サイコミュ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 00:33 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動概要
正式名称はサイコ・コミュニケーター (Psyco Communicator) [1]。サイコミュとは、サイコ・コミュニケーションシステムの略称である[2]。ミノフスキー粒子の震動を受信、増幅し、ニュータイプ(以下NT)の意志をそのまま機械に伝える[3]、脳波コントロール・システム[4]。または、脳波を増幅して発信する装置[5]やNTの脳から検出される感応波をコンピュータ言語に翻訳する脳波制御システムなどと言われる[1]。一年戦争時に、ジオン公国のフラナガン博士が指揮を執るフラナガン機関において、ミノフスキー粒子の干渉を受けない兵器の誘導用の通信方法として思考波による通信(サイコ・コミュニケーション)の概念が提示され、開発が進められた[6]。サイコミュの原型は、ジオン軍のエルメス・タイプから現れ、このようなサイコ・タイプのモビルスーツが出現した頃から、サイコミュの技術は多少知られるようになっていった[7]。本装置を操作するには、パイロットに高いNT能力が求められる[8][注釈 1]。開発された当初は、パイロットへの負担が大きく、ガンダムタイプのMSへ積極的に採用されるのは、U.C.0093のνガンダムまで持ち越されることになった[2]。
原理
ミノフスキー粒子が散布された空間において、電子通信に起こる一定の規則性を持った変調を利用した、ミノフスキー粒子を媒体にする(と考えられる)通信。技術的には、被験者の感応波を増幅し、コンピュータ言語に翻訳する事で通信が可能となっている。ただし通信のソースとなる信号は“思考波”である必要があるので、会話を成立させるのは困難で、“意志”および“知覚”を伝播する機能に限定される(メカニズム的に、思考波が空間を伝播するのか、装置間の共鳴作用なのかは解明されていない)[8]。サイコミュは、戦場でより突出して発現する人の意識により作動する[7]。感知した意思を増幅し発振させ、ミノフスキー粒子下であっても、電波で誘導するようにミサイルを誘導する[7]。
機能
- サイコミュ兵器の制御
- ビットやファンネルといった複数の攻撃端末を遠隔で操作し、離れた複数の敵に攻撃が可能となる[2]。また近接戦闘においても敵の背後など想定外の方向からのオールレンジ攻撃が可能となる。
- サイコミュにより、攻撃端末の照準調整やトリガー操作など、フィードバックを含む相互通信が可能となる[8]。つまりパイロットは、端末が捕らえた情報を、自分の知覚として捕らえる事が可能となる[8]。
- 気や意志の感知
- サイコミュを通してパイロットは、気[9]や人の意志を知覚することが出来る[10]。
- ザンネックに乗っていたファラ・グリフォンは、身体に付けた鈴をコネクターにして、サイコミュで感知した“気”を知覚域に繋げていた[9]。
- 反応速度・動作の円滑性の向上
- サイコミュは操縦者の意志をダイレクトにマシンに伝達する事によって、機体の反応速度と動作の円滑性に飛躍的な向上をもたらす[1]。
- 魂の集積・物理的エネルギーへの転化仮説
- サイコミュは、一種のエネルギー体である死者の魂を集め、物理的なエネルギーに転換しモビルスーツに作用させる“のではないか?”、という仮説が立てられている[11]。
- 共振現象
- サイコミュは、サイコミュ同士[12]、または感応波などに共振する事象が見られる。
- クェス・パラヤはα・アジールのサイコミュが、νガンダムのサイコミュに引っ張られる事を利用し追撃を試みた[13]。
- ザンネックのサイコミュがエンジェル・ハイロゥの波動と共振し、ファラが消極的になっていたと考えられていた[14]。
- 意志の強化
- サイコミュはパイロットの意志を強化する。その影響が大きいため、サイコミュ開発はその都度中止され、対応するために意志強化を施されたパイロット「強化人間」が養成された事もあった[4]。
- 洗脳効果
- サイコミュには、他者の思考を自分の物にする機能がある[15]。
- サイコミュ要塞であるエンジェル・ハイロゥは増幅されたサイコ・ウェーブを放射し、平和の祈願を人に強制する事で、人々に催眠効果を発揮した[15]。
- 発光現象
- サイコミュの延長線上にある装置のバイオセンサーやサイコ・フレームなどを搭載した機体から発光現象が確認されている。
- 構造体に軽量複合材が使用されているエンジェル・ハイロゥは、発光するような性能など無いにも関わらず[16]、シャクティ・カリンと数万人のサイキッカー達と思念を共振させると[17]、リング部分が[17]、黄金の光と青白い光を強く発光した[16]。
注釈
- ^ アルレット・アルマージュのように、ニュータイプだが(強い感応波を発せられるが)サイコミュには対応出来ない者もいる。
出典
- ^ a b c F91 オフィシャルエディション, p. 60.
- ^ a b c d e f g h i j k l 宇宙世紀ボックス PART.8, p. 38.
- ^ ガンダム辞典 Ver,1,5, p. 64.
- ^ a b c 小説『Vガンダム(5)』, p. 249.
- ^ 小説『逆襲のシャア(中篇)』, p. 83.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.13, p. 28.
- ^ a b c d e f g 小説『逆襲のシャア(中篇)』, p. 86.
- ^ a b c d 宇宙世紀ボックス PART.13, p. 29.
- ^ a b 小説『Vガンダム(5)』, p. 69.
- ^ 小説『Vガンダム(5)』, p. 351.
- ^ 劇場アニメ『機動戦士ガンダムNT』
- ^ 小説『逆襲のシャア(後篇)』, p. 250.
- ^ 劇場用アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
- ^ 小説『Vガンダム(5)』, p. 114.
- ^ a b 小説『Vガンダム(5)』, p. 169.
- ^ a b 小説『Vガンダム(5)』, p. 284.
- ^ a b 小説『Vガンダム(5)』, p. 305.
- ^ a b 宇宙世紀ボックス PART.2, p. 40.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.3, p. 36.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.3, p. 38.
- ^ a b c 宇宙世紀ボックス PART.2, p. 46.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.2, p. 76.
- ^ a b 小説『逆襲のシャア(中篇)』, p. 87.
- ^ ニュータイプ100%コレクション23, p. 97.
- ^ 宇宙世紀ボックス PART.10, p. 37.
- ^ 機動戦士Vガンダム MECHANIC ザンネック
- ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 57.
- ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 43.
- ^ 小説『ガイア・ギア3』, p. 33-34.
- ^ a b c d e f g h i 逆襲のシャア シネマブック, p. 58.
- ^ ガンダム辞典 Ver,1,5, p. 272.
- ^ ガンダム宇宙世紀メモリアル, p. 31.
- ^ a b c アニメ『機動戦士Ζガンダム』第49話「生命散って」
- ^ a b c d アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』第47話「戦士、再び……」
- ^ a b c アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』第36話「重力下のプルツー」
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- ^ カトキハジメ「機動戦士ガンダムNT カトキハジメ メカニカルアーカイブス Vol.2」『ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年3月、 20-23頁、 JAN 4910124010396。
- ^ a b 機動新世紀ガンダムX 公式モビルスーツカタログ, p. 72,77.
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