未来の年表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/19 14:58 UTC 版)
未来の年表(みらいのねんぴょう)は、河合雅司の著書。
概要
日本は人口減少社会であるということは常識なのであるが、その実態を正確に知る人はどれくらいいるのだろうかとして、これからの日本で起きることを時系列に沿って体系的に示すことと、これからの日本への対策を具体的に提示する[2]。
著者がこの書籍を書こうと思った理由というのは、1つは日本人は既に絶滅危惧種になっており、100年も経たないうちに5000万人ほどになり、300年後には450万人ほどになり、西暦3000年には2000人にまで減少するなどで、日本は国家としては成り立たなくなるだろうから。もう一つは2042年は日本にとって最も厳しい時期になりそうなためであるため。高齢化社会となり医療や介護の不足があるが、それに加えて就職氷河期の団塊ジュニアが高齢者になり、この頃には年金の額が少なかったり無い人も多く出てきそうなためであった。第3次ベビーブームは無く団塊ジュニアを支える世代は少ないことからも懸念する[3]。
2065年ごろまでに日本で起こるだろう社会変化を時系列に示されている。これからの日本で人口減少に起因して起こる種々の問題のことを静かなる有事であるとする。2040年には自治体の半数が出産適齢期の女性の不足になり消滅の危機になる。2050年には現在に居住されている場所の19%は誰も住んでいないエリアになるとする。その頃には水道管を維持するために水道代は高騰し、交通や医療などといった重要なインフラも人材不足や財政難から崩壊していくとする[4]。
この書籍によると2020年には女性の過半数は50歳以上となり出産可能な女性が大きく減少する。出産可能な女性が少なければ出生数を上げるのは難しく、出生数が増えなければ出産可能な女性は増えないという負のスパイラルになる。2030年には生産年齢人口が極端に減少し、80%の都道府県が生産力の不足となる。2040年には地方自治体の半数が消滅の危機となる。これには青森市や秋田市などの県庁所在地も含まれる。生産力が減少すれば地方税収も減少して、地方での生活を支えるためのビジネスやサービスが経営難になり撤退する。こうなることで人が住みにくくなり人口減少するという悪循環となる[5]。
この書籍にはこれからの日本への提言も述べられている。20世紀の日本は右肩上がりに人口が増加して経済成長を遂げたのであるが、このような成功モデルとは決別せよとしている。これからの日本では人口が減少することから、この前提で国家の規模を維持するために移民を大量に受け入れなければならなくなるだろうが、闇雲に移民を受け入れたならば日本という国家のアイデンティティーが失われるということを危惧する。そこで本書では発想を転換して、国家の規模を維持することにこだわらずに、小さくても輝く日本へと移行するということを主張する。このために、戦略的に縮小、豊かさを維持、脱東京一極集中、少子化対策の4つを掲げる[5]。
この書籍は日本出版販売調べで2017年年間ベストセラー新書ノンフィクションで3位となった[6]。2018年も新書ノンフィクション部門で3位となった[7]。
脚注
- ^ “『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合 雅司) 製品詳細 講談社”. 講談社「おもしろくて、ためになる」を世界へ. 2025年10月19日閲覧。
- ^ “未来の年表 人口減少日本でこれから起きること”. 現代新書 | 講談社. 2025年10月19日閲覧。
- ^ 産経新聞 (2017年7月7日). “【話題の本】『未来の年表』の著者が伝えたい人口減少の危機(1/4ページ)”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年10月19日閲覧。
- ^ 離島経済新聞社 (2024年5月22日). “『未来の年表』河合雅司さんがみる島の未来(前編)【特集|2050年に向かい島と私たちはどう生きるか】”. 離島経済新聞. 2025年10月19日閲覧。
- ^ a b “『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』|ひらめきブックレビュー ~気軽に味わう、必読書のエッセンス~|日本経済新聞 電子版特集(PR)”. ひらめきブックレビュー ~気軽に味わう、必読書のエッセンス~|日本経済新聞 電子版特集. 2025年10月19日閲覧。
- ^ “2017年 年間ベストセラー”. 2025年10月19日閲覧。
- ^ “2018年 年間ベストセラー”. 2025年10月19日閲覧。
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