春の祭典とは? わかりやすく解説

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春の祭典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/14 03:25 UTC 版)

春の祭典』(はるのさいてん、ロシア語: Весна священнаяフランス語: Le Sacre du printemps英語: The Rite of Spring )は、ロシア作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーが、セルゲイ・ディアギレフが率いるバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のために作曲したバレエ音楽。オリジナルの振り付けはヴァーツラフ・ニジンスキーが、舞台デザインと衣装はニコライ・リョーリフが担当した。1913年5月29日にシャンゼリゼ劇場で初演され、音楽と振り付けの前衛的な性質がセンセーションを巻き起こした。初演の聴衆の反応は長年「暴動」と呼ばれることが多かったが、近年は誇張表現だったとして見直されている。この表現は10年以上後の1924年の後の公演のレビューまで現れず[1]、負傷者が出たり、物が壊されたりしたことはなかった[2]。また二日目以降のパリ公演や、二ヶ月後のロンドン公演でも特別なことは起こらなかった[3]。しかし、後世の作曲家に和声法ポリリズムなどの面で大きな影響を与え、20世紀の管弦楽を象徴する作品のひとつしての評価は変わらず持っている。


注釈

  1. ^ 実際には『牧神の午後』の上演は1912年に延期された。
  2. ^ その3ヶ月後の8月にアストゥリュクは破産した。
  3. ^ 同じボックスに座っていたモントゥーの母親によれば、サン=サーンスは「彼は狂っている」と繰り返したのちに席を立った。1914年の演奏会初演に出席したときは、冒頭を聴いてアルフレード・カゼッラに「あれは何の楽器かな?」と聞き、ファゴットだという答えに「嘘だ!」と叫んで退出していった[21]。ただしストラヴィンスキー自身は、サン=サーンスは1913年の初演に出席していなかったと語っている[22]
  4. ^ ストラヴィンスキーの『結婚』が完成しなかったため。
  5. ^ 初演にまつわるエピソードに基づきBBCが2006年3月11日にドラマ "Riot at the Rite" を放送した(同局ミス・マープルシリーズのケヴィン・エリオットが脚本、アンディ・ウィルソンが演出)。フィンランド国立バレエのメンバーが出演し、劇中の演奏はオスモ・ヴァンスカ指揮・BBC交響楽団が担当。セット、振り付けとメイクの再現にホドソンとアーチャーの研究が反映されている。
  6. ^ 漢字のの形の記号をJurgenson版火の鳥から用いており、スル・ポンティチェロ・シノ・アル・セニョ・という指定を春の祭典でも使用している。この指示を使った楽譜は、リプリント以外ではもう入手できない。
  7. ^ ファジル・サイは、多重録音を用い一人で演奏している[35]。このほかに、ピアノ独奏のための編曲を作り録音しているピアニストにダグ・アシャツ(Dag Achatz)、ジョルジュ・プリュデルマシェなどがいる。
  8. ^ ストラヴィンスキーは俗称の「テナーチューバ」を指示しているため注意。
  9. ^ トランペット奏者の持ち替えであり、本来は師リムスキー=コルサコフが発案したE♭アルトトランペットが想定されている。低音域のソロは練習番号132を含めて非常に少ない。スコアにE♭バストランペットと書かれているため、今日ではトロンボーン奏者の持ち替えによりC管などのバストランペットで演奏されることが多い[36]。ただしストラヴィンスキーはトランペット奏者からの持ち替えを1947年版で指定しており、曲想に合う楽器は4番バルブ付きのフリューゲルホルンではないかと推察される。

