夫にして悪友なりし榾を焼く
作 者 |
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季 語 |
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季 節 |
冬 |
出 典 |
火のいろに |
前 書 |
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評 言 |
大木あまりは、昭和十六年生まれ、『現代俳句の精鋭』(共著)、『現代俳句ニューウェーブ』(共著)などで知られる。 同じ長い年月を経て、やっと辿り着く夫婦の境地は、もしかしたらこんなものなのかも知れないと思う。…と言うより、こんな「夫にして悪友」であり続けられる人と一緒に生活するのが、私には理想的に感じられる。時には好敵手であり、時には何でも語り合える親友であり続けるのは、意外と難しい。ちょっとした愚痴のように「榾」という木の切れ端は、火の中でパチパチと勢いよく弾けているのであろう。 榾(ほた/ほだ)は、大木を切った後の根株。乾燥し、焚木にする。火もちが良く、小さな木の枝などと混ぜて燃やす。榾木。この季語の意味からも、「夫にして悪友」でいられた夫婦の山谷険しい歴史が、軽妙な十七音から小気味良く浮かび上ってくる。ある冬の一日の普通に見られる景を、独特のタッチで描いている。これも夫婦愛であろうか。 他に「寒月下あにいもうとのように寝て」も、同様に夫婦の関係を詠んだものだろう。 |
評 者 |
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備 考 |
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