ヘリウム三量体とは? わかりやすく解説

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ヘリウム三量体

(helium trimer から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/06 01:11 UTC 版)

ヘリウム三量体
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
PubChem CID
性質
He3
モル質量 12.007806 g·mol−1
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。

ヘリウム三量体(ヘリウムさんりょうたい、英語: Helium trimer)またはトリヘリウム英語: Trihelium)は、3つのヘリウム原子がファンデルワールス力により弱く結合したファンデルワールス分子英語版である。三原子の結合はヘリウム二量体のものよりもはるかに安定である。ヘリウム4の三原子の結合はエフィモフ状態にある[1][2]ヘリウム3からなる基底状態のヘリウム二量体は不安定であるが、ヘリウム三量体は形成されると予測されている[3]

ヘリウム三量体分子は、ノズルから真空室へ冷却したヘリウムガスを膨張させることで得られるが、この方法で得られる生成物にはヘリウム二量体や他のヘリウム原子クラスターも含まれる。ヘリウム三量体の存在は、回折格子を通した物質波回折によって証明された[4]。ヘリウム三量体の性質はクーロン爆発によって解析することができ[4]、この過程ではレーザーが3つの原子を同時にイオン化し、クーロン力により飛散した後に検出される。

ヘリウム三量体は100 Å以上とヘリウム二量体よりも大きい。原子は正三角形状ではなく、不規則な三角形状に並ぶ[5]

原子間クーロン崩壊は、1つの原子がイオン化され励起した時に起きる。分離している場合でもエネルギーを三量体の他の原子に伝達することができるが、原子が近接している際の方がはるかに起きやすいため、測定される原子間の距離は3.3~12 Åの半値幅で変動する。4He3における原子間クーロン崩壊の平均距離は10.4 Å、3He4He2においてはより大きい20.5 Åと予測される[6]

脚注

  1. ^ Kolganova, Elena A. (26 Nov 2010). “Helium Trimer in the Framework of Faddeev Approach”. Physics of Particles and Nuclei 41 (7): 1108–1110. Bibcode2010PPN....41.1108K. doi:10.1134/S1063779610070282. https://sts-karelia09.jinr.ru/publish/Pepan/2010-v41/v-41-7/27-kol.pdf 2015年2月28日閲覧。. 
  2. ^ Kolganova, E. A.; Motovilov, A. K.; Sandhas, W. (4 May 2011). “The 4He Trimer as an Efimov System”. Few-Body Systems 51 (2–4): 249–257. arXiv:1104.1989. Bibcode2011FBS....51..249K. doi:10.1007/s00601-011-0233-x. 
  3. ^ Al Taisan, Nada Ahmed (May 2013). Spectroscopic Detection of the Lithium Helium (LiHe) van der Waals Molecule (PDF) (Thesis). 2016年3月4日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ. 2015年5月3日閲覧.
  4. ^ a b Kunitski, M.; Zeller, S.; Voigtsberger, J.; Kalinin, A.; Schmidt, L. P. H.; Schoffler, M.; Czasch, A.; Schollkopf, W. et al. (30 April 2015). “Observation of the Efimov state of the helium trimer”. Science 348 (6234): 551–555. arXiv:1512.02036. Bibcode2015Sci...348..551K. doi:10.1126/science.aaa5601. PMID 25931554. 
  5. ^ Efimov state in the helium trimer observed” (2015年4月30日). 2015年5月2日閲覧。
  6. ^ Kolorenč, Přemysl; Sisourat, Nicolas (14 December 2015). “Interatomic Coulombic decay widths of helium trimer: Ab initio calculations”. The Journal of Chemical Physics 143 (22): 224310. Bibcode2015JChPh.143v4310K. doi:10.1063/1.4936897. PMID 26671378. http://scitation.aip.org/content/aip/journal/jcp/143/22/10.1063/1.4936897. 

参考文献




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