出典

  1. ^ Levitz, pp. 146–178
  2. ^ 音楽の進化史 ハワード•グッドール p338
  3. ^ 音楽の進化史 ハワード•グッドール p338
  4. ^ White (1979) p.207 注2
  5. ^ Taruskin (1996) p.861 注32
  6. ^ Taruskin (1996) pp.878-879 注74
  7. ^ Taruskin (1996) p.863
  8. ^ イーゴリ・ストラヴィンスキー 著、塚谷晃弘 訳『ストラヴィンスキー自伝』全音楽譜出版社、1983年、45頁。 NCID BN05266077 
  9. ^ リチャード・バックル(:en:Richard_Buckle) 著、鈴木晶 訳『ディアギレフ ロシア・バレエ団とその時代 上巻』リブロポート東京都新宿区、1983年、203頁。ISBN 4-8457-0089-1 
  10. ^ バックル、前掲書、上巻212頁
  11. ^ バックル、前掲書、上巻206頁
  12. ^ 『自伝』51-52頁
  13. ^ バックル、前掲書、上巻247頁
  14. ^ 小倉重夫『ディアギレフ ロシア・バレエ団の足跡』音楽之友社、1978年、198頁
  15. ^ a b 『自伝』57ページ
  16. ^ バックル、前掲書、上巻288ページ
  17. ^ バックル、前掲書、上巻287ページ
  18. ^ バックル、前掲書、287ページ
  19. ^ バックル、前掲書、290-291ページ
  20. ^ 『自伝』66ページ。このため、ストラヴィンスキーは初演が大騒動になるとは予想していなかった。
  21. ^ Stephen Studd (1999) Saint-Saëns: a critical biography. Cygnus Arts. p.251.
  22. ^ Stravinsky, Igor (1959). Expositions and Developments. University of California Press. p.144.
  23. ^ 鈴木晶『ニジンスキー 神の道化』新書館、1998年、232ページ
  24. ^ 『自伝』72ページ
  25. ^ バックル、前掲書、下巻110ページ
  26. ^ バックル、前掲書、下巻111-112ページ
  27. ^ 鈴木晶、前掲書、235-236ページ
  28. ^ 鈴木晶、前掲書、236-241ページ
  29. ^ 鈴木晶、前掲書、236ページ
  30. ^ 『ブーレーズ音楽論 - 徒弟の覚書』 ピエール・ブーレーズ/船山隆・笠羽映子(訳) 晶文社 (1982年1月初版発行)
  31. ^ van den Toorn, Pieter C. (1987). Stravinsky and The Rite of Spring. Berkeley: University of California Press. p. 41. ISBN 978-0-520-05958-0. http://ark.cdlib.org/ark:/13030/ft967nb647 
  32. ^ 《春の祭典》初演から100年 自筆ファクシミリ版スコア 5月に公刊”. www.schottjapan.com. ショット・ミュージック (2013年4月10日). 2020年5月21日閲覧。
  33. ^ ロバート・クラフト指揮フィルハーモニア管弦楽団 "STRAVINSKY: 125th Anniversary Album" (NAXOS, 8.557508) のCD解説書
  34. ^ 小澤征爾さんと、音楽について話をする』小澤征爾・村上春樹 新潮社 2011年 160-162ページ
  35. ^ ファジル・サイ - PROFILE. 2018年5月10日閲覧
  36. ^ 佐伯茂樹「リムスキー=コルサコフが考案したアルトトランペットを再現する」『パイパーズ』301号、杉原書店、2006年
  37. ^ 『【新音楽鑑賞法】名曲に何を聞くか〜音楽理解のための分析的アプローチ〜』田村和紀夫著、音楽之友社、2004年 ISBN 4276101433
  38. ^ («Technique de mon langage musical» Olivier Messiaen. Ed.: Alphonse Leduc, 1944. 日本語訳:『わが音楽語法』 オリヴィエ・メシアン著 - 教育出版、1954年初版発行、絶版)メシアンはトゥランガリーラ交響曲など数々の自作にもこの「ペルソナージュ・リトミック」を応用させている。
  39. ^ Taruskin (1996) pp.893-894
  40. ^ Taruskin (1996) pp.895-900
  41. ^ Taruskin (1996) pp.900-923
  42. ^ Golden Record: What's on the Record: Music from Earth, NASA JPL, https://voyager.jpl.nasa.gov/golden-record/whats-on-the-record/music/ 






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