実行従属性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/01 18:15 UTC 版)
幇助犯が処罰されるには、正犯者が実行に着手したことを要する。上の例で言えば、拳銃を交付したけれどもCが殺人に着手しない時点で犯意を放棄して犯罪を中止した場合や、結局、勤め先に強盗は入らなかったという場合には、幇助犯は成立しない。このような性質のことを、実行従属性という。 実行従属性が求められる理由は、主に二つある。第一に、幇助という概念は正犯の実行行為の存在を前提とし、正犯者の実行行為がいまだ存在しない段階では、行為は幇助行為と言えないという理由(形式的根拠)、第二に、幇助犯の処罰根拠は、正犯の実行行為を通じて法益侵害の危険性を高めた点にあるが、正犯が実行に着手しない段階では、法益侵害の危険性を高めたとは言えないという理由(実質的根拠)である。 ただし、共犯独立性説に立った場合には、実行従属性は不要となり、幇助行為が行われた時点で犯罪は完成する。
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