キリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > キリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン)の意味・解説 

キリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン)

(Christ on the Cross with Mary and St John から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 22:14 UTC 版)

『キリスト磔刑の三連祭壇画』
ドイツ語: Kreuzigungstriptychon
英語: Crucifixion Tryptich
作者ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
製作年1443-1445年ごろ
種類オーク板に油彩
所蔵美術史美術館ウィーン

キリストの磔刑の三連祭壇画』(キリストのたっけいのさんれんさいだんが、: Kreuzigungstriptychon: Crucifixion Tryptich)は、初期フランドル派の巨匠ロヒール・ファン・デル・ウェイデンが1443-1445年ごろ、板上に油彩で制作した三連祭壇画である。作品は、1659年に神聖ローマ帝国レオポルト・ヴィルヘルム大公のコレクションに入り、現在はウィーン美術史美術館に所蔵されている[1][2]

作品

本作は今日、祭壇画の形式となっているが、本来1枚のパネルに描かれていたものである。早い時期に、作品は3分割されて、左右の部分が三連祭壇画の両翼となった[1]。中央パネル (縦96センチ、横69センチ) は、キリストの磔刑を表しており、聖母マリアが十字架の下にしがみつき、福音書記者聖ヨハネが彼女を慰めている。2人の寄進者は右側に跪いている。左側パネル (縦101センチ、横35センチ) にはマグダラのマリアが描かれており、右側パネル (縦101センチ、横35センチ) には聖ヴェロニカが描かれている[1][2]

本来の1枚の状態であった時、作品はウェイデンの大きな革新性をより如実に示すものであった。すなわち、初めて画家は、すべての登場人物を統一された風景の中に配置したのである[1]。その風景の遠方にはエルサレムが見える。強い感情が中央パネルの聖母マリア、福音書記者聖ヨハネ、天使たちの身振りに表現されているばかりでなく、空気の中で装飾品のように翻るヨハネの衣服とイエス・キリストの腰布によっても表現されている[1]

本作の構図は確実にウェイデン自身によるものであるが、制作には助手の手が加わっているようである。おそらく下絵の一部にも関与しているであろう。人物の描写は高い水準であるが、『十字架降下』(プラド美術館) などの人物像と比べるとより抽象的で、三次元性を持っていないように見える。風景もまた、画家の他の風景に比べると精彩がなく、大気を欠いているように思われる[3]

脚注

  1. ^ a b c d e Triptych: The Crucifixion”. 美術史美術館公式サイト (英語). 2023年5月17日閲覧。
  2. ^ a b 『ウイーン美術史美術館 絵画』、1997年、56頁。
  3. ^ Crucifixion Triptych”. Web Gallery of Art公式サイト (英語). 2023年5月17日閲覧。

参考文献

  • 『ウイーン美術史美術館 絵画』、スカラ・ブックス、1997年 ISBN 3-406-42177-6

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  キリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「キリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン)」の関連用語

キリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



キリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのキリストの磔刑の三連祭壇画 (ウェイデン) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS