エラブウミヘビ 毒性

エラブウミヘビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 15:58 UTC 版)

毒性

本種の毒はエラブトキシンと呼ばれる神経毒の一種[5]で、その毒はハブの70-80倍の強さと言われる。しかし、本種の性質は非常に大人しく口も小さいため、噛まれる可能性は少ないが、捕らえようとすると噛んでくることも考えられるので、無闇に触ったり近付いたりしない方がよい。沖縄では燻製のための食材として捕獲する折、素手で捕獲されることが多い[5][6]が、毒性は強く、噛まれれば最悪の場合死亡する危険性もある[5]。噛まれた際の死亡率は61.5%、LD50は0.21mg/kg[7]

生態

主に水深20メートル以内の、サンゴ礁のある海洋に生息する[2]。昼夜共に活動するが[5]、昼間は海岸の岩場の隙間などで休んでいることが多く、活動時間はほぼ夜間である[6]。休息の為に洞穴に上陸することもある[5]

主にウツボ類・ギンポ類・スズメダイ類・ハゼ類・ベラ類などの魚類を食べた例があるが、十脚類を食べた例もある[2]。体内の塩分調整のために淡水か汽水を飲まなければならず、淡水の流入する岩場や洞窟で飲水する[3]

繁殖様式は卵生。繁殖期にオスも上陸し、陸上で交尾を行うこともある[2]。例として石垣島で4 - 7月、宮古島で5 - 8月、久高島では8 - 12月に、産卵のために上陸する[2]。海岸の洞窟内で海水面よりも上にある岩の割れ目や穴などに、1回に1 - 10個の卵を産む[3]。海岸の岩場の陰などに、一度に3-8個の卵を産む。飼育下では、卵が137 - 159日で孵化した例がある[2][3]。卵は150日程で孵化する。一説には、交尾も陸上で行うとも言われる。このように、本種の生活環には、陸上での行動が多く含まれるため、他のウミヘビに比べると、ずっと後になって海で生活するようになったと考えられている。産卵期には大量の個体が一箇所に密集して上陸している姿も確認されている[5]

人間との関係

フィリピンでは皮革用と食用の乱獲により、生息数が減少した[1]。地球温暖化による海水面の上昇による産卵場所の消失や、サンゴ礁の白化などによる減少に伴う生息地およびそこに生息する獲物の減少による影響が懸念されている[1]

日本
方言名として沖縄県広域ではイラブーやエラブウナギ、石垣島ではエラバー、久高島ではソーイラブー・マームン・ソームン(オス)・ウサー(メス)と呼称される[3]
食用とされることもあり、主に繁殖場に集まった個体が採集される[3]
海岸開発による産卵地の変化、赤土流出や高温海水塊による本種および獲物の生息地であるサンゴ礁の白化や死滅による減少、食用の乱獲、漁業による混獲などにより、生息数が減少していると考えられている[2]。沖縄県では60センチメートル以下の個体の採集は、禁止されている[3]。2017年現在は沖縄県レッドリストで、準絶滅危惧と判定されている[3]
絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト[2]

乱獲、環境変化などによって、近年では個体数が減少傾向にある[5]。上記の様に非常に大人しい性質であり、他のウミヘビと比べると素手で捕まえる事も比較的容易である。沖縄や奄美地方では「イラブー」と呼ばれて古くから食用に捕獲され、琉球料理の貴重な食材として珍重されていた[5][6]燻製干物に加工した食品からイラブー汁を作り、泡盛に一匹丸ごとつけた『イラブー酒』は特産品として土産物店等で販売されている。

大正時代皇太子裕仁親王の欧州訪問の際に御召艦戦艦香取が沖縄に寄港したときに、裕仁親王(後の昭和天皇)が興味を示し食べてみたいと話していたことから、艦長で同県出身の漢那憲和大佐沖縄県知事川越壮介に連絡を取って、エラブウミヘビを取り寄せて食卓に供した。裕仁親王は「たいへんおいしかった」と漢那艦長に告げている[8]


  1. ^ a b c d e f Lane, A. & Gatus, J. 2010. Laticauda semifasciata. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T176721A7290432. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-4.RLTS.T176721A7290432.en. Downloaded on 19 September 2019.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 太田英利 「エラブウミヘビ」『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-3 爬虫類・両生類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、68-69頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 戸田守 「エラブウミヘビ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-動物編-』、沖縄県文化環境部自然保護課編 、2017年、212頁。
  4. ^ a b c Laticauda semifasciata. Uetz, P. & Jirí Hošek (eds.)(2019) The Reptile Database, http://www.reptile-database.org, accessed 22 Apr 2019.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 原色爬虫類・両生類検索図鑑(北隆館ISBN 978-4-8326-0756-9
  6. ^ a b c d e 決定版 日本の両生爬虫類(平凡社ISBN 4-582-54232-8 [出典無効]
  7. ^ 『猛毒動物 最恐50 改訂版』SBクリエイティブ株式会社、2020年8月25日、132頁。
  8. ^ 児島襄 (1981). 天皇 1 若き親王. 文藝春秋. p. 144. ISBN 9784167141080 


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