等価線量
等価線量
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 23:51 UTC 版)
等価線量(とうかせんりょう、英: equivalent dose)とは、放射線防護のための人体の各臓器の被曝線量を表す線量概念を言う。放射線を被曝した人体組織の臓器吸収線量に放射線加重係数[注釈 1]を乗じたものとして定義され、単位はシーベルト(記号:Sv)が用いられる[注釈 2]。
注釈
- ^ weighting factorの日本語訳は、1990年勧告では"荷重係数"とされたが、weightは"加重"であり、"荷重"はloadであることから、2007年勧告にて"加重係数"に変更された[1]。この記事では"加重係数"に統一する。
- ^ 防護線量概念としては、1990年のICRP勧告にてそれまで使用されていた線量当量(dose equivalent)に代わって用いられるようになった[2]。
- ^ 等価線量はあくまで線量限度内で用いられるべき線量概念である[3]。
- ^ そのため、閾線量はGyで表示される。
- ^ なお、放射線医学における医療被曝では、統一的に扱うため、診断に用いられる数 mGyから治療に用いられる数10 Gyまですべて臓器吸収線量で表される。
- ^ 電磁波(ガンマ線、X線)などは量子力学的効果(光電効果、コンプトン散乱など)を考えなければ、電磁気学的な波動であり粒子(光子)として扱う必要は無い。
- ^ 低線量被曝においては主にガンが問題となることからガンの RBE を吸収線量に掛け合わせた線量がまず考えられた。ただし、その当時はガンの RBE に関する十分なデータが無かった。
- ^ 例えば、ICRUの1962年の報告書より以前においては RBE dose と呼ばれる線量概念が参考程度に定義されていた。
- ^ 等価線量は臓器に対して定義されたものであるからか、計測においては放射線加重係数と等価線量は用いられず、線質係数と線量当量が用いられる。実際 ICRU においては未だ線量当量で定義されている。
- ^ なお、放射線のリスクに関連した線量概念である実効線量(effective dose)は各臓器の組織加重係数にそれぞれの等価線量を掛け合わせたものの総和であり、単位は同じシーベルト(記号:Sv)であるが等価線量とは別の概念である。 詳細は「実効線量」を参照
- ^ T は変数であり、数学のように T = 甲状腺 と書き表すことにすれば、これは HT → H甲状腺(甲状腺に受けた放射線の等価線量)ということである。つまり、H甲状腺 は甲状腺の等価線量ということになる。
- ^ なお、修正係数 M が掛け合わされることもあるが、大抵は M=1 として扱われるため省略する。
- ^ 例えば、電離則(第八条)における線量の測定はモニタリング行為である。
- ^ フィルムバッジなどはJIS規格が定まっており[14]、JIS規格を満たしているということをもって正確に定義を満たした(または等価な)実効線量または等価線量の実用量を計測しているということが担保されるので、法令上の計測方法を遵守していると主張できる(その立証責任はJISが持つことになる)。
- ^ 周辺線量当量、方向性線量当量の定義において、ICRU球と呼ばれる直径30cmの球体が用いられるが、この球体を用いて計測した線量当量がなぜ実効線量につながるのかという理由について知りたい場合は、グリーニング(1988) pp.152-153 参照。
- ^ 空間線量測定マニュアル[15]から抜粋
- ^ 空間線量測定マニュアル[15]から抜粋
- ^ ここでαは方向性線量当量の値が最大となる方向であり、決まった角度ではない。すなわち、実質的に実務として方向性線量当量の角度変数は用いない。
- ^ 言い換えれば荷電粒子放射線がその飛程の単位長さあたりにまわりの物質に与えるエネルギー量
- ^ LET は荷電粒子放射線の電荷の二乗に比例し、その速さにほぼ反比例する[17]。
- ^ 一次線(ガンマ線、X 線そのもの)と物質との相互作用によって発生する二次線が電子線
- ^ なお、高LET放射線による傷害の原因の大半は直接作用であるとされる[18]。
- ^ 文献によっては、200 kVp の X 線で水中のLETが 3 keV/μm、線量率 0.1 Gy/minを基準放射線としているものもある[20]。
出典
- ^ ICRP 2007.
- ^ a b 草間 1995, p. 44.
- ^ 草間 2005, pp. 11, 22.
- ^ 草間 1995, pp. 42–45.
- ^ 辻本 2001, pp. 48–49.
- ^ グリーニング(1988) p.152
- ^ 例えば、電離則第四条-第七条など
- ^ 草間 2005, pp. 22–23.
- ^ 放射線審議会 基本部会 (2010年1月). “国際放射線防護委員会 (ICRP) 2007年勧告 (Pub. 103) の国内制度等への取入れに係る審議状況について 中間報告 (PDF)”. 文部科学省. p. 8. 2011年5月4日閲覧。
- ^ 吉澤道夫. “ICRP 新勧告による外部被ばく線量評価 (PDF)”. 2011年7月12日閲覧。
- ^ アイソトープ協会 1992, pp. 166–172.
- ^ 草間 2005, pp. 19–20.
- ^ 保健 2002, pp. 5–6.
- ^ 辻本 2001, p. 56.
- ^ a b 保健 2002, p. 4, 表2.3.
- ^ 保健 2002, p. 2.
- ^ a b 草間 1995, p. 27.
- ^ 放射線のDNAへの影響
- ^ アイソトープ協会 1992, pp. 128–130.
- ^ a b 辻本 2001, p. 48.
- ^ アイソトープ協会 1992, p. 129.
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