ART COMPLEXグループ
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ART COMPLEXグループ(アートコンプレックスグループ)は、京都・大阪を拠点とする文化芸術企業グループ。1998年に設立され、劇場運営、舞台作品の企画制作、文化施設の再生事業を展開し、ノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』の長期公演や、産業遺産を活用したクリエイティブセンター大阪(CCO)の運営を行っている。グループ代表は小原啓渡[1]。
概要
「アートを切り口に、新しい価値観を創造する」を理念とし[2]、劇場運営、コンテンツ制作、文化事業コンサルタント、イベント企画・運営、技術スタッフ派遣・機材レンタルなどの事業を展開している。代表作品であるノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』は、2012年からの長期公演により2025年6月時点で公演回数4900回を突破し、日本オリジナル作品として異例の記録を樹立している[3]。また、国宝建造物でのプロジェクションマッピング[4]や産業遺産の文化施設への転用など、文化芸術と地域活性化を結びつける事業に特色がある。
組織・関連法人
グループは以下の法人から構成される[2]。
- リッジクリエイティブ株式会社(統括会社、資本金1000万円、従業員数17人、京都市中京区、法人番号:4130001023132)
- 有限会社一九二八(『ギア-GEAR-』公演主催、1999年設立、京都市中京区、法人番号:7130002015646)
- 株式会社アートコンプレックス(大阪事業担当、2005年設立、大阪市福島区、法人番号:4120001108537)
- ギア株式会社(コンテンツ事業、2016年設立、京都市中京区、法人番号:9130001058487)
主要拠点・施設
- ギア専用劇場(アートコンプレックス1928)
京都市中京区の1928ビル内にある専用劇場。元毎日新聞社京都支局(1928年建築)を改装した建物で、現在は『ギア-GEAR-』の専用劇場として長期公演を継続している。
- クリエイティブセンター大阪(CCO)[5]
大阪市住之江区の名村造船所跡地を活用した複合文化施設。音楽イベント、アート展示、映像撮影、国際フェスティバルなど多様な文化創造活動の拠点として機能している。
- KYOTO舞踏館
2016年にオープンした京都の舞踏専用小劇場。日本初の舞踏専用劇場として設立された[6]。
代表的な事業・作品
- ノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』
2012年4月から京都の専用劇場でロングラン公演を開始。言葉を使わない舞台表現により、年齢や国籍を問わず楽しめる演目として制作された。2015年にはロシア・モスクワでの6ヶ月間ロングラン公演を実施[7]。他にも中国、タイ、マレーシア、シンガポール、台湾で公演を行い、日本発オリジナルコンテンツの海外展開実績を持つ。
- プロジェクションマッピング事業
2004年から京都「三条あかり景色」でプロジェクションマッピング事業を開始[8]。国宝建造物への映像演出を手がけており、知恩院三門(国宝)、二条城二の丸御殿(国宝)などでの実績がある[4]。2011年には京都岡崎「あかりとアートのプロムナード」もプロデュース[9]。
- ワークショップフェスティバル「DOORS」
2007年から開始したワークショップフェスティバル。文化芸術の体験機会提供を目的とした継続事業として展開している[10]。
- アーティスト・イン・レジデンス事業
2003年に京都西陣でアーティスト専用宿泊施設「AIR京都」をオープン。2008年には「AIR京都」を大阪に移し、アーティスト専用宿泊施設「AIR大阪」を開設し、国内外のアーティストの滞在創作活動を支援した[1]。
- その他の事業・プロジェクト
受賞歴
- 2013年:『ギア-GEAR-』が京都府文化ベンチャーコンペティションにおいて近畿経済産業局長賞、京都銀行賞をダブル受賞
- 2016年:『ギア-GEAR-』が京都創造者大賞2016(アート・文化部門)受賞[18]
- 2018年:『ギア-GEAR-』が「はなやかKANSAI魅力アップアワード 関西インバウンド大賞」を受賞[19]
- 2020年:『ギア-GEAR-』が京都府「京都夢実現プラン」推進特別賞を受賞[20]
沿革
- 1998年:リッジクリエイティブ株式会社設立(代表:小原啓渡)
- 1999年:旧毎日新聞社京都支局ビルを改修し「アートコンプレックス1928」をオープン[21]
- 2003年:京都西陣にてアーティスト専用宿泊施設「AIR京都」オープン、証券会社と連携し第一回ロングラン公演(キュピキュピ)を開催[22][23]
- 2004年:株式会社アートコンプレックス設立、名村造船所跡地でのアートプロジェクト「NAMURA ART MEETING '04-'34」開始[24]
- 2006年:大阪市立芸術創造館の指定管理者として運営開始(~2022年3月、16年間)[1][25]
- 2007年:ワークショップフェスティバル「DOORS」開始[10]、名村造船所跡地を「クリエイティブセンター大阪」として統合
- 2008年:AIR京都を大阪に移し、アーティスト専用宿泊施設「AIR大阪」オープン
- 2009年:「水都大阪2009」にて巨大アヒル『ラバーダック』ディレクション(日本初導入・演出)[1]
- 2010年:ノンバーバルパフォーマンス『ギア』プロデュース開始
- 2012年:京都で『ギア-GEAR-』ロングラン公演開始[26]
- 2013年:京都府文化ベンチャーコンペティションで近畿経済産業局長賞・京都銀行賞ダブル受賞
- 2015年:『ギア-GEAR-』をロシア・モスクワに輸出、6ヶ月ロングラン公演実施
- 2016年:日本初の舞踏専用劇場「舞踏館」オープン、「ギア株式会社」設立
- 2018年:『ギア-GEAR-』が関西インバウンド大賞受賞[19]
- 2020年:『ギア-GEAR-』が京都夢実現プラン推進特別賞受賞[20]
- 2022年:大阪市立芸術創造館指定管理期間終了、『ギア-GEAR-』ロングラン10周年達成
