日常言語学派との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 20:31 UTC 版)
「ポール・グライス」の記事における「日常言語学派との関係」の解説
グライスはJ. L. オースティンの弟分にあたり、いわゆる日常言語学派を担う哲学者のひとりと見なされる。だが、グライスは日常言語学派の方法論に強くコミットしながらも(`Postwar Oxford Philosophy', 1958, in Grice (1989))、同時に日常言語学派に対する内部からの批判者であったとも考えられる(`Prolegomena', 1967, in Grice (1989))。というのも、グライスは日常言語学派の方法論に基づいた概念分析をよしとしながらも、オースティンらにおけるその方法論の不明確さも認め、そうした不明確さの除去を目指して含みの理論を打ち出している。 日常言語学派に対するグライスの批判点は、次のようにまとめられる。日常言語学派の哲学者たちは、語が持つ意味論的な内容と、その語の発話を含む発話が持つ語用論的な内容を区別していない(ただし、グライス自身は「語用論」という用語を使ってはいない)。だが、概念分析にあたっては、語が持つ意味論的な内容のみに考察を集中させるべきだ。グライスはこのように考える。そして、日常言語学派の方法論には、意味論的内容と語用論的内容を区別するシステムが欠けている。それを補う理論として、含みの理論が提出されることになる。
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