航跡追尾システムとは? わかりやすく解説

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航跡追尾システム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/16 08:50 UTC 版)

航跡追尾システム(こうせきついびシステム、ロシア語: Система обнаружения кильватерного следа, SOKS)は、ソ連海軍潜水艦に搭載された対潜戦センサ

原理

SOKSは、その名の通り、潜水艦が存在した痕跡を検知するための装置であるが、軍事機密のために詳細は知られていない[1][2]。現在では、SOKSは下記のような各種手法を組み合わせた複合システムであると考えられている[1]

放射性物質の検知
原子炉から放射された微弱な放射線によって放射化された放射性同位体を検知する装置やガンマ線スペクトロメーター英語版が用いられていると言われる[1]
化学物質の検知
犠牲陽極として用いられる亜鉛や、原子炉の冷却水が流れる配管から剥がれ落ちたニッケル、原子力潜水艦の酸素発生装置から生じる水素を検知していると言われる[1]
熱の検知
原子炉が放出する大量の熱を冷却するため、大型の原潜は毎分数千ガロンの冷却水を必要とする[1]。この冷却水は、周囲の海水よりも10℃ほど高温になる可能性があり、水の屈折率に変化が生じる[1]。この変化は光干渉システムで検出可能であり[1]光トモグラフィーはSOKSの中核的なセンサであると言われる[2]

SOKSは、航行後数時間までの航跡を識別可能と言われる[2]。完全にパッシブなセンサであることから、搭載艦の位置等を暴露するおそれがないほか、上記のように多様なデータを複合的に処理するため、探知への対抗も難しいとされる[2]

配備

SOKS装置は、1969年にノヴェンバー型原子力潜水艦K-14に初めて搭載された[1][2]。以後も順次にバージョンアップしつつ、全てのソ連攻撃型潜水艦に搭載されてきており、コロッサス、ブルフィンチといったコードネームが知られている[1]アクラ型原子力潜水艦の搭載モデルはMNK-200-1「トゥーカン」とされる[2]

1985年に北方艦隊が行なった大規模演習「アポルト」では、ヴィクター型原子力潜水艦(671型)K-147がアメリカ海軍ベンジャミン・フランクリン級SSBNシモン・ボリバル」を6日間にわたり追跡したが[3]、この際にもSOKSが活用されたといわれる[1][2]

脚注

出典

参考文献




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