盗跖とは? わかりやすく解説

盗跖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/08 01:05 UTC 版)

盗跖もしくは盗蹠(とうせき)は、中国の古文献に登場する春秋時代盗賊団の親分。魯の孝公の子の姫無駭(字は子展)の末裔である展獲(字は子禽、柳下恵中国語版の名で知られる)の弟。九千人の配下を従えて各地を横行し、強盗略奪をほしいままにしたといい、しばしば盗賊の代名詞のように語られる。一説には黄帝時代の盗賊団の親分。

文献に登場する盗跖

荘子

  • 外篇 胠篋篇[1]:盗跖にその徒が盗の道を問う。内容は下の「呂氏春秋」の記述と同じである。
  • 雑編 盗跖篇[2]:盗跖と孔子の問答。盗跖の悪評を聞いた孔子は「奴は弁舌が達者だから、行かないほうがよい」との警告を聞かず、盗跖に理非を説いて改心させようと出かけてゆく。孔子が「あなたのような豪傑を盗賊にしておくのは惜しい。きっと出世したら諸侯になれるでしょう」と説得するが、盗跖は「富と名誉を築いたところで古の皇帝のように結局滅びるだけ」「今も殺しをやるが、諸侯になったら仁義の名目で殺しをやる」など反論され、ほうほうの態で逃げ帰り「私の行いは生きた虎の髭を撫でてそれを編むように無謀な真似だった」(虎鬚を編む)とため息をつく。

韓非子」五蠹篇[3]:韓非子が説く法家論の比喩として、「人は小額の落し物は着服するが、大金であれば処罰を恐れ盗跖ですら拾わない」と述べ、法を厳しくすることの効能を説いている。

史記

  • 巻061 第01 伯夷列伝[4]司馬遷史記の列伝において孤竹国の義人、伯夷と叔斉が主殺しのに仕えるのを善しとせず、首陽山中国語版で餓死した一方、盗賊の盗跖が富裕のまま天寿を全うしたことに触れ、「天道は是か非か」という疑問を提出している。
  • 巻092 第32 淮陰侯列伝[5]劉邦韓信を粛清した後に捕らえた、韓信の腹心蒯徹を尋問した際、蒯徹を謀反をそそのかした罪で処刑しようとしたが、蒯徹は「跖のに吠ゆ」(飼い犬というものは相手が聖人であろうとも、主人以外の者に吠えるもの。つまり、自分の主人である韓信のために働くのは当然である)と弁明して釈放された。

呂氏春秋」(仲冬紀・当務)[6]:

盗跖の仲間「泥棒にも道はあるのですか」

盗跖「道のないものは無い。他人の持ち物を見つける聖。人より先に入る勇。出る時は義。時期を見る智。均等に分配する仁。この五者に通じないで大盗をなせたものはいない」

脚注

出典

  1. ^  胠篋” (中国語), 莊子/胠篋 - 维基文库,自由的图书馆, ウィキソースより閲覧, "故跖之徒問於跖曰:「盜亦有道乎?」" 
  2. ^  盜跖” (中国語), 莊子/盜跖 - 维基文库,自由的图书馆, ウィキソースより閲覧。 
  3. ^  五蠹” (中国語), 韓非子/五蠹 - 维基文库,自由的图书馆, ウィキソースより閲覧, "鑠金百溢,盜跖不掇" 
  4. ^  卷061” (中国語), 史記/卷061 - 维基文库,自由的图书馆, ウィキソースより閲覧, "盜蹠日殺不辜,肝人之肉,暴戾恣睢,聚黨數千人橫行天下,竟以壽終。" 
  5. ^  淮陰侯列傳” (中国語), 史記/淮陰侯列傳 - 维基文库,自由的图书馆, ウィキソースより閲覧, "蹠之狗吠堯,堯非不仁,狗因吠非其主。" 
  6. ^  卷十一#當務” (中国語), 呂氏春秋/卷十一 - 维基文库,自由的图书馆, ウィキソースより閲覧, "跖之徒問於跖曰:“盜有道乎?" 




固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア」から盗跖を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から盗跖を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から盗跖 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「盗跖」の関連用語

盗跖のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



盗跖のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの盗跖 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS