Transition edge sensorとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Transition edge sensorの意味・解説 

超伝導転移端センサー

(Transition edge sensor から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/04/26 05:55 UTC 版)

超伝導転移端センサー (ちょうでんどうてんいたんセンサー、: Transition Edge Sensor、TES) は、超伝導物質がある温度(超伝導転移温度または臨界温度)を境として、常伝導状態から超伝導状態へ、またはこの逆方向に 数ミリケルビン 以内で急速に相転移を起こす[1]性質を利用した、非常に高感度な熱量センサー(マイクロカロリメータ)である。

超伝導物質としては、通常はアルミニウムチタンまたはタングステンが用いられる。センサー中では、超伝導物質は超伝導転移温度より極くわずか低温の状態に保持され、境界域の近傍で超伝導状態を保った状態に置かれる。ここに、極く少量でも外部からの熱エネルギーの流入による温度上昇があれば、超伝導物質は超伝導転移温度より高温となり、超伝導状態は壊れて常伝導状態に相転移する。これは電気的には抵抗値の急激な上昇として観測される。

外部からの熱エネルギーの流入による温度上昇は、センサー素子の熱容量がより小さければ、より大きくなるので、センサー素子を極力小さくし、測定対象以外の熱エネルギーから絶縁することにより、より高感度を達成できる。現在の半導体プロセスを応用したMEMS製造技術を用いて作成された極小のセンサー素子では、光子1個分のエネルギーの吸収に起因する温度上昇さえも測定可能となっている[2]

このため、多数のセンサー素子を平面に配置したセンサーアレイは、ボロメータ型撮像素子として使用可能であり、光子の持つエネルギーを熱エネルギーに変換して、その値を直接測定することから、原理的にはセンサーの閾値を超えるエネルギーを持つ任意の波長の光子を、1個ごとに観測できることになる。実際、ガンマ線X線から赤外線、100GHz程度のマイクロ波に至るセンサーが実用化されている。マイクロ波用TESは、電波天文学の分野において、南極点望遠鏡、アタカマ宇宙望遠鏡およびプランク衛星宇宙マイクロ波背景放射の観測用センサーとして実用化されている。

脚注

  1. ^ 福田 et.al., 超伝導単一光検出器, 電子通信情報学会
  2. ^ K. D. アーウィン, 光子1個を見る超電導センサー, 『日経サイエンス』2007年2月号

関連項目


「Transition edge sensor」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Transition edge sensor」の関連用語

Transition edge sensorのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Transition edge sensorのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの超伝導転移端センサー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS