内部留保
(Retained earnings から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/16 09:38 UTC 版)
内部留保(ないぶりゅうほ、英: retained earnings)とは、企業の所有する資産のうち、借入金や株主の出資ではなく、自己の利益によって調達した部分をさす。社内留保、社内分配とも呼ばれることもある。
注釈
- ^ ここでいう内部留保とは新たに生じる利益の留保額であり、蓄積全体ではない。
- ^ 以下の議論においては内部留保の推移とともに、企業の持つ現金預金の推移も論じる。両者は直接の関係はないが、次章「内部留保の活用」の議論に典型的にみられるように、両者を混同した議論が、主として「大企業のため込んだ内部留保を雇用拡大に活用せよ」などとする側によって主張されるため、あえてここで論点とするものである。 青は中小企業を含めた全企業の統計であり、1987年には120%ほどあった現金・預金を占める割合が2007年には50%にまで低下している。赤は非製造業を含む大企業の統計であり、現金・預金が利益剰余金を1990年から下回るようになったことを示している 。緑は製造業の大企業を示していて1987年の時点で現金・預金が利益剰余金より少ないことが分かる。中小企業を含む青の棒・線グラフはバブル期の現金・預金が利益剰余金を上回る財務状況が後述のように経営危機時の予備資金確保や悪化した現状の資金繰りに回している。そのため崩壊後の1995年に下回り始めたのを皮切りに利益剰余金に対して現金・預金が約50%程度まで激減したことが分かる。それに対して、大企業(金融保険業を含まず)は利益剰余金に対して、現金・預金は2割の横ばい状態でほとんど増えていない。
- ^ ペッキング・オーダー理論といい企業は資金の調達方法として純資産(内部留保)、次に負債(金融機関などからの借入金)、最終に通常の経営下では行わない新たに株式発行を行う。
- ^ 会社事業のために必要もないのに利益を留保している場合、それを課税の回避行為とみなして、留保利益に対して39.6%の課税を行うというものです。「事業のために必要である」ということは会社が立証する必要があります。 国際会計事務所Global Tax Services「二重課税と留保金課税」
出典
- ^ 内部留保 -すべて現預金でストックされているという勘違い
- ^ 女子大生でも分かる、内部留保と現金の違い。
- ^ 国立国会図書館 企業の内部留保をめぐる議論 (PDF)
- ^ 希望の党の公約「大企業の内部留保に課税」はポピュリズムだ - ウェイバックマシン(2017年11月12日アーカイブ分)
- ^ a b 田村八十一 「トヨタ、ホンダ、日産の「内部留保」を解剖する」『経済』168号(2009年9月号)、新日本出版社。[要ページ番号]
- ^ 小栗崇資 「内部留保の雇用への活用は可能か」『経済』164号(2009年5月号)、新日本出版社。[要ページ番号]
- ^ 『中小企業経営分析』[要文献特定詳細情報]、『主要企業経営分析』[要文献特定詳細情報]
- ^ 内閣府「企業の資本コスト動向」平成27年12月
- ^ a b 川口勉 『Q&A-経営分析の実際-第3版』 日本経済新聞社〈日経文庫〉、2006年7月4日。[要ページ番号]
- ^ 神田秀樹 『会社法入門』 岩波書店〈岩波新書〉、2006年4月。p131
- ^ 財務省『法人企業統計調査』[要文献特定詳細情報]
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ [3]
- ^ a b 『日本経済新聞』2009年1月20日
- ^ 「衆院予算委 笠井議員の質問」『しんぶん赤旗』2013年3月10日。
- ^ 円居総一 『原発に頼らなくても日本は成長できる』 ダイヤモンド社、2011年、184頁。
- ^ インタビュー:政府・日銀共同文書、法的裏付けに日銀法改正を=岩田教授Reuters 2013年1月18日
- ^ デフレの正体は肥大する内部留保にあり 日本企業は、過剰なリスク回避をせずに前向きな投資を行うべきPRESIDENT Online - プレジデント 2012年3月8日
- ^ 財務省-特定同族会社への留保金課税(「平成19年度税制改正」 財務省)
- ^ 主張/内部留保への課税/大企業優遇やめ国民に還元を
- ^ 醍醐聡東大名誉教授(会計学)「企業の社会的責任 内部留保に課税すべきだ」『朝日新聞』2013年3月22日「私の視点」
- Retained earningsのページへのリンク