tQR (二次元コード)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/25 16:22 UTC 版)

tQR(ティーキューアール)はデンソーウェーブと東京都交通局が共同開発したホームドアの開閉制御用マトリックス型二次元コード(QRコードの派生規格)である(「tQR」は株式会社デンソーウェーブの登録商標[1])。tQRのtの部分はtoughnessとtrainの意味が込められている[2]。tQRコードとも[3]。
概要
tQRは列車のドア数や車両編成数の情報が格納されている[4]。最大12桁の数字を格納することが可能である。ラベルの材質は車材燃試 Passを採用している。[5]
駅のホーム上部に読み取り専用のカメラを設置することでコードを検出する[6]。tQRは左右のコードが同じ方向に移動(列車の走行)し、その後コードの動きが停止(列車がホームに停止)したのを認識し、ホームドアが開くように信号を伝達。そして左右が別々の方向に移動(車両ドアの開閉)した時にホームドアを閉じるように信号を伝達する。[7]
読み取り
読み取り用カメラがコードの位置をより正確に把握するために、コードに黒枠が加えられている[8]。また、QRコードとは異なる規格のためスマートフォンで読み取ることは不可能である[9]。
誤り検出訂正
通常のQRコードは誤り検出訂正が30パーセントの損傷まで可能であるが、tQRは50パーセントの損傷まで対応している[6]。
地下鉄での導入
従来型のホームドアでは、車両のドアとホームドアの開閉を連動させるために、編成ごとに通信制御機器を設置しなければならなかった。また、制御通信機器を設置しない場合には車掌が車両ドアとホームドアを操作する必要があり、列車の駅での停車時間が増加した[4]。
2020年11月18日からJR東海によってホームドアの開閉を制御するシステムの実証試験を東海道本線の金山駅(3番線)が開始された。降雨や太陽光の反射など、屋外環境での実用性を検証するほか、検知用カメラの適切な配置台数や位置の確認が行われた[10]。
2019年10月にtQRを用いたホームドア開閉制御システムが、都営地下鉄浅草線新橋駅の10月5日の始発で運用を開始された[11]。tQRの活用によって設置費用を20億円から270万円まで削減し、都営地下鉄のホームドア設置率は100パーセントとなった[6]。
2020年3月14日の始発から神戸市営地下鉄西神・山手線三宮駅での運用が開始された[12]。
2021年3月に小田急小田原線登戸駅での導入が開始された[13]。
脚注
出典
- ^ “地下鉄初!デンソーウェーブと東京都交通局が開発した新型QRコードを用いたホームドア開閉制御システムが運用開始”. PR TIMES (2019年10月3日). 2025年8月23日閲覧。
- ^ 荒井亮 (2023年12月15日). “QRコード®️は行動変容の入り口に。知財のオープン・クローズ戦略が導くイノベーション”. 知財図鑑. 2025年8月24日閲覧。
- ^ “会報JAiSA 2020年 秋号 第64号” (PDF). 日本自動認識システム協会. pp. 3-6. 2025年8月23日閲覧。
- ^ a b 西中悠基 (2019年5月22日). “QRコードでホームドアを制御するシステムを構築、デンソーウェーブ”. CNET Japan. 朝日インタラクティブ. 2025年8月23日閲覧。
- ^ “鉄道用車両扉状態検出システム 新型QRコード®を利用したホームドア開閉システム” (PDF). 2025年8月24日閲覧。
- ^ a b c 神田敏晶 (2024年2月5日). “『#QRコード』発明による社会貢献の評価は? 地下鉄20億円の車両改修費は20億円→270万円”. Yahoo!ニュース. LINEヤフー. 2025年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年8月23日閲覧。
- ^ 水関清 (2023年4月1日). “QRコードが導く都営地下鉄浅草線”. 北海道医師会. 2025年8月23日閲覧。
- ^ “QRコードの限界を突破!新しいQRコード「tQR」とは?”. QR WORLD. コンベンションクラウド (2024年11月22日). 2025年8月25日閲覧。
- ^ 大泉勝彦 (2020年12月22日). “【謎】電車の窓に「謎の大きなQRコード」が貼られている これは何?(1/2)”. ねとらぼ. ITmedia. 2025年8月23日閲覧。
- ^ 湯野康隆 (2020年11月19日). “JR東海、QRコードを活用したホームドア開閉システムの実証実験”. トラベル Watch. インプレス. 2025年8月23日閲覧。
- ^ “都営浅草線新橋駅で新型QRコード用いたホームドアシステム、運用開始 | TECH+(テックプラス)”. マイナビニュース. マイナビ (2019年10月3日). 2025年8月23日閲覧。
- ^ “関西初!デンソーウェーブが開発した新型QRコードを用いたホームドア開閉制御システムが神戸市営地下鉄で運用開始”. PR TIMES (2020年3月16日). 2025年8月23日閲覧。
- ^ 多和田新也 (2021年1月7日). “小田急、登戸駅にQRコード制御のホームドア導入。3月上旬から”. トラベル Watch. インプレス. 2025年8月24日閲覧。
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