ゴム気球とは? わかりやすく解説

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ゴム気球

(気象観測用ゴム気球 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 02:17 UTC 版)

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高層気象観測用気球。水素ガス取扱施設内で水素ガスを充填中

ゴム気球(ゴムききゅう、: Weather balloonあるいはMeteorological balloon)とは気象観測などに用いられる球体のゴム製の気球である。気象観測用ゴム気球(きしょうかんそくようゴムききゅう)とも呼ばれる。ドイツの気象学者リヒャルト・アスマンによって1900年頃に開発された[1]。これは、それまでの皮や紙で作られた気象観測用気球と比べて以下の利点を持っている[2]

  • 安価で使い捨てできる
  • 平衡高度になることがないため膨張して破裂するまで上昇できる
  • 同じ高度に留まることがないため日射や換気不足の影響を受けにくい
  • 短時間で上昇して破裂するため風に流される距離が少なく、パラシュートを使って行う自記測定器の回収が放球地点からそれほど遠くない

概要

膨らます前の高層気象観測用気球
高層気象観測用気球。水素ガス充填前の状態。ポリエチレン袋に入っており、取り出して使用する

ゴム気球とは、伸縮性の大きい球体のゴム製の気球のことで、主に水素ヘリウムガスを注入したガス気球としてラジオゾンデレーウィンゾンデGPSゾンデなどの高層気象観測機材を付けて飛ばしたり、測雲気球測風気球の観測や各種の環境調査で飛ばされる。

ゴム気球は気球の形状や重量の違いが上昇速度や風速などの観測に影響が出てくることから、一般に形状が球状であり、またゴム気球のサイズは本体の重量(グラム数)表記で、一般には30g気球から 3000g気球[3]と多くの種類が使われており、観測する目的と観測対象の高度により使用するゴム気球が選択される[4]

また、同じ規定重量のゴム気球でも気球に入れる浮揚ガスの浮力の大きさの違いにより上昇速度が変わる[5]ため、毎回規定の浮力となるまで浮揚ガスを注入して用いられる。

ゴム気球の色は乳白色が主だが、目視で飛翔気球を追跡する測雲気球・測風気球観測や、イベント装飾など多目的用途向けに着色されたものもある。

原料は天然ゴムのほか、高層観測用途に作られたゴム気球では天然ゴムに特性が近く耐候性があるクロロプレンゴムラテックスなどの合成ゴムも使われるが、これは天然ゴムが上空の紫外線やオゾン層などの劣化を受けやすいためである。

ゴム気球は通常は高層気象観測など高信頼性を求められる用途に用いられるため、工場で製品の品質管理が十分に行われるが、使用時には信頼性を高めるためには1日もしくは1回限りで処分することが望ましい。

気象観測用ゴム気球は世界でも数社の企業でしか製造を行っていないが、日本では気球製作所やトーテックス(TOTEX)が製造している[1]

使用法

地球の大気の構造。ゴム気球が到達する高度は気球の重量により大きく異なり、特に天然ゴム製のものは高層で紫外線やオゾンなどによる劣化の影響を受けやすい。

ゴム気球は通常は水素やヘリウムなどの浮揚ガスを注入して使われるが、気象庁で最も多く使用している600g気球は水素ガスを充填[6]して使用するので、火気は厳禁である[7]

その場合、観測目的に応じた浮力になるまで充填して用いられる。 これは浮力により気球の上昇速度が決まってくるからである。

気球の上昇速度 (v) は、浮力 (L) と気球の重さ (W) で決まり、以下の近似式が知られている。

(kは気球の形と大きさによって定まる係数で、実験などにより求められる。)

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