンダイ
- ^ PlayStation 3専用ゲーム『機動戦士ガンダムUC』「エピソード0:戦後の戦争」より。
- ^ a b c DCUC 2014, pp. 4–5.
- ^ モビルスーツアーカイブ RX-0 ユニコーンガンダム, p. 42.
- ^ a b c モビルスーツアーカイブ RX-0 ユニコーンガンダム, p. 43.
- ^ 機動戦士ガンダムUC カトキハジメ メカニカルアーカイブス, p. 149.
- ^ MSバイブル3号 2019, pp. 10–11.
- ^ F91フィルムコミック, p. 275.
- ^ a b c MSバイブル39 2020, pp. 10–11.
- ^ ニュータイプ伝説ぴあ 2021, p. 96.
- ^ a b c 小説ガンダムUC9 2009, p. 127-128.
- ^ MGバンシィ 2012, p. 13.
- ^ 小説ガンダムUC4 2008, p. 240-244.
- ^ 小説ガンダムUC6 2008, p. 300.
- ^ a b ニュータイプ伝説ぴあ 2021, p. 79.
- ^ 小説『機動戦士ガンダムNT』, p. 58-59.
- ^ 週刊MSバイブル63 2020, pp. 8–9.
- ^ 小説『機動戦士ガンダムNT』, p. 171-172,174,216.
- ^ カトキハジメ「機動戦士ガンダムNT カトキハジメ メカニカルアーカイブス Vol.2」『ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年3月、20-23頁、JAN 4910124010396。
- ^ a b 機動新世紀ガンダムX 公式モビルスーツカタログ, p. 72,77.
- ^ a b パーフェクト・ファイル106 2013, p. 32
- サイコミュのページへのリンク