ヒカゲノカズラ科とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 生物 > 植物 > シダ類 > ヒカゲノカズラ科の意味・解説 

ヒカゲノカズラ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/14 08:02 UTC 版)

ヒカゲノカズラ科Lycopodiaceae)は、小葉植物の1分類群で、現生のすべての同形胞子性の小葉類を含む科[1]。異形胞子性をもつイワヒバ科ミズニラ科とともにヒカゲノカズラ綱を構成する[1]PPG I分類体系では3亜科16属388種が属する[2]ヒカゲノカズラ目 (Lycopodiales) に含まれ、同じ範囲を指す[2]


注釈

  1. ^ 1. スギカズラ Spinulum annotinum(a: 胞子嚢穂 ; b: 匍匐茎)、2. マンネンスギ Dendrolycopodium dendroideum、3. タカネヒカゲノカズラ Diphasiastrum nikoense(a: 胞子嚢穂 ; b: 匍匐茎)、4. ヒカゲノカズラ Lycopodium clavatum var. nipponicum(a, b: 根の均等な二又分枝;c, d: 根の不等二又分枝;e: 胞子嚢穂;f: 匍匐茎;g: シュートの均等な二又分枝;h: シュートの不等二又分枝)、5. トウゲシバ Huperzia serrata(a: 胞子嚢 ; b: 無性芽のついたシュートを上から見た図; c: 胞子嚢のついたシュートを横から見た図、均等な二又分枝を行う)、6. コスギラン Huperzia selago、7. ヒメスギラン Huperzia miyoshiana
  2. ^ 同じ小葉植物のイワヒバ類や、大葉シダ植物などでは単一の頂端細胞が形成され、それが細胞を切り出して成長する[9]
  3. ^ 同じ小葉植物のミズニラ類でも同様に葉の向軸側に形成されるが、イワヒバ類では葉腋の茎よりの部分から胞子嚢が形成される[10]
  4. ^ イワヒバ類では初発胞子形成細胞の最外層の細胞がタペート細胞になるのに対し、初発胞子形成細胞よりも内側の葉身細胞由来の細胞が内側のタペート細胞として機能する[11]
  5. ^ 2倍体のもので、小梗が長いもの[35]。ヨーロッパ産の基準変種 var. clavatum も2倍体であるが、4倍体のエゾヒカゲノカズラに近い特徴を示す[35]。学名は暫定的[35]Hassler (2021) では中国の研究を基に Lycopodium japonicum Thunb. としている。
  6. ^ 4倍体で、小梗がほぼないもの[35]。上記のヒカゲノカズラとの交雑により3倍体を生じると考えられている[35]。学名は暫定的[35]
  7. ^ 海老原 (2016)では遺伝的解析が不十分であることから Lycopodium obscurum L.syn. Dendrolycopodium obscurum (L.) A.Haines)のみを用いているが[36]、ここではHassler (2021)に基づき、日本 (Japan) に分布がある2種の学名を以下に引用した[37]
  8. ^ 武田 (1909)ではLycopodum obscurum f. flabellatum Takeda とされる。岩槻 (1992)ではDendrolycopodium obscurum f. obscurum とされる[38]海老原 (2016)では日本産のものは Lycopodium dendroideum Michx. に形態が似ているとしながらもLycopodium obscurum L. を用いている。
  9. ^ 海老原 (2016)ではLycopodium obscurum L. f. strictum (Milde) Nakai ex H.Haraとして引用される[36]。日本のものは武田 (1909) により設立された Lycopodium obscurum f. juniperoideum を根拠としている[37]。なお、Lycopodium obscurum L. f. strictum (Milde) Nakai ex H.HaraHassler (2021) ではDendrolycopodium verticale (Li-Bing Zhang) Li-Bing Zhang & X.M.Zhou という別種のシノニムとされる[37]
  10. ^ 海老原 (2016) のようにミズスギ属をヤチスギラン属に含める考えもある。その場合、ミズスギは Lycopodiella cermua (L.) Pic.Serm. となる[39]
  11. ^ 海老原 (2016) のようにイヌヤチスギラン属をヤチスギラン属に含める考えもある。その場合、イヌヤチスギランは Lycopodiella caroliniana (L.) Pic.Serm. となる[39]
  12. ^ 海老原 (2016) ではLycopodium serrata Thumb. var. alpestre H.Christ として引用されるように[40]、この学名の組合せはおそらく正式発表されていない。また、Hassler (2021)ではLycopodium serrata var. alpestreHuperzia sutchueniana (Herter) Ching のシノニムとされるが、その分布は中国のみとされる[37]
  13. ^ 日本を含むアジアのものは亜種 subsp. arctica (Grossh. ex Tolm.) Á.Löve & D.Löve に置かれることもある[40]。これは subsp. appressa (Bach.Pyl. ex Desv.) D.Löve とされることもある[37]
  14. ^ 海老原 (2016) では Lycopodium sieboldii Miq. var. christensenianum (H.Christ & Herter) Tagawa として引用され[42]、この学名の組合せはおそらく正式発表されていない。また、Hassler (2021)では Huperzia sieboldii var. christenseniana (H.Christ & Herter) Nakaike および Phlegmariurus christensenianus (H.Christ & Herter) SatouPhlegmariurus fargesii (Herter) Ching (ヒモスギラン)のシノニムとされる[37]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 海老原 2016, pp. 260–270.
