落ち買い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 22:08 UTC 版)
江戸時代の日本の都市部は、高度に発達したリサイクル社会であり、当然のこととして髪の毛もリサイクル(再生利用)の対象であった。多くの人々が生活するなかで日々生み出される大量の髪の毛を買い集めて回る人々がいて、そのほとんどが女性であった。こういった人々を江戸では「おちゃない」と呼んでいたが、これは「落ち買い(おちがい)」が訛った名称であった。江戸市中には「おちゃない、おちゃない~♪」という売り詞(うりことば)が響き、そうして彼女たちが集めた髪の毛を、毛屋(けや)や髢屋(かもじや)が買い取っていた。「毛屋」というのは、おちゃないから買い取ったり自分たちで集めた髪の毛を利用者に売り渡す、髪の毛専門の卸である。集められた髪の毛は、日本髪の髢(かもじ。髪を結うときに足りない部分を補うもの)や、刷毛(漆刷毛を含む)の材料となる。前述したように、髢に加工するものは髢屋が直接買い取ることもあった。また、当時は神社に髪の毛を奉納する習慣もあったため、神社がそれを天日干ししておくと、おちゃないや毛屋が買い取りにきた。
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