接ベクトルと微分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 03:09 UTC 版)
p ∈ M での接ベクトルは γ(0) = p なる微分可能曲線 γ を、曲線の間に定まる接する(一次の接触を持つ)という同値関係で割った、同値類である。したがってすべての座標チャート φ において γ 1 ≡ γ 2 ⟺ d d t ϕ ∘ γ 1 ( t ) | t = 0 = d d t ϕ ∘ γ 2 ( t ) | t = 0 {\displaystyle \gamma _{1}\equiv \gamma _{2}\iff \left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{1}(t)\right|_{t=0}=\left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{2}(t)\right|_{t=0}} である。したがって同値類は p において定められた速度ベクトルを持つような p を通る曲線たちである。p におけるすべての接ベクトルの集まりはベクトル空間をなす。これが p における M の接空間 TpM である。 X が p での接ベクトルであり、f が p の近くで定義された微分可能な関数であれば、X を定義する同値類の任意の曲線に沿って f を微分することは X に沿った well-defined な方向微分を与える: X f ( p ) := d d t f ( γ ( t ) ) | t = 0 . {\displaystyle Xf(p):=\left.{\frac {d}{dt}}f(\gamma (t))\right|_{t=0}.} 再び、チェーンルールによってこれは同値類からの γ の選び方に依らないことが示せる、なぜならば p において互いに一次の接触を持つ任意の曲線は同じ方向微分を生み出すからである。 関数 f を固定すると、写像 X ↦ X f ( p ) {\displaystyle X\mapsto Xf(p)} は接空間上の線型汎関数である。この線型汎関数はしばしば df(p) と表記され、f の p での微分 (differential) と呼ばれる: d f ( p ) : T p M → R . {\displaystyle df(p)\colon T_{p}M\to {\mathbf {R} }.}
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