炎症とがん
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 02:31 UTC 版)
一般的に各細胞には、数百の特殊なクラスのエンハンサーが数kbのDNA配列にわたって並んでいるスーパーエンハンサー(英語版)と呼ばれる領域が存在する。こうしたエンハンサーには、配列特異的に遺伝子発現を誘導する転写因子の結合部位が多数含まれており、細胞分化に関与する遺伝子発現を調節している。炎症時には、転写因子NF-κBはクロマチンの再編成を促進し、高占有率のエンハンサーからコファクターを選択的に再分配することで、細胞のアイデンティティの維持に関わる遺伝子の発現を抑制する。同時に、NF-κBによって駆動される再編成と再分配は、炎症による細胞機能の変化を誘導する他のエンハンサーを活性化する。その結果、炎症は細胞を再プログラムし、組織の他の部分や免疫系との相互作用を変化させる。がんではNF-κB活性を制御するタンパク質の調節異常が生じ、悪性細胞は局所組織との相互作用への依存度を低下させ、免疫系による監視を妨げることが可能となっている。
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