  2. ^ a b c d e f PPG I 2016, pp. 563–603.
  3. ^ ギフォード & フォスター 2002, p. 24.
  4. ^ 長谷部 2020, p. 26.
  5. ^ 岩槻 1992, pp. 42–43.
  6. ^ a b c d e f g h i ギフォード & フォスター 2002, p. 115.
  7. ^ a b c d e f g h i j k 長谷部 2020, p. 口絵13.
  8. ^ a b c d e f g 田川 1959, pp. 7–16.
  9. ^ 長谷部 2020, p. 137.
  10. ^ 長谷部 2020, p. 129.
  11. ^ a b c d 長谷部 2020, pp. 129–130.
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s ギフォード & フォスター 2002, pp. 125–128.
  13. ^ a b c d e f g h i 岩槻 1992, p. 42.
  14. ^ 長谷部 2020, p. 133.
  15. ^ a b c d e f g ギフォード & フォスター 2002, p. 116.
  16. ^ 熊沢 1979, p. 121.
  17. ^ ギフォード & フォスター 2002, pp. 113–181.
  18. ^ Fujinami et al. 2021, pp. 460–468.
  19. ^ a b c ギフォード & フォスター 2002, p. 119.
  20. ^ a b ギフォード & フォスター 2002, p. 58.
  21. ^ ギフォード & フォスター 2002, pp. 116–119.
  22. ^ ギフォード & フォスター 2002, p. 134.
  23. ^ 西田 2017, p. 145.
  24. ^ a b 長谷部 2020, p. 口絵3.
  25. ^ a b c Wikström & Kenrick 2001, pp. 177–186.
  26. ^ a b c Chen et al. 2021, pp. 25–51.
  27. ^ a b 高宮 1997, p. 89.
  28. ^ a b ギフォード & フォスター 2002, p. 131.
  29. ^ Holub 1985, pp. 67–80.
  30. ^ Field et al. 2015, pp. 635–657.
  31. ^ a b 高宮 1997, p. 92.
  32. ^ 野生生物調査協会・EnVision環境保全事務所 (2021年). “コウヨウザンカズラ”. 日本のレッドデータ検索システム. 2023年6月16日閲覧。
  33. ^ 芹沢俊介 (1972-02). “琉球のシダ植物雑記 (一)”. 北陸の植物= The Journal of Geobotany (北陸の植物の会 / 植物地理・分類学会 = The Society for the Study of Phytogeography and Taxonomy) 20 (1): 5–9. hdl:2297/45739. ISSN 0374-8081. NAID 120005819644. https://hdl.handle.net/2297/45739. 
  34. ^ 国立科学博物館 (2021). “英語目次・表紙写真解説”. 保全生態学研究 26 (2): Toc1. doi:10.18960/hozen.hozen.26.2_Toc1. 
  35. ^ a b c d e f g h 海老原 2016, p. 261.
  36. ^ a b c 海老原 2016, p. 262.
  37. ^ a b c d e f Hassler 2021.
  38. ^ 岩槻 1992, p. 47.
  39. ^ a b 海老原 2016, p. 263.
  40. ^ a b 海老原 2016, p. 264.
  41. ^ 海老原 2016, p. 265.
  42. ^ 海老原 2016, p. 270.
  43. ^ a b c d e f g h i j k l 高宮 1997, p. 90.
  44. ^ a b 刈米 & 北村 1975, p. 21.
  45. ^ a b ギフォード & フォスター 2002, p. 125.
  46. ^ 高宮 1997, p. 91.
  47. ^ 渡辺顕一 (2005-02-01). シダを楽しむ―人気の日本種・海外種200余種といろいろな育て方・楽しみ方. 別冊趣味の山野草. 栃の葉書房. p. 140. ISBN 978-4886161550 


「ヒカゲノカズラ科」の続きの解説一覧




固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア」からヒカゲノカズラ科を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書からヒカゲノカズラ科を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書からヒカゲノカズラ科を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ヒカゲノカズラ科」の関連用語


2
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
100% |||||

ヒカゲノカズラ科のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ヒカゲノカズラ科のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのヒカゲノカズラ科 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS