黄小娥とは? わかりやすく解説

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黄小娥

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/03 10:00 UTC 版)

黄 小娥(こう しょうが、1913年1月12日[1] - 没年不詳)は、熊本県山鹿市出身[2]易者である。1961年に『易入門』を出版し、占いブームを引き起こした[3]。本名は川津 久佳[4]川津 久於[5]川津 久子[1]などとされておりはっきりとしていない。

略歴

『易入門』の著者紹介では、生まれや育ち、国籍も不明で、親も夫もなく天涯孤独であるとされており[6]、本名や経歴は明かされていなかった。

しかし、同書の人気が高まると週刊誌の暴露記事などで経歴が明らかとされた[7]。熊本県山鹿市の履物屋の娘として生まれたが[2]、幼い頃に母と死に別れ、継母の元で育った[3]熊本県立山鹿高等女学校卒業後[2]、17歳で熊本市の建築材料店経営者と結婚し一男一女をもうけたが、戦後に離婚しひとり家を出たという[2][3]。その際に所持していた資金を元に小金貸しをしながら占いの勉強を始め、熊本市内に店を構えるよになった[2][3]。その後上京し、10年間易学校で学び、四谷駅前のアパートで易者として仕事を行っていた[3]。のちに高木彬光から光文社を紹介され[6]、百円玉や十円玉を筮竹や算木の代わりにして占う『易入門』を執筆したという[3]。光文社からは自身の出自などに関して口外しないように言われており、謎の易者というイメージを創られていた[6][注釈 1]。出版当時、年齢は40~50歳と推測されていた[3]

『易入門』は、1961年に光文社から出版され、1987年には文庫化をされた。『易入門』が出版された際、黄を見出した高木彬光[9]、『著書は現在易占の第一人者。学術ともに兼ね備えた名人』と賛辞をよせている[6]

その後、2004年サンマーク出版より新装版が出版されており[10]、復刊された『黄小娥の易入門』に寄稿を行っている。

評価

井上ひさしは、経歴不詳の「ナゾの美人」と演出することで占い師としての神秘性と謎の創出に成功し、『易入門』の人気が生まれたと評している。また、黄はブームの中でも不愛想な態度をとっており、井上はそこに易者としての好感を持ったと語っている[3][11]

連載記事『ベストセラーの戦後史』の第18回において、『易入門』を昭和37年最大のベストセラーとして取り上げており[11]、五十本の筮竹と六本の算木をわずか六枚の硬貨で代用する方法を教えたこと、難解な易経の教えを易しく説いたこと、この2点において本書は画期的であったとしている[3]。また、易経は「座右に備えて、あてもなくページを繰っては、人生全般に関する助言をありがたく汲み取る」のが賢い利用法であるとし、この易経の本質を本書はかなり忠実に写しており、占いをするでもなく漫然と読んでいる読者もとらえるような魅力があると語っている[3]。井上によると、この本をきっかけに易経に興味をもって触れたという人も多かったという[3]

著書

  • 『易入門 自分で自分の運命を開く法』(1961年、光文社
  • 『易占七六八の答』(1962年、実業之日本社
  • 『十二支 生れ年がきめる男女の相性と金の運』(1967年、光文社)
  • 『愛易 恋愛と結婚の幸せをつかむ神秘術』(1971年、祥伝社
  • 『競馬占い作戦 易で勝馬を当てる法』(1971年、実業之日本社
  • 『易占い入門』(1972年、実業之日本社)
  • 『自分でできる恋愛と結婚易占い』(1974年、主婦の友社

映画

原案

脚注

注釈

  1. ^ 『易入門』以前から黄小娥として活動しており、1956年発売の雑誌で占いを担当していたことが確認できる[8]

出典

  1. ^ a b 文化人名録 昭和43年版(14版)」国立国会図書館デジタルコレクション
  2. ^ a b c d e 熊本昭和史年表」国立国会図書館デジタルコレクション
  3. ^ a b c d e f g h i j k 井上ひさし 『ベストセラーの戦後史2』 文芸春秋、平成7年
  4. ^ 占い師! : ココロの時代の光と影」国立国会図書館デジタルコレクション
  5. ^ 新・あるす・あまとりあ : 全世界の性典による態位の研究」国立国会図書館デジタルコレクション
  6. ^ a b c d 実業の世界 59(5)」国立国会図書館デジタルコレクション
  7. ^ 1962年3月12日号『週刊新潮』「易者黄小娥女史の素性 神秘づけられた影の女帝」
  8. ^ 小説倶楽部 9(13)」国立国会図書館デジタルコレクション
  9. ^ 実業の世界 60(9)」国立国会図書館デジタルコレクション
  10. ^ 黄小娥の易入門 サンマーク出版
  11. ^ a b 『易入門』を取り上げた回は文芸春秋昭和六十四年新春特別号に掲載された。




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