オーロラ (歌手)
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音楽性
ジャンルはエレクトロ・ポップに分類されることが多いほか[2]、フォークとの関連もしばしば指摘される。ファースト・アルバムについて、Tinkham (2016) は、ほとんどの曲の旋律や構造はフォークを土台としており、それをエレクトロニックな感触が装飾していると述べ、Levine (2016) は、讃歌的なポップ・ソングとフォーク的な素材の曲が含まれており、両者がブレンドされていると評した。Williams (2022) は夢のようなフォーク・ポップの編曲と軽快なボーカルを暗く——不穏とさえいえる——叙情性と組み合わせる能力
がオーロラの音楽の魔法
なのだと述べている。Studarus (2019) は、逃避感
のある巧妙に(slickly)プロデュースされたポップス
であると記述し、Trendell (2022) は本当の主流になることはけっしてありえない素敵な奇妙さ(weirdness)を保ちながら、大衆への訴求力をしばしば示して
いるとオーロラを評価する。
神秘的に冷たく透きとおり高く純粋に響き渡るボーカルは[38][65][12][66][14]、天衣無縫であるとも[12]、穏やかな信念が染み込んでいる
[66]ともされ、そのテクニックやハーモニーはポップ・ミュージックとしては異例なほどに多様である[67][68]。シンセサイザーとドラム、キーボードのメロディーを特徴とする[2]サウンドは、ポップかつダーク[12]、エレクトロニックかつオーケストラル[69]であると評される。Pareles (2016) はケルト音楽やアジア音楽を想起させるとしており、『ステップ2』においては民族的な打楽器も用いられている[67]。
歌詞については、Tinkham (2016) が哀愁を帯びたロマンティシズム
と評したほか、村上 & 大原 (2022:2) は一見ファンタジー映画のよう
でありながらその奥には社会や世界情勢、権力などに対する洞察や、人類を俯瞰するかのような批判の目が宿っている
と述べており、後述するように「怒り」などの感情を表すものや、政治やセクシャリティー、死を主題とするものが多い。音楽と政治との関係については次のように語っている[48]。
みんな、とくにポップ・ミュージックにおいては、政治的であることをとても怖がっています。〔……〕だからこそ私は、良質かつ知的で感情的なポップ・ミュージックを、ちゃんとみんなに届いて、なにか大切なことを伝えてくれて、そして自分たちが本当は気にしていない取るに足らないあれやこれや以外のなにかを思い出させてくれるような、そういうポップ・ミュージックを作りたいんです。
自らの曲については、自分自身の経験というよりも世界の経験についての物語
であるとも語っている[70]。また、母語であるノルウェー語ではなく英語で歌詞を書く理由は、自分の言葉を伝える先をノルウェー語を理解する人だけに留めたくなかったからだと述べている[35]。なお、「フォーガトゥン・ラブ[* 19]」においては、セカンド・コーラスにオリジナル言語を使用しており、それはオーロラの感情を反映したものであるという[35]。
そのほか、O’Flynn (2018) は暗い叙情性と陽気な性格
とオーロラを紹介し、J. Bray (2018) はオーロラのプロデューサーとしての能力を高く評価している。
他のミュージシャンとの影響関係など
幼少時はレナード・コーエン、ボブ・ディラン、エンヤ、アーネ・ブルン、後に客演することになるケミカル・ブラザーズを聴いていたほか[71][21][72]、3歳のころには『タイタニック』の主題歌であるセリーヌ・ディオンの「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」を歌っていたという[4]。自身のヒーロとしてはディランとコーエンを挙げている[73][1]。2019年のインタビューにおいては、ラジオもテレビもないところで育ったため、ビヨンセを知ったのも6年前であると語っている[74]。
オーロラは、他のことをしているときは雑音になるため、あまり音楽を聴くのは好きではないが、より雑音の酷い鉄道や空港においては音楽を好んで聴くという[38]。2018年のインタビューにおいてはエンヤとアンダーワールドとコーエンを[38]、2019年のインタビューにおいては、エンヤ、ケミカル・ブラザーズ、コーエンおよびヘビー・メタルをもっぱら聴く音楽として挙げている[13]。また、同時期の別のインタビューにおいてはエンヤだけが好きなアーティスト
であると述べている[75]。ヘビー・メタルについては、自身にとってプリミティブであり、その外向性や算術性、複雑性と本能性、ジャズにも通じるパーカッシブな部分が好きであると語っている[69]。クラシック音楽への嗜好もあり、エドヴァルド・グリーグの「朝の気分」(『ペール・ギュント』)を好きな曲として挙げている[4]。
レビューにおいては、ディランやコーエンからの影響が指摘され[31]、その他、ビョークや リッキ・リーといった北欧の歌手、オブ・モンスターズ・アンド・メンやシーア、 ロードといったフォーク・ポップの巨人、あるいはフローレンス・ウェルチとも比較されている[21][66][76]。
初期にオーロラについて言及したアーティストとしては、ケイティ・ペリーとジェイデン・スミスが挙げられる[25][30]。また前述のとおり、ビリー・アイリッシュは、十二歳ごろにオーロラの「ラナウェイ[* 3]」に影響を受け、歌手を目指すようになったと発言している[27][28]。カバーしたことのあるアーティストしては、デヴィッド・ボウイ、コーエン、オアシスなどが挙げられる[21][35]。また、「イン・ボトルズ[* 20]」ではケルシュと、「エヴリシング・マターズ[* 21]」ではポムとコラボレートしている[3][78]。
- ^ 2人は後に服飾デザイナーとメイクアップ・アーティストになり、オーロラともコラボレートしている[2]。
- ^ 2016年のインタビューにおいては、ダンサーや画家、あるいは宇宙飛行士になっていたかもしれないとも語っている[10]。
- ^ ノルウェーの教育制度は6歳からの7-3-3制で、新学期は8月から始まる(1997年以降2019年現在)[29]。
- ^ a b c d 本記事においては、『インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1)』を『ステップ1』、『ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2)』を『ステップ2』と略す。なお、日本国内盤は『ステップ1』と『ステップ2』をまとめボーナス・トラックを追加した『インフェクションズ・オブ・ア・ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン』として2020年9月に発売されている[42][43]。
- ^ 2020年3月には同曲のソロ・バージョンも発表している[55]
- ^ この反響は、#RunwayAuroraのハッシュ・タグを用いて星空や夕日を背景にポーズを決めた動画を投稿するシルエット・チャレンジと呼ばれるバイラルに発展した[58]。
- ^ 2021年現在も日本語の勉強は続けていると述べている[80]。
- ^ オーロラは、「ファン」という表現が好きではないというWeiß (2019) の言葉に同意し、「サポーター」という表現を代わりに使うことを提案している。また2019年のインタビューにおいても、「サポーター」という表現を用いている[48]。
- ^ 2016年にはファンを念頭において作った「ウォーリアー」という曲を発表している[19][83]。
- ^ エド・シモンズらと連名[51]。
- ^ ほか3名との共作[94]。
- ^ ほか2名との共作[96]。
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