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イグサ科

(Juncaceae から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/07/25 00:10 UTC 版)

イグサ科
イグサ近縁種
Juncus effusus
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: イネ目 Poales
: イグサ科 Juncaceae
学名
Juncaceae
Juss. (1789)

イグサ科(イグサか、Juncaceae)は単子葉植物の一つである。外見はイネ科に似ているが、小穂は作らない。

概説

風媒花へと進化した植物で、は地味で目立たず、全体の姿はイネ科カヤツリグサ科に似ている。しかし、花は一つずつが独立していて、小穂のようなものを作らない。よく見れば、地味ながらも六枚の花びらに当たるものがあり、多くのものでは雄しべと雌しべがそろっている。最も有名なイグサ(イ、トウシンソウ)は、湿地性で葉がなく、茎だけが多数伸び、ヤマアラシを頭から泥に突っ込んだような姿のような株立ちになる。茎の先端に花を房のようにつけるが、花序のすぐ下につく苞が、茎の延長のような形になっており、見かけ上は茎の途中から横向きに花序が出たように見える。実際には、イネ科のような細長い葉があって、茎を伸ばしてその先端に花をつける形のものが多い。

特徴

ほとんどのものは多年生の草本で、少数の1年生のものが含まれる[1]。多くのものでは根茎がよく発達し、茎は直立するか斜めに伸び、その断面は丸いものが多いが扁平になっているものもある。葉は細長くて円柱状のものが多いが左右から扁平になったものやイネ科のもののような形のものもある。その基部は鞘状になっており、また葉身の基部には葉耳があるものが多いが、発達しない例もある。茎の基部の葉では葉身が発達しないか針状程度になって鞘のみになっている。

花序は円錐花序、散房花序、集散花序、あるいは頭状花序の形をとる。花序は花茎の先端につくものだが、中には花序の最下の苞葉が茎の延長のような形に発達し、花序はその側面に出るように見えるものもある。花は両性で雌雄同株のものがほとんどだが、単性で雌雄異株のものもある。花の基部に小苞がある例とない例がある。花被片は互いに離れているが地味でイネ科の頴のように見えて目立たない。花被片は6枚あり、内側3枚と外側3枚の組み合わせになるが何れもほぼ同型同質で花弁と萼片のような区別は出来ない。雄蘂は3本か6本、葯は花糸の先端について内側を向く。雌しべは1個、子房上位で心皮は3枚となっており、1室で側膜胎座、または3室で中軸胎座になっている。胚珠は倒生で個々の真皮に1個から多数が含まれる。花柱は1本で柱頭は3本に分かれており、糸状である。果実は蒴果でその背中側で割れる。種子は3個から多数となる。種子はおおむね小型で、その外側に外種皮を持つものや一端に種枕を持つものがある。

下位群と分布

本科には7属440種ほどが知られており、ほぼ全世界に知られるが、種数としてはイグサ属 Juncus とスズメノヤリ属 Luzula が突出して多く、前者が300種以上、後者も100種以上があって本科の種の大半を占める[2]。この2属は北半球の温帯から寒帯にかけて分布する。他方で残りの5属はいずれもごく少数の種を含み、その分布は南半球の熱帯高山域にのみ分布し、特に南アメリカに見られる属が多い[3]。従って種を見ると北半球に偏っているが、この科の多様性の中心は南半球、特に南アメリカにあると言ってよい。

分類

現在ではこの科はイネ目 Poales に含められており、カヤツリグサ科と姉妹群を成すとの判断である。

下位分類

日本には以下の2属のみが含まれる。

以下のものは日本に産しないものである。

  • Distichia ディスティキア属 アンデス山脈の高山帯でクッションを形成、3種。
  • Patosia パトシア属 アンデス山脈の高山帯でクッションを形成、1種。
  • Oxychloé オクシクロエ属 アンデス山脈の高山帯でクッションを形成、6種。
  • Rostkovia ロストコウィア属 南半球に隔離分布、立ち上がる草で花茎の先端に単独の花をつける、2種。
  • Marsippospermum マルシッポスペルムム属 南半球に隔離分布、立ち上がる草で花茎の先端に単独の花をつける、2種。
近年に北半球のものとして Oreojuncus が追加された[4]

ただし近年の分子系統を用いた検討によるとスズメノヤリ属はほぼ単系統性が認められるのに対して、イグサ属は単系統性が認められず、その系統樹の中に南半球の小群を含んでしまうとの結果が得られている[5]。そのためにイグサ属を7つに分けるという大胆な提案もなされているが、広く認められるものとはなっていない。

利害

最も身近なものはイグサ属のイグサである。表などに使うため、水田で栽培される。

出典

  1. 以下、主として大橋他編(2015) p.287.
  2. 以下も大橋他編(2015) p.287, 292.
  3. 以下もDràbkovà et al.(2006) p.p.132.
  4. Dràbkovà
  5. 以下もProċków & Dràbkovà(2023)

参考文献

  • 大橋広好他編、『改定新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』、(2015)、平凡社
  • Lenka Dràbkovà et al. 2006. Phylogenetic relationships within Luzula DC. and Juncuc L. (Juncaceae): A comparison of phylogenetic signals of trnL-trnF intergenic spacer, trnL intron and rbcL plastome sequence data. Cladictics 22. :p.132-143.
  • J. Proċków & L. Z. Dràbkov, 2023. A revision of the Juncaceae with delimitation of six new genere: nomenclatural change in Juncus. Phytotaxa 622(1): p.17-41.

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