サイレントヒルf
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/07 03:35 UTC 版)
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| ジャンル | サイコロジカルホラー (サバイバルホラー) |
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| 対応機種 | PlayStation 5 Xbox Series X/S Microsoft Windows |
| 開発元 | ネオバーズ |
| 発売元 | コナミデジタルエンタテインメント |
| プロデューサー | 岡本基 |
| ディレクター | アル・ヤン(楊承圃) |
| シナリオ | 竜騎士07 |
| 音楽 | 山岡晃 稲毛謙介 dai xaki |
| 美術 | kera |
| シリーズ | サイレントヒルシリーズ |
| 人数 | 1人 |
| 発売日 | 2025年9月25日 |
| 対象年齢 | |
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| エンジン | Unreal Engine 5 |
| 売上本数 | |
『サイレントヒルf』(サイレントヒル エフ、SILENT HILL f)は、コナミデジタルエンタテインメントから2025年9月25日に発売されたホラーゲーム。『サイレントヒル』シリーズの外伝作品[2]であり、短編の『サイレントヒル: ザ ショートメッセージ』を除けば10年以上を経た完全新作となる。対応機種はPlayStation 5、Xbox Series X/S、PC(Steam、Epic Games Store、Microsoft Store、Gog.com)[3]。
概要
2022年、シリーズの最新情報を届ける情報番組「SILENT HILL Transmission」にてティザームービーと共に発表された[4]。その後、2025年3月に具体的なゲーム内容が発表され、同年6月5日配信のState of Playにて、発売日が2025年9月25日と発表された[5]。
1960年代の日本の田舎町を舞台とし、「美しいがゆえに、おぞましい。」というコンセプトを基に和テイストを前面に押し出した作品となる[6]。過去作はアメリカ合衆国の架空のリゾート地「サイレントヒル」を主な舞台としていたが、今作はシリーズでも初となる日本を舞台としている。これに関してプロデューサーの岡本基は、本シリーズは元々は和風ホラーと西洋ホラーのエッセンスが融合していたが、徐々に和風テイストが失われて西洋色が強くなり過ぎたが故に、大胆に和風ホラーを100%にしたくなったと語っている[7]。舞台となる「戎ヶ丘」(えびすがおか)のモデルは岐阜県下呂市金山町[6]。
シナリオには07th Expansionの竜騎士07(『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』など)を招き、表世界の音楽にはシリーズでお馴染みの山岡晃を起用。裏世界の音楽は稲毛謙介が担当する[6]。竜騎士07と関係の深い作曲家daiとxakiも音楽に参加する[7]。キャラクター・クリーチャーデザインは『NG』などに携わったイラストレーターのkeraが担当。開発は『バイオハザード レジスタンス』や『デッドライジング デラックスリマスター』などに携わった香港のゲーム開発会社ネオバーズが手掛け、ディレクターは同社のアル・ヤンが務める。
平凡な日常を過ごしていた主人公が、突如霧に包まれ、変貌していく町で生き残りをかけて探索していき、向かい合わなければならなかった選択と向き合う、「美しくもおぞましい選択の物語」が描かれる。作中の表現は舞台となる1960年代の世相や慣習に基づく。加えて「性差別や児童虐待、いじめ、薬物による幻覚、拷問、強い暴力表現」も含む過激な内容になるとされ、シリーズとしては初のCERO:Z(18才以上のみ対象)となる[8][9]。また、従来通りのホラーアクションとしては『サイレントヒル3』以来となる10代の少女を主人公とする。
『サイレントヒル』シリーズでは外伝として位置付けられており、ファンも新規ユーザーも楽しめるゲームになるとされる[10]。一方、従来のシリーズファンがニヤリとする要素も組み込まれているという[7]。マルチエンドだが一周目のエンディングは固定で、最初のエンディングを終えた時点では多くの謎が残されると発表されている[10]。二周目からは分岐するようになり、サイレントヒルシリーズ恒例の「UFOエンド」も存在する[11]。
あらすじ
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物語の舞台は1960年代、日本の山あいにひっそりと佇む町「戎ヶ丘」。高校生の深水雛子は、家庭での口論をきっかけに家を飛び出す。荒んだ気持ちを落ち着かせようと町の中心部へ向かい、友人たちとよく訪れる商店「千鶴屋」を目指す。その途中で親しい友人の咲子の家の前を通りかかると、咲子はいつもの通りにこやかに接するが、雛子の耳には「裏切り者」という不穏な陰口が届く。
「千鶴屋」では幼なじみの修や仲間たちと再会するが、その日常のひとときは突如崩れ去る。地を這う赤い植物が町を侵食し、咲子が皆の目の前で倒れてしまう。そして濃い霧の中から現れた異形の怪物が彼女たちを襲い始める。仲間は散り散りとなり、戎ヶ丘は臓物めいた赤花が咲き乱れる異界へと変貌していく。
逃走と探索の最中、雛子は激しい頭痛に襲われ意識を失う。次に目覚めたのは、無数の鳥居が並び立つ幻想的かつ不気味な異世界だった。そこでは狐の仮面をつけた謎めいた男が儀式を執り行っており、雛子は抗えぬままその場に引き込まれていく。
ひとつの町が地獄のように変貌する恐怖と、異世界で正体不明の儀式に組み込まれる心理的な恐怖――二つの悪夢が、彼女の運命を絡めとっていく。
登場人物
主要人物
- 深水 雛子(しみず ひなこ)
- 演 - 加藤小夏、境葵乃(幼少期)
- 本作の主人公。戎ヶ丘に住む高校生。時代の背景にある「女はこうあるべき」といった世間体や理想像を極度に嫌い、自分自身の意思決定をなにより尊重する自立心の高い性格。身体能力が高く、中学校では陸上部で活動していた。
- その性格故に修たち数少ない友人を除いて同級生からは忌避されがちであったが、それでも思春期相応の平凡な日常を送っていた。しかし、突如として霧に包まれおぞましく変貌した町で生き延びる為の戦いを余儀なくされる。
- 岩井 修(いわい しゅう)
- 演 - 大崎捺希
- 雛子の幼馴染かつ最大の理解者である男子学生。この時代に珍しく、異性である雛子にも分け隔てなく接する。雛子とは幼少期から「宇宙戦争ごっこ」と称した遊びを続けており、お互いに「相棒」と呼び合い、雛子も男言葉で受け答えしている。
- 薬師の家系で、薬の知識や扱いに長けており、頭痛に悩まされる雛子のために薬の調合や選定も行う。
- 西田 凜子(にしだ りんこ)
- 演 - 飯島優花
- 雛子の友人。裕福な家の生まれで世話焼きかつお節介焼きで学校でも学級委員長を務めている。流行りの情報や色恋の知識も豊富。修に好意を寄せている。
- 修と相棒と呼び合う雛子に対して強い嫉妬を向けており、また優等生として振舞いつつも雛子や咲子を内心では見下している等、陰湿な性格をしているが、一方で対等な関係の友人がいないということにジレンマを感じている。
- 五十嵐 咲子(いがらし さくこ)
- 演 - 滝瀬妃夏、声 - 合田絵利
- 雛子の友人で、神社の家の娘。両親が神社を継がない道を選んだため、行事の際には祖父を巫女姿で手伝っている。廃れてしまった神社を再興することが夢。マイペースな性格で、変わった子といわれる。霊感があり夢の中に神様や幽霊が現れるといい、暗闇が苦手。ゲーム内で入手できる文書によると、学校で飼育しているウサギたちだけが話し相手だったが、雛子が初めて人間の友人となった。
深水家
- 深水 寛太(しみず かんた)
- 演 - 真砂豪
- 雛子の父で、絵に描いたような亭主関白。ひどい癇癪持ちで、一度怒り出すと君江や雛子を怒鳴りつけ、物を投げるなどして暴れる。
- 若い頃は漁師で、漁で貯めた大金で料理屋を開こうとしたが失敗し、多額の負債を背負っている。雛子が結婚を嫌悪するようになった要因の一人。
- 深水 君江(しみず きみえ)
- 演 - 平岡珠実
- 雛子の母。夫の罵声や暴力に悩まされながらも抗わず、従順に従っている。どれほど理不尽に怒鳴られようとも一切反抗せず付き従うその姿に対し、雛子からは父親と同様に嫌悪を向けられている。
- 絹田 潤子(きぬた じゅんこ)
- 声 - 森なな子
- 絹田家に嫁いだ、雛子の姉。雛子曰く「とても綺麗で優しくて、何でも出来て、何でも相談できる自慢のお姉ちゃん」。作中では常に顔が隠れている。
その他
バケモノ
本作におけるクリーチャー。
霧の町
- カシマシ[14]
- 女性型の球体関節人形のようなバケモノ。全身に痛々しい傷があり、両目部分は焼き爛れたかのように潰れている。
- 髪の長い個体、髪を結った個体、ザンバラ髪の個体の3種が存在。また、顔は仮面のように着脱できる仕組みになっている。
- 首や胴体を異様なまでに拗らせた不気味な動きで接近し、手にした包丁で襲い掛かる。
- アヤカカシ[14]
- ひび割れた無機質な顔を持つ案山子のバケモノで、田に現れる妖怪として古くから戎ヶ丘の伝承に名が記されている。
- セーラー服を着た女子学生の個体と、学ランを着た男子学生の個体が存在。男女を問わず、様々な髪型の個体がいる。
- カシマシ同様のぎこちない動作で、大型の鎌で攻撃する。
- アラアバレ[14]
- 彼岸花などの花々と、無数の臓物が集まった巨大な肉塊のようなバケモノ。
- 腹部に大きな口があり、右腕は巨大な包丁の刃、左腕は太い触手のような形状となっている。
- イロヒヒ[15]
- 頭部の上半分が欠損している餓鬼のような姿のバケモノ。欠損部分には赤く発光する植物のようなものが蠢いている。
- 山猿のように機敏に動き回り、鉤爪や舌で攻撃してくる。
- 雛子の抱く、女性への執着心が強い男性に対する恐怖心が形になったもの。
- 無数の顔を持つバケモノ(仮称)
- 肉塊に無数の老若男女の顔がひしめいている醜悪なバケモノ。二足歩行し、足はズボンを履いた男性型と、長いスカートを履いた女性型の2種類が存在。
- 口から不快な液体を撒き散らしたり、周囲に赤い植物のようなものを生やす能力を持つ。
- 雛子曰く、いずれの顔も彼女の知らない人間のものだが、向こうはこちらを知っているとのこと。
闇の社殿
- カムガラ[16]
- 顔面と胸に大穴が空いている、手枷や足枷を嵌められた痩身の大男のようなバケモノ。
- 顔がない=目が見えないため、聴覚で獲物の位置を把握し襲い掛かる。
- ハライカタシロ[17]
- 小面のような顔に、カシマシのものと似た人形のような身体を持つバケモノ。
- 武器として手に刀を持つほか、両足も鋭い刃になっている。
- オイオモイ[14]
- 無数のセルロイド人形の頭や手足の集合体のような上半身と、スカートを穿いた人形の下半身で構成されたバケモノ。
- ケンケンパを思わせる動作で移動し、赤ん坊のような不気味な鳴き声を発しながら精神攻撃を繰り出す。
強敵(ボス)
- 咲子らしきバケモノ(仮称)
- 咲子と同じ声で喋る巫女姿のバケモノ。
- 凜子らしきバケモノ(仮称)
- 凛子と同じ声で喋る斎主姿のバケモノ。
- 寛太らしきバケモノ(仮称)
- 寛太が変貌したバケモノ。アラアバレと同じ姿をしているが、寛太の着ていた法被などが辛うじて残っている。攻撃方法も通常のアラアバレと同じ。
- 同じくバケモノと化した君江と共に雛子に襲い掛かる。
- 君江らしきバケモノ(仮称)
- 君江が変貌したバケモノ。寛太に比べ変貌前の面影が残っているが、顔や胸などに赤い花々が咲いており、胴体に抉られたかのような穴が空いている。
- 武器として包丁を持っているが、撃破すると包丁を落とし、アイテムとして入手可能となる。
- 白無垢
- 「呪いは雛の如く舞い戻る」の最終ボス。
- 白無垢を纏った女性の姿のバケモノ。顔は剥がれ落ちたかのように存在せず、グロテスクな断面部分が露出している。右腕は白い毛に覆われた巨大な獣の腕となっている。
- 序盤から「霧のバケモノ」として現れ、雛子の後を度々追いかけ回す。
- その正体は、寿幸に嫁入りすることを決意した深水雛子の深層意識内における別人格「雛子(闇の社殿側の雛子)」が変貌した姿。
- 九十九神
- 「狐の嫁入り」及び「静寂なる戎ヶ丘」の最終ボス。作中度々登場する人形を介して雛子の味方のフリをしつつ暗躍していた。
- 阿修羅像に似た姿をしており、頭部には複数の能面が付いている。無数のガラクタで構成された身体には、古木の枝や根が絡まっている。多数の腕で錫杖や剣、七支刀、弓矢といった武器を操る。
- 七尾の狐
- 「狐その尾を濡らす」の最終ボス。
- 七本の尾を持つ巨大な狐の姿をしている。寿幸に「狐憑き」で憑依していた狐が実体化した姿。
- 九尾の狐
- 「静寂なる戎ヶ丘」の最終ボス。
- 九本の尾を持つ巨大な狐の姿をしている。七尾の狐とは別の狐であり、狐の一族の長たる存在。
売上
2025年9月26日時点でパッケージ版出荷数とダウンロード版販売数の合計が100万本を突破した[18]。
小説
- 黒史郎 著、コナミデジタルエンタテインメント 原作・監修『サイレントヒルf』KADOKAWA、2025年10月30日[19]。ISBN 9784047386426[19]
脚注
注釈
出典
- ^ “『サイレントヒルf』、発売から3日で全世界累計出荷本数100万本を突破。『サイレントヒル2』よりも早いペースでの達成”. ファミ通.com. 2025年9月30日閲覧。
- ^ “はじめての『SILENT HILL f』”. SILENT HILL f 公式サイト. コナミデジタルエンタテインメント (2025年9月22日). 2025年10月29日閲覧。
- ^ “商品情報”. SILENT HILL f 公式サイト. コナミデジタルエンタテインメント. 2025年10月13日閲覧。
- ^ “『SILENT HILL f』発表。日本舞台の完全新作、竜騎士07氏らが開発参加”. AUTOMATON (2022年10月20日). 2025年3月19日閲覧。
- ^ “『サイレントヒルf』9月25日に発売決定。本日(6月5日)より予約受付開始、デラックスエディションには48時間の先行アクセス権も【State of Play】”. ファミ通.com (2025年6月5日). 2025年6月6日閲覧。
- ^ a b c “『サイレントヒルf』最新映像が公開。対応機種はPS5、Xbox Series X”. ファミ通.com (2025年3月14日). 2025年3月19日閲覧。
- ^ a b c “竜騎士07氏がシナリオを手掛ける『サイレントヒルf』最新トレーラーが公開。“美しいがゆえにおぞましい”和のテイストを前面に押し出した作品に【SILENT HILL Transmission生配信まとめ】”. 電撃オンライン. KADOKAWA Game Linkage (2025年3月14日). 2025年7月8日閲覧。
- ^ “昭和日本ホラー『サイレントヒル f』はシリーズ初の「CERO: Z」タイトルに。決め手は「犯罪」表現か”. AUTOMATON (2025年3月14日). 2025年3月19日閲覧。
- ^ “CERO:Z指定『サイレントヒル f』の内容が”攻めまくり”。「性差別や児童虐待、いじめ、薬物、幻覚、拷問、暴力」を表現。不快感を感じた場合は「プレイを中断し休憩を取るか周りの人に相談してください」と注意書き。あくまで作品として、1960年代の世相や慣習に基づく”. 電ファミニコゲーマー (2025年3月14日). 2025年3月19日閲覧。
- ^ a b “昭和日本サイレントヒル『サイレントヒル f』正式発表。「岐阜県モチーフ」の田舎町が裏世界に変わる、竜騎士07氏が携わる新作”. AUTOMATON (2025年3月14日). 2025年3月19日閲覧。
- ^ “[プレイレポ]シリーズ初の日本が舞台。「SILENT HILL f」は,近接アクション主体のバトルなど新たなチャレンジが噛み合った仕上がりに”. 4Gamer.net. Aetas株式会社. 2025年9月24日閲覧。
- ^ Steam版(v1.1.380371)にて2025年10月12日に確認。
- ^ 黒史郎『サイレントヒルf』コナミデジタルエンタテインメント 原作・監修、KADOKAWA、2025年、244頁。
- ^ a b c d “登場人物”. SILENT HILL f 公式サイト. コナミデジタルエンタテインメント. 2025年10月10日閲覧。
- ^ @silenthill_jp (6 October 2025). “クリーチャー紹介⑦ イロヒヒ”. X(旧Twitter)より2025年10月10日閲覧.
- ^ @silenthill_jp (3 October 2025). “クリーチャー紹介⑥ カムガラ”. X(旧Twitter)より2025年10月10日閲覧.
- ^ @silenthill_jp (1 September 2025). “クリーチャー紹介⑤ ハライカタシロ”. X(旧Twitter)より2025年10月10日閲覧.
- ^ “「サイレントヒル f」出荷本数が100万本を突破! リメイク版「サイレントヒル2」を上回るペース”. GAME Watch. インプレス株式会社 (2025年9月29日). 2025年9月30日閲覧。
- ^ a b “サイレントヒルf”. KADOKAWA. 2025年11月3日閲覧。
外部リンク
- サイレントヒル ポータルサイト
- 公式ウェブサイト
- SILENT HILL (@silenthill_jp) - X
- サイレントヒルfのページへのリンク