静的安定度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/05 05:47 UTC 版)
大気の安定度を考える上で、静的安定度(static stability)という考え方がある。 静水圧平衡の状態にある大気の中で、空気塊を鉛直方向に変位させる(物理学的に安定し静止した大気の中で、空気を上下に移動させる)と、元の位置に戻ろうとするか、そのまま変位し続けるかのどちらかとなる。前者を静的安定、後者を静的不安定な大気と呼ぶ。ここで、静的安定度は以下のように定義される: S = − a g ∂ ( ln θ ) ∂ p {\displaystyle S=-{\frac {a}{g}}{\frac {\partial (\ln \theta )}{\partial p}}} ここで、a は比容、g は重力加速度、θは温位、pは気圧を表す。これを理想気体の状態方程式などを用いて変形すると、以下のようになる: S = − R T p g 1 θ ∂ θ ∂ p = ∂ p ∂ z 1 θ ∂ θ ∂ p = − 1 θ ∂ θ ∂ z {\displaystyle {\begin{aligned}S&=-{\frac {RT}{pg}}{\frac {1}{\theta }}{\frac {\partial \theta }{\partial p}}={\frac {\partial p}{\partial z}}{\frac {1}{\theta }}{\frac {\partial \theta }{\partial p}}\\&=-{\frac {1}{\theta }}{\frac {\partial \theta }{\partial z}}\end{aligned}}} ここで、∂θ/∂z は温位勾配である。静的安定度が正か負か、つまり安定か不安定かは、この温位勾配の正負によって決まる。 ∂θ/∂z ≦ 0 のとき、絶対不安定となる。また、∂θ/∂z > 0 のときは、その時点では安定であるが、さらに上昇したときの状態を他の変数を用いて考える必要がある。 ここで用いるのが相当温位θeと飽和相当温位θe*である。∂θe/∂z ≦ 0 のときは、更に空気塊が上昇すれば不安定となり、下記の対流不安定にあたる。また、∂θe*/∂z ≦ 0のときは、その地点で空気塊中の水蒸気が飽和すれば不安定となり、下記の条件付不安定にあたる。
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