オオクチバス オオクチバスの概要

オオクチバス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 09:03 UTC 版)

オオクチバス
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: サンフィッシュ科 Centrarchidae
: オオクチバス属 Micropterus
: オオクチバス M. nigricans
学名
Micropterus nigricans
Cuvier1828[1]
和名
オオクチバス(大口バス)
ラージマウスバス
ブラックバス
英名
Largemouth bass

1925年神奈川県芦ノ湖で初めて放流された。以降徐々に分布が拡大し、コクチバス同様問題となっている。全国で増えることを心配して、オオクチバスなどほかの魚を別水系の川で再放流することを、禁止する自治体が増えている。

名称

学名

属名Micropterusは「小さな尾」の意であるが、これは初めて捕獲された本属魚類の個体の尾鰭が負傷欠損によって小さかったために、誤ってその特徴が名付けられてしまったものである[3]

日本

英名を直訳した「オオクチバス」が標準和名である。由来はコクチバスに比べ口が大きいことから。コクチバス M. dolomieuフロリダバス(フロリダ・ラージマウスバス)M. salmoides などと共に、通称「ブラックバス」と呼ばれることが多い。コクチバスよりも釣魚としての認知の浸透、普及が半世紀以上先行して定着している[3]ため、本種の別名として「ブラックバス」が使用される場合も多く、図鑑等における紹介でもしばしば「ブラックバス(オオクチバス)」と記述される[4]。これはちょうどカムルチーが「ライギョ」と記される場合が少なくないのと同じである。略して単に「バス」と呼ばれることもある[要出典]

一方移入当初、商業漁獲対象魚としての観点からオオクチクロマス[3]とも呼ばれたが、サケ科のマス類と混同されるためにこの呼称は現在では使用されていない。

アメリカ/カナダ

標準英名で呼ばれる。由来は和名に同じ。その他、釣魚としては背面の色彩に着目してコクチバスと区別したGreen backという呼び名がある[5]。また、食用魚としてGreen bassという名で流通[6]もしている。

中国

大口黒鱸と呼ばれる。

形態

頭部

成魚は全長最大60cmに達するが、最大でジョージア州のジョージ・ペリーが釣り上げた全長97.0cm・体重10.09kg・年齢23歳の記録がある。日本でも2009年7月2日に琵琶湖で栗田学によって全長73.5cm、体重10.12kgの世界記録タイ(IGFAオールタックル世界記録では体重で大きさが決まるため)がブルーギルを餌にして捕獲されている[要出典]

体型は側偏した紡錘形。成長し亜成魚以降になると頭部後方から背鰭前方で背面が山なりに盛り上がる。上顎よりも下顎が前方に突き出る。

外部形態上のコクチバスとの代表的識別点として、口角が眼の後端を越える[7]。しかし、幼魚は口角が眼の後端に達しない個体も少なくない。また、口吻はコクチバスのほうがオオクチバスよりも相対的にやや長く鋭角的に突出し、オオクチバスはより寸の詰まったずんぐりした顔をしている。このため、側面からの見た目上の口のサイズは両種間にそれほど大きな差があるわけではない。しかしオオクチバスはコクチバスよりも側偏が弱いために体幅が大きく、そのぶん頭部の幅と口の開口面積も大きくなっている。

背鰭は前後で第1、第2背鰭に分かれ、第1背鰭のほうが小さい。尾鰭後縁は黒く縁取られる。

背面側の体色は緑がかった褐色、腹面側は白っぽい。体側中央をやや太くいびつな帯が一条走る。尾びれの後縁には黒い縁取りがある。ただこれらは個体の体調や置かれた環境により不明瞭な場合も少なくない。


  1. ^ a b シノニム・学名の変更 日本魚類学会 2023年1月5日更新 2023年1月23日閲覧
  2. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2006). "Micropterus salmoides" in FishBase. April 2006 version.
  3. ^ a b c 赤星鉄馬 『ブラックバッス』 イーハトーヴ出版、1996年6月。[要ページ番号]
  4. ^ 神戸市:須磨海浜水族園 「ブラックバスを釣ってきて、入園料がタダ!!」”. 神戸市. 2015年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
  5. ^ Largemouth Bass”. 2017年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
  6. ^ Green bass[1][出典無効]
  7. ^ 特定外来生物の解説 オオクチバス 環境省
  8. ^ 杉山秀樹、神宮字寛、ため池における外来魚・オオクチバスの影響と駆除 農業土木学会誌 2005年 73巻 9号 p.797-800,a1, doi:10.11408/jjsidre1965.73.9_797
  9. ^ a b c 高村健二「日本産ブラックバスにおけるミトコンドリアDNAハプロタイプの分布」(PDF)『魚類学雑誌』第52巻第2号、2005年、107-114頁、doi:10.11369/jji1950.52.1072012年5月7日閲覧 
  10. ^ a b c d e f g 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 [要ページ番号]
  11. ^ 嶋津信彦 、「【原著論文】沖縄島比謝川に侵入したオオクチバスの生態学的研究」 『人と自然』 2008年 19巻 p 35-41, doi:10.24713/hitotoshizen.19.0_35, 兵庫県立人と自然の博物館
  12. ^ 青木大輔・中山祐一郎・林 正人・岩崎魚成「琵琶湖におけるオオクチバスフロリダ半島産亜種(Micropterus salmoides floridanus)のミトコンドリアDNA調節領域の多様性と導入起源」『保全生態学研究』第11巻第1号、2006年、53-60頁、doi:10.18960/hozen.11.1_53 
  13. ^ 北野聡, 武居薫, 川之辺素一, 上島剛「長野県内で確認されたオオクチバス及びコクチバスのミトコンドリアDNAハプロタイプ」『長野県環境保全研究所研究報告』第4巻、2008年、75-78頁。 
  14. ^ 中野晃生・西原昇吾「オオクチバス Micropterus salmoides に摂食されたヒミズ Urotrichus talpoides」『哺乳類科学』第45巻第2号、2005年。 
  15. ^ 嶋田哲郎・藤本泰文「オオクチバスによる小鳥の捕食」(PDF)『Bird Research』第5巻、2009年、7-9頁、2012年5月7日閲覧 
  16. ^ 村上興正・鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編著)『外来種ハンドブック』地人書館、2002年9月30日。ISBN 4-8052-0706-X [要ページ番号]
  17. ^ a b c d e 瀬能 宏「外来生物法はブラックバス問題を解決できるのか?」『哺乳類科学』第46巻第1号、2006年、103-109頁、2012年5月7日閲覧 
  18. ^ a b オオクチバス 国立環境研究所 侵入生物DB
  19. ^ 神奈川県内水面漁業調整規則第30条の2”. 神奈川県. 2007年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
  20. ^ a b 高橋清孝「オオクチバスMicropterus salmonides駆除の技術開発と実践」『日本水産学会誌』第71巻第3号、2005年、402-405頁、NAID 110003161621 
  21. ^ a b 種生物学会『外来生物の生態学 進化する脅威とその対策』文一総合出版、2010年3月31日。ISBN 978-4-8299-1080-1 [要ページ番号]
  22. ^ 全国ブラックバス防除市民ネットワーク”. 2018年12月24日閲覧。
  23. ^ a b ブラックバスをおいしく料理するには? 釣って食べる「健啖隊」に聞く - エキサイトニュース(1/3)”. 2018年12月24日閲覧。
  24. ^ 日本顎口虫(がっこうちゅう)症 愛知県衛生研究所
  25. ^ Q&A;(よくある質問) - 埼玉県ホームページ”. 埼玉県. 2014年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。


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