カトマンズ 歴史

カトマンズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/23 09:54 UTC 版)

歴史

5世紀の仏教建築と言われるボダナート

古代より、現在のネワール族の祖先であろうと思われる非インド・アーリヤ先住民[† 1]がこの地で生活をしてきていたが、4世紀の後半にはインド・アーリア系のリッチャヴィ朝カトマンズ盆地を征服しネパール(ネーパーラ)王国を興した[8]。リッチャヴィ朝は商業振興を図り都市経営を進めたが、王朝の衰退とともにカトマンズも衰退した[8]

デーヴァ朝・マッラ朝時代はバクタプルがカトマンズ盆地の中心地であったが、世襲的な行政者がいたことから、都市機能は残っていた[9]1328年にはマッラ王族のアーディティヤ・マッラによって焼き払われた[9]。 その後13世紀初頭ころから、それまでのデーヴァ王族に代わりマッラ王族が台頭しはじめ、15世紀にはヤクシャ・マッラ王の死後、長男ラーヤ・マッラ王が統治するバクタプルから二男のラトナ・マッラが独立し、カトマンズ・マッラ朝を開く。17世紀にはカトマンズ・マッラ朝から独立したシッディナラシンハ・マッラパタンパタン・マッラ朝をひらいた。こうして中世後期にはカトマンズ近辺でマッラ朝の3つの王国(カトマンズ、パタン、バクタプル)がこの地を治めていた。

カトマンズは16世紀後半にネワール文化の黄金時代を迎え、ハヌマン・ドーカ宮殿内のタレージュ寺院やハヌマン像などの建物、神像が建立された[9]

1768年ゴルカ王のプリトビ・ナラヤン・シャハが三王国を倒し、カトマンズを首都として定めた(ゴルカ朝)。翌1769年ネパールを統一すると、ゴルカ朝は戦勝記念として、ハヌマンドーカ宮殿内にバサンタプル・バワンを建てた。なお、ネパール統一までは、「ネパール」というと「カトマンズ」を指していた。

ラナ宰相の支配時代にラナ一族はカトマンズ市街地に「ラナ・パレス」と呼ばれる大邸宅を建て、また従者の住宅地とともに市街を北東に拡大した[10]1934年にはビハール・ネパール地震に襲われ、カトマンズの建物の多くが損壊した[10]

王政復古・開国後は人口が1961年からの30年間で3倍に増加し、スラムの増加や旧市街地の景観的不調和などの問題も発生している[10]。また急速に都市化が進む中で、建築遺構の崩壊も進んでいる[11]


注釈

  1. ^ キラータと呼ばれる山岳民族説とネワール族の原族であるという説がある

出典

  1. ^ Nepal/Cities & Municipalities”. Citypopulation.de (2022年2月11日). 2022年2月25日閲覧。
  2. ^ 盆地全域に数百mの厚さの湖や河川堆積物があり、市内におけるボーリングデータでは地表から少なくとも深さ20mまでは特に軟弱な地層がある。ネパールでは1833年と1934年に100年の間隔で大きな地震が発生し、過去数百年にわたる巨大地震の空白域がカトマンズの周辺とその西部地域にある。これらから近い将来の大地震被害が心配されている。
  3. ^ 中部ヒマラヤ巨大地震とカトマンズの危機ゴンドワナ地質環境研究所
  4. ^ Visit Nepal '98公式サイト - カトマンズ(KATHMANDU)
  5. ^ a b c d e f g h i 地球の歩き方 ネパール'96-'97』(ダイヤモンド社
  6. ^ 外務省“ネパールに対する無償資金協力(カトマンズ-バクタプール間道路改修計画)に関する書簡の交換について”平成20年7月17日
  7. ^ DTACネパール観光情報局
  8. ^ a b エリア・スタディーズ(2000):33
  9. ^ a b c エリア・スタディーズ(2000):34
  10. ^ a b c エリア・スタディーズ(2000):35
  11. ^ エリア・スタディーズ(2000):41
  12. ^ 2008年度大学入試センター試験 第4問 問2
  13. ^ NORMALS FROM 1981-2010”. Department of Hydrology and Meteorology (Nepal). 2012年10月14日閲覧。
  14. ^ World Weather Information Service – Kathmandu”. UN (2011年6月). 2010年5月1日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g 『地球の歩き方』ネパール2007-2008版 P33






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