Orbray
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/11 05:23 UTC 版)
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 〒123-8511 東京都足立区新田3-8-22 |
| 設立 | 1953年(昭和28年)8月28日(並木精密宝石株式会社) |
| 業種 | 精密機器 |
| 法人番号 | 7011801010758 |
| 事業内容 | 精密機器部品の製造・販売など |
| 代表者 | 並木里也子(代表取締役社長) 和田統 (代表取締役副社長) 古市悠 (代表取締役副社長) |
| 資本金 | 1億円 |
| 売上高 | 単体:220億円 連結:306億円 (2025年12月31日現在) |
| 従業員数 | 単体:1,350人 連結:2,300人 (2026年1月現在) |
| 外部リンク | https://orbray.com/ |
Orbray株式会社(オーブレー、英: Orbray Co., Ltd.)は、東京都足立区新田に本社を置く、精密機器部品メーカーである。
概要
1939年に、並木製作所が創業。創業当時の製品は、電気メーターの軸受宝石だった。その後、音響用レコード針、時計用軸受宝石など数々のヒット商品を産み出した。
1953年に並木精密宝石に改組。販売先の棲み分けのため1957年に並木精密宝石からアダマンド商事が分離独立。並木精密宝石は、磁気ヘッド、時計用外装部品、DCコアレスモーター、医療機器などを製造販売。ポケベル、携帯電話用の振動モーターのパイオニアメーカーとして、一時は世界シェアーの大半を占めた。
一方アダマンド商事(1959年にアダマンド工業株式会社、2014年にアダマンド株式会社に商号変更)は、光通信部品を中心に事業展開を行ったが、2017年に、工業用宝石屋としてのお互いのスペシャリティを統合によって更に伸ばしていくという考えのもと、合併の合意・承認がなされ、2018年1月1日に、並木精密宝石を存続会社として、“アダマンド並木精密宝石株式会社”が誕生した。
その後「ロボット関節用サーボモーター」、「多指ロボットハンド」[1][2]などロボット産業にも参入。
2019年には「石英パイプ基準式内周面3D精密測定機」の製造・販売を開始し、当製品が第32回中小企業優秀新技術・新製品賞において中小企業庁長官賞[3]を受賞した。
2021年、「ステップフロー成長法による2インチヘテロエピタキシャルダイヤモンド成長開発」に成功[4]。2022年11月、「大型サファイア12インチ基板(φ300mm)」のテスト販売を開始[5]。2023年1月1日に、グループ会社であるアキタ・アダマンドと統合し、Orbray株式会社[6]に商号を変更した。
2023年5月に株式会社ミライズテクノロジーズとダイヤモンドパワーデバイスの共同研究を開始[7][8]。2024年4月には大口径単結晶人工ダイヤモンドの量産に向けたエレメントシックスとの戦略的提携を発表し[9][10]、2025年4月に単結晶ダイヤモンドを用いた世界最大級の革新的な放射線検出器を開発[11]した。
2026年6月には直径3インチ単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立。さらに、既存の半導体製造ラインで求められる4インチ結晶の開発にも着手。直径2インチ単結晶ダイヤモンドウェハは量産準備の最終段階へ。[12][13]
沿革
2023年1月1日付の商号変更以前の沿革については「並木精密宝石」および「アダマンド」を参照
- 2023年(令和5年)1月1日 – アダマンド並木精密宝石株式会社とアキタ・アダマンドが統合し、Orbray株式会社へと変更。
- 2023年(令和5年)4月4日 – 「スペースデリバリープロジェクト-RETURN to EARTH-」にて人工ダイヤモンド基板が約9カ月間の宇宙空間での曝露期間を経て、地球へ到着。[14]
- 2023年(令和5年)5月11日 – 株式会社ミライズテクノロジーズとダイヤモンドパワーデバイスの共同研究を開始。[7][8]
