転位とは? わかりやすく解説

転位

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/22 04:38 UTC 版)

結晶格子面と原子

転位(てんい、英語: dislocation)は、材料科学の用語で、結晶中に含まれる、線状の結晶欠陥のことである。外力等によって、転位近傍の原子が再配置されることによって転位の位置が移動し、材料が変形するため、変形に要する力は原子間の結合力から理論的に計算される力よりも小さく、金属の硬さ(変形のしにくさ)は、転位の動きやすさが決めている。転位が動くことによって、金属等は外力に対して、破壊せずに変形する塑性変形を起こす。このようなメカニズムをエゴン・オロワン英語版らが解明することによって結晶力学は飛躍的に進歩し塑性変形強度の基本原理となった。

分類

刃状転位
螺旋転位
Transmission electron micrograph of dislocations

転位線の周りの原子の不一致の向きはバーガースベクトルで表される。転位は、転位線とバーガースベクトルの関係により以下のように分類される。

刃状転位
(じんじょうてんい、はじょうてんい、: edge dislocation
転位線とバーガースベクトルが垂直で、転位のない結晶に余分面を無理やり押しこんだ形の結晶欠陥である。
螺旋転位
(らせんてんい、: screw dislocation
転位線とバーガースベクトルが平行で、転位線に対して平行に結晶面がずれているものをいう。
混合転位
転位線とバーガースベクトルが平行でも垂直でもなく、刃状転位と螺旋転位の2つが混合し両方の性質をもっている。

性質

転位は結晶の内部で端点を持つことができず、ループ状になるか端点が結晶表面に出てこなくてはならない[1]

転位密度(単位体積当たりの転位線の長さ)は普通の金属において、焼きなました状態で1010 - 1012 m-2 程度、塑性加工して1014 - 1016 m-2 程度である[1]

転位の周りには弾性ひずみ場が存在するためエネルギー的に高い状態にある。このため、転位線にはその長さを短くしようとする張力がはたらく。転位のエネルギーE(これは張力の大きさに等しい)はバーガースベクトルbを用いて次式で表される[1]

転位の移動による変形のイメージ図

1930年代に、材料の理論的せん断強度をオロワンが求めている。

この節の加筆が望まれています。 2020年5月

脚注

  1. ^ a b c 駒井、p.20
  2. ^ 駒井、p.28
  3. ^ 木村. pp. 58-59. 

参考文献

  • 駒井謙治郎 編 『機械材料学』(9版)日本材料学会、1999年。 
  • 木村宏『改訂 材料強度の考え方』アグネ技術センター、2002年。

関連項目





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