文房堂
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文房堂
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種類 | 株式会社 |
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本店所在地 | 101-0051 東京都千代田区神田神保町1-21-1 |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 9010001028007 |
文房堂(ぶんぽうどう[1])は、東京都千代田区神田神保町に位置する絵画販売・動画配信・画材・アートスクール・版画用品・雑貨などを取り扱うアートショップである。1887年(明治20年)に創業した[2]。
歴史
1887年(明治20年)、池田治郎吉(当時37歳)が創業した[3][4]。池田は長年にわたって南伝馬町の質屋門池に勤務し、将来性を確信した文房具商売を始めるにあたって、門池から百円余りを借り入れ開業資金の全てとした[3]。開業にあたって、中西屋書店経営者、のちの丸善創業者の一人である早矢仕有的に相談、店の一部の狭い店(孫店)を安価な家賃で借り入れた[5]。目新しいハイカラな名称を付けたいと考え「文房堂」と名付けた[3]。
看板などに斬新な意匠を施したほか、広告手法を工夫し、人気を集めた[6]。近隣の競合店に対して商品の質で勝負した[7]。当初は文房具を中心に扱ったが、のちに福沢諭吉のすすめもあり西洋画材の取り扱いを開始した[4]。
1892年(明治25年)の神田の大火で店舗が全焼した[8]後、中西屋が孫店を新築したため、入居し営業を再開した[9]。
孫店では手狭になってきたことから、1906年(明治39年)、神田神保町二丁目に店舗を移転した[4][10]。1922年(大正11年)12月、鉄筋コンクリート3階建ての文房堂ビルを竣工した[11]。翌年1923年(大正12年)に関東大震災の被害を受けるも、倒壊を免れた[11]。
建物
1922年(大正11年)に作られた鉄筋コンクリート造の建物で、設計者は手塚亀太郎[12]。地上三階建ての建物で[11]、上部には塔が存在した[13]。外壁はスクラッチタイルで仕上げられている[12]。外観には、ロマネスク風の中にアールデコ調を取り入れ、重厚感のあるファサードとなっている[12]。装飾の中には、テラコッタの様式が使われている箇所があり、例えば1階上部やアーチ、2階窓台、3階アーチ窓のキーストーン、そして最上部パラペットなどに見られる[12]。竣工翌年に関東大震災で焼失するが、当時は数少ない鉄筋コンクリート造であったことから倒壊を免れる[11][12]。
1990年(平成2年)、すずらん通りに面したファサード(外壁)のみを残し、建物本体は建て替えられた[12]。
1993年(平成5年)には、第二回千代田区景観賞ちよだ景観界隈賞を受賞[12]。
年表
- 1887年(明治20年) - 池田治郎吉によって創業される。
- 1892年(明治25年) - 神田の大火によって焼失する。
- 1906年(明治39年) - 神田神保町に店舗を新築・移転した。
- 1922年(大正11年) - 文房堂社屋竣工。
- 1923年(大正12年) - 関東大震災で焼失するが、倒壊は免れる。
- 1990年(平成2年) - 文房堂ビル新築。旧建物の外壁タイルを保存し、新建物の外壁に特殊工法により施工。
- 1993年(平成5年) - 第二回千代田区景観賞ちよだ景観界隈賞を受賞。
脚注
出典
- ^ “会社概要”. 文房堂. 2025年1月19日閲覧。
- ^ 『帝国現代縦横史:御即位礼記念』時代研究会出版部、1918年、288頁。
- ^ a b c 実業之日本社 編『赤手空拳市井奮闘伝』実業之日本社、1930年、133頁。
- ^ a b c 中野区立中央図書館 編『中也と中野と中央線 (中野区ゆかりの著作者紹介展示)』中野区立中央図書館、2019年、20頁。
- ^ 実業之日本社 編『赤手空拳市井奮闘伝』実業之日本社、1930年、132頁。
- ^ 実業之日本社 編『赤手空拳市井奮闘伝』実業之日本社、1930年、134頁。
- ^ 実業之日本社 編『赤手空拳市井奮闘伝』実業之日本社、1930年、135-136頁。
- ^ 桑原萍水 編『神田人物誌』神田公論社、1916年、282頁。
- ^ 実業之日本社 編『赤手空拳市井奮闘伝』実業之日本社、137頁。
- ^ 実業之日本社 編『赤手空拳市井奮闘伝』実業之日本社、1930年、138頁。
- ^ a b c d 営繕管財局 編『大正大震災震害及火害之研究』洪洋社、1925年、148頁。
- ^ a b c d e f g “文房堂ビル” (PDF). 千代田区環境まちづくり部景観・都市計画課景観指導係 (2024年12月23日). 2025年1月19日閲覧。
- ^ 『中央大学(大学シリーズ)』毎日新聞社、1971年、150頁。
外部リンク
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