- 2023年(令和5年)5月31日 – 「半導体・オブ・ザ・イヤー2023」の半導体デバイス部門において、優秀賞を受賞。[15][16]
- 2023年(令和5年)8月1日 – 秋田県湯沢市岩崎にて新工場Orbray [TRAD] を稼働。[17]
- 2023年(令和5年)11月22日 – 令和5年度「ふるさと企業大賞」受賞。[18]
- 2024年(令和6年)3月26日–宇都宮大学の寺澤英孝研究員、近藤圭祐助教、杉原興浩教授の研究グループとの共同研究で、クラッドを固化する新規プロセスを開発して低損失な全固体自動光接続を実現。[19][20]
- 2024年(令和6年)4月16日–業界初となる表面平滑性Ra5nm厚み20μmのフレキシブルジルコニアフィルムの作製に成功。[21]
- 2024年(令和6年)4月16日–世界最高品質の大口径単結晶人工ダイヤモンドの量産に向けたエレメントシックスとの戦略的提携を発表。[9][10]
- 2024年(令和6年)7月18日–2029年でのIPO及び新本社・新工場建設計画見直しの方針を決定。[22][23]
- 2025年(令和7年)1月29日–一般社団法人東北ニュービジネス協議会主催の「第31回東北ニュービジネス大賞」を受賞。[24]
- 2025年(令和7年)3月3日–高品質大口径(111)単結晶ダイヤモンド自立基板の量産に目途。[25][26]
- 2025年(令和7年)4月7日–高品質大口径単結晶ダイヤモンドを用いた放射線検出器を開発。[11]
- 2026年(令和8年)5月21日– 歯科材料向けジルコニア廃材のリサイクル検証を4社(株式会社 松風、東ソー株式会社、三井化学株式会社、Orbray株式会社)共同で開始。[27]
- 2026年(令和8年)6月16日– 次世代半導体向け単結晶ダイヤモンドウェハで世界最大級の成果を達成。[12][13]
主要事業
精密宝石部品
精密宝石部品とは、ダイヤモンド・サファイア・ルビーなどの宝石に代表される硬い素材に対して精密加工を施した、機械・製品の長寿命化や高精度化を実現するための部品である。また、素材の持つ融点の高さを活かし、高温下で使用される部品や、化学的安定性を活かし、強い酸・アルカリなどの薬品に耐えられる部品、絶縁性を要求される場合にも使用される。素材が高価なため過去には限られた分野でしか流通しなかったが、近年、ダイヤモンド・サファイア・ルビー等の結晶育成技術の著しい進歩により、形状・品質・コストにおいて大きな進化を遂げた。Orbrayはダイヤモンド・サファイア・セラミックスなどを自社工場でも育成、製造している。
DCコアレスモーター/モーターユニット
1973年に当時世界最小のφ10mmDCコアレスモーターを開発して以来、Orbrayは日本における小型モーター(マイクロモーター)のパイオニアとして常に社会に貢献し続けている。小径・小型モーターを研究し、ドイツよりコアレス巻線特許を導入するとともに、希土類マグネットの製造工法、貴金属ブラシの研究を経て完成したのが、世界最小φ10mm DCコアレスモーターであった。その後も技術革新を重ね、2004年にφ1.5mm ギヤードモーター(2006年内閣総理大臣賞受賞)、2014年には更に小径の現在世界最小φ0.6mm ブラシレスモーターの開発に成功。Orbrayでは、応答性、静音性に優れたコアレスモーター、ブラシレスモーター、ギヤヘッド、エンコーダ、制御基板などのモーションデバイスに加え、さらに機構を組み合わせたモーションユニット製品を取り揃えている。
光通信部品
各種光ファイバー、コネクタ、デバイスに使用されているジルコニアフェルールやスリーブは、光通信システムやネットワークに欠かせない重要部品である。 またフェルールやスリーブの内外径の測定・検査に使用され、Orbrayの品質保証に重要な役割を担うピンゲージやリングゲージは、ナノメートル単位の高精度な寸法を要求される製品である。フェルール、スリーブを使用した光コネクタ、アダプタも各種取り揃えている。光デバイスの分野では、マスターコード、 各種パッチコード、異なる種類のコネクタを接続する変換アダプタ、減衰器や終端器、各種高精度ファイバアレイも提供している。 Orbrayの製品は、セラミックスの成形技術と超精密加工技術、高精度組立技術により光を「繋ぐ」接続部品として世界中で使用されている。