- 2023年:『ギア-GEAR-』4000回公演突破[27]
- 2024年:『ギア-GEAR-』4500回公演・観客動員数30万人突破[28] [2]
脚注
- ^ a b c d “小原啓渡(アートプロデューサー)”. 愛知芸術文化センター. 2025年9月10日閲覧。
- ^ a b c “ART COMPLEXについて”. ART COMPLEX. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “AIの時代に問う「人間とは何だ」ーー京都発の一切セリフを使わない舞台『ギア-GEAR-』通算4,900回公演を達成”. SPICE (2025年6月24日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ a b “ART COMPLEX製作プロジェクションマッピング映像集”. YouTube. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “基本情報”. クリエイティブセンター大阪. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “ABOUT”. KYOTO舞踏館. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “京都生まれの演劇がモスクワでロングラン公演”. JETRO (2015年12月4日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “三条あかり景色2004『三条通をシアターに』”. 京都新聞 (2004年8月28日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “岡崎ときあかりとは”. 岡崎ときあかり. 2025年9月10日閲覧。
- ^ a b “トップページ”. DOORS. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “【募集】2010.07.07-11 コンドルズ合宿ワークショップ@アートコンプレックス1928”. dance+ (2010年3月23日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “まちデコプロジェクト♯001”. 京都国際マンガミュージアム. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “京都国際マンガミュージアムの壁が幻想的な映像で埋め尽くされる「MACHIDECO international」が開催”. ウォーカープラス (2011年9月13日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “HOTDOCKS -CCO×NDSM-”. クリエイティブセンター大阪. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “間近で見る不思議に興奮”. 毎日新聞 (2018年10月5日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “広域ブロック自立施策推進調査 関西地域のプロモーション機能の整備に関する調査」における「『日本版TKTS(チケッツ)(仮称)』の設置に向けた環境整備に関する調査”. 国土交通省. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “TTCが静かにスタート 国内初の当日券売り場”. 共同通信 (2010年3月5日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “京都創造者大賞2016 アート・文化部門 アートコンプレックスグループ”. 京都ブランド推進連絡協議会 (京都府、京都市、京都商工会議所) . 2025年9月10日閲覧。
- ^ a b “「ギア」にインバウンド大賞”. 京都新聞 (2018年3月7日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ a b “京都府特別功労表彰等の受賞者の決定について”. 京都府 (2020年6月9日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “京で「芸術の複合」発信”. 日経新聞 (1999年12月4日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “求むエンゼル 公演を証券化”. 中日新聞 (2003年7月24日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “アート集団キュピキュピ 京でロングラン公演中”. 京都新聞 (2003年11月1日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “万博よりオモロイで~大阪豪商スピリッツ満載のアートの街・北加賀屋”. 現代ビジネス (2023年9月1日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “令和2年度 事業報告書”. 大阪市立芸術創造館. 2025年9月10日閲覧。
- ^ “無言語パフォーマンス『ギア』200回ロングラン”. 朝日新聞 朝刊(京都版) (2012年12月4日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “京都のノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』が公演4,000回へ リピーターが明かす「飽きない理由」とは?”. SPICE (2023年7月11日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “京都ロングラン公演『ギア-GEAR-』、観客動員数30万人を突破”. SPICE (2024年1月28日). 2025年9月10日閲覧。
外部リンク
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