無賃入場者の逆パラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/29 13:30 UTC 版)
「無賃入場者のパラドックス」の記事における「無賃入場者の逆パラドックス」の解説
あるコンサートに1000人の観客Y1、…、Y1000が来場した。このうち、800人は1人1000円の入場料を支払ったのだが、主催者は彼らにチケットを発行しなかった。残りの200人は無賃入場者である。ところが、このコンサートは当日中止になってしまった。主催者Bは観客に、入場料の返還を行っていない。そこで、以下のような判決が下された。 前提1:Y1、…、Y1000までの原告が当日コンサートに参加していたことは証明済みである。 前提2:Y1、…、Y1000のうち、800人が入場料を支払ったことは証明済みである。 前提3:Y1、…、Y1000のうち、誰が正規入場者で誰が無賃入場者かは不明である。 前提4:この国の法律によれば、中止されたコンサートの入場料は返還されなければならない。 前提5:この国の法実務によれば、裁判官は、被告が80%以上の証明度で被告が疑わしい(この場合は、原告が入場料を支払ったこと)と判断する場合には、有責判決を下さねばならない。 前提6:これ以外の証拠は原告Y1、…、Y1000から全く提出されていない。 判決:単に80%の確率で自分は入場料を支払ったという原告の証明は不十分であるから、被告BはY1、…、Y1000に入場料を返還する必要はない。 すなわち、弁論の全趣旨説によれば、逆パラドックスの場合にも原告を敗訴させねばならないのだが、これはパラドックスの事案とは逆の意味で不当である。
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