医療機器
Orbrayは40年にわたり医療機器の開発・製造を行ってきた。1980年代より医療機器の製造を開始し、以来、多くの高品質な医療機器を世界市場に提供している。顧客と緊密に連携し、量産製造を見据え、的確なDFM(Design For Manufacture)を考慮した医療機器の開発設計サポート、信頼できるサプライチェーンの確立、修理、サービス部品の供給等、製品の完全なライフサイクルサポートを行っている。コア・コンピテンシーであるタイ工場は ISO13485 認定された医療機器の製造拠点であり、医療機器国際基準に基づいた品質管理システムを構築、FDA (米国 Food and Drug Administration) や CEマーキング(Conformité Européenne)の要求事項を満たした製品を世界市場に送り出している。
ダイヤモンド
ダイヤモンドは、硬さ、音速、熱伝導率、ヤング率など物質中最高の物性値を複数持つ究極の結晶材料である。上記特性に加え、深紫外から遠赤外まで高い透過率、高い熱的化学的安定性、絶縁体から金属伝導まで制御可能な電気抵抗などの特性を組み合わせることで、ヒートシンク、工具、光学部品、音響部品、センサー、半導体材料など様々な分野への応用が期待されている。
Orbrayでは、大口径ダイヤモンド基板を得ることをターゲットにヘテロエピタキシャル法を採用。ヘテロエピタキシャル法はダイヤモンド以外の異種基板を下地として用いる手法で、原理的にはダイヤモンドの成長可能な大きな下地基板があれば、その下地基板と同径のダイヤモンドを得ることができる。サファイア基板メーカーの強みを生かして、下地基板に用いるサファイアの結晶を精密に制御し、微傾斜面を持つIr/ サファイア基板上をダイヤモンドが横方向に成長するステップフロー成長法を新たに開発し、産業応用上必要とされる直径2インチ(約55mm)のダイヤモンド結晶の成長に成功[4]した。
2026年6月には直径3インチ単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立した。さらに既存の半導体製造ラインで求められる4インチ結晶の開発にも着手開始。直径2インチ単結晶ダイヤモンドウェハは量産準備の最終段階に入っている。[12][13]
拠点・グループ会社
国内
海外
出典
- ↑ “『3本目』の指の動きに注目!色々つかめるロボハンドの秘密 アダマンド並木精密宝石が初の協働ロボ用のロボハンド”. 2019年1月18日閲覧。
- ↑ “日本が誇るビジネス大賞2019『器用なロボットハンドが人との協働に活躍』”. ミスター・パートナー. 2019年4月27日閲覧。
- ↑ “第32回 中小企業優秀新技術・新製品賞 中小企業庁長官賞受賞”. 2022年12月15日閲覧。
- 1 2 “2インチ超えダイヤモンドウエハー製造にアダマンド並木が成功 日経クロステック/日経エレクトロニクス”. 2021年9月10日閲覧。
- ↑ “「世界初 大型12インチ 高品質サファイアの販売開始」@Press”. 2022年11月29日閲覧。
- ↑ “会社概要|Orbray株式会社”. orbray.com. 2023年3月13日閲覧。
- 1 2 “縦型ダイヤモンドパワーデバイスの共同研究で契約 Orbrayとミライズテクノロジーズ”. 電波新聞デジタル (2023年5月21日). 2026年9月10日閲覧。
- 1 2 “Orbrayとミライズテクノロジーズがダイヤモンドパワーデバイスの共同研究を開始 - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年7月14日). 2026年9月10日閲覧。
- 1 2 “Orbrayとエレメントシックスが戦略的提携契約 世界最高品質の大口径単結晶人工ダイヤモンドを量産へ”. 電波新聞デジタル (2024年6月12日). 2026年9月10日閲覧。
- 1 2 “Orbrayとエレメントシックスが世界最高品質の大口径 単結晶 人工ダイヤモンド事業で提携 - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年7月13日). 2026年9月10日閲覧。
- 1 2 “Orbrayなどが放射線検出器を共同開発 高品質大口径単結晶ダイヤモンド使用”. 電波新聞デジタル (2025年4月9日). 2026年9月10日閲覧。
- 1 2 3 Inc, Nikkei (2026年6月16日). “次世代半導体向け大型ダイヤモンド基板、オーブレーが英社と量産技術”. 日本経済新聞. 2026年9月10日閲覧。
- 1 2 3 “次世代半導体向け単結晶ダイヤモンドウェハで世界最大級の成果を達成 ~3インチ結晶の生産技術確立、4インチ結晶の開発に着手、2インチウェハは量産準備の最終段階へ~”. 2026年6月16日閲覧。
- ↑ “「スペースデリバリープロジェクト ~RETURN to EARTH~ 」打ち上げ対象品の帰還式を実施 - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年7月14日). 2026年9月10日閲覧。
- ↑ “第29回 半導体・オブ・ザ・イヤー2023 by 電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)”. 最新セミナー情報|産業タイムズ社【セミナー・イベントのご案内】. 2026年9月10日閲覧。
- ↑ “「半導体・オブ・ザ・イヤー2023」優秀賞受賞 - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年7月14日). 2026年9月10日閲覧。
- ↑ Inc, Nikkei (2023年9月8日). “精密部品のオーブレー、秋田県湯沢市の新工場稼働”. 日本経済新聞. 2023年9月8日閲覧。
- ↑ “令和5年度ふるさと企業大賞(総務大臣賞)表彰状授与 - ふるさと財団”. www.furusato-zaidan.or.jp. 2023年11月22日閲覧。
- ↑ “宇都宮大学”. www.utsunomiya-u.ac.jp (2024年3月26日). 2026年9月10日閲覧。
- ↑ “新規クラッド固化プロセスによる低損失全固体自己形成光導波路の作製に成功〜光通信部品の簡易低損失実装に期待〜 - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年6月11日). 2026年9月10日閲覧。
- ↑ “業界初 表面平滑性Ra5nm 厚み20μmのフレキシブルジルコニアフィルムを実現 - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年7月13日). 2026年9月10日閲覧。
- ↑ Inc, Nikkei (2024年7月18日). “精密部品のオーブレー、秋田の生産体制強化 IPO計画”. 日本経済新聞. 2026年9月10日閲覧。
- ↑ “Orbrayが中期経営計画を策定、2029年のIPO目指す、新本社・新工場の計画は前倒し - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年7月9日). 2026年9月10日閲覧。
- ↑ “第31回東北ニュービジネス大賞各賞受賞者が決まりました! | 一般社団法人東北ニュービジネス協議会”. 2026年9月10日閲覧。
- ↑ Inc, Nikkei (2025年3月15日). “世界最大級のダイヤ基板 オーブレー、パワー半導体向け”. 日本経済新聞. 2026年9月10日閲覧。
- ↑ “高品質大口径(111)単結晶ダイヤモンド自立基板の量産に目途 ダイヤモンド半導体の実用化に向けたn型ダイヤモンド開発も視野 - Orbray MAGAZINE Orbray株式会社” (2026年7月7日). 2026年9月10日閲覧。
- ↑ Inc, Nikkei (2026年5月21日). “歯科材ジルコニア、東ソーなどが端材リサイクル 加工時のロス低減”. 日本経済新聞. 2026年9月10日閲覧。
外部リンク
- Orbrayのページへのリンク