黄変性
黄変性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 16:00 UTC 版)
市販のチューブ入り油絵具、特に習作用、大作用、普及品等の安価な製品においては、黄変(:絵具が乾燥に伴って黄味、赤味が増し、暗くなる現象)の影響が顕著である。白色などの明色の大半は芥子油、暗色など乾性油の黄変の影が弱い色は亜麻仁油を使用し練り上げることが一般的である。ただし、ごく限定的に芥子油を使用するメーカーもあれば、自社最高級品の全色を芥子油などの淡色の乾性油で練り上げるメーカーも存在する。これは各製造元の企業倫理と設計思想の問題であり、一概にどの手法が最良であるとは言えない。 亜麻仁油は、乾燥が速く堅牢な塗膜を作るものの、黄変性が強い。これに対して、芥子油・ポピーオイルは黄変性は小さいものの、乾燥が遅く、塗膜も脆いので100年程度経過しただけで塗膜に問題を起こし絵の美観を損なう例も多い。また芥子油は高価である為、普及品などにおいてはサフラワーオイルが採用される場合も多い。 白色の黄変性を抑制する目的で亜鉛華・ジンクホワイトを添加する措置が存在するものの、亜鉛華は亀裂などの問題を起こす原因であり、望ましくない。添加を製品に明記している製造元として、「コルアート(『ウィンザーアンドニュートン(Winsor & Newton)』)」、「ロイヤルターレンス(『レンブラント』、『ヴァンゴッホ』)」、「シュミンケ(『ムッシーニ』)」等がある。他方で、添加を明言しているメーカーとして松田油絵具株式会社がある。
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