有宇中将と朝日長者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/22 20:51 UTC 版)
その昔、都に有宇(ありう)中将という人がいた。才芸優れた公家であったが、鷹狩が大好きで朝廷の務めを疎かにし帝の怒りに触れたので、有宇中将は野山にその姿を隠そうと、飼っていた雲上という名の鷹と犬の阿久多丸のほかは供も連れず、青鹿毛という馬に乗ってひとり都を去っていった。 中将が青鹿毛の歩むに任せて道を行くと、やがて東国下野国の二荒山に至った。その野原をなおも行くと三日目に、由緒ありげな館が目の前に現れる。土地の者にいかなる者の館かと尋ねると、「朝日長者という東国では隠れも無い有名なお方です」と答えた。さらにいうことには、朝日長者には十四になる姫君がひとりいるという。中将はその姫君に興味を持ち、話を聞いた土地の者のつてで、姫君に恋文を届けさせた。姫君の母や父朝日長者はその文を見て、「これはただ者ではない」と館に招き入れると、案に相違せずその立派な姿に長者は満足し、中将を婿に迎え入れたのだった。
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