和気能須神社とは? わかりやすく解説

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和気能須神社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/01 05:50 UTC 版)

和気能須神社
和気能須神社
所在地 島根県隠岐郡隠岐の島町下西1607[1]
位置 北緯36度12分23.9秒 東経133度18分26.6秒 / 北緯36.206639度 東経133.307389度 / 36.206639; 133.307389 (和気能須神社)座標: 北緯36度12分23.9秒 東経133度18分26.6秒 / 北緯36.206639度 東経133.307389度 / 36.206639; 133.307389 (和気能須神社)
主祭神 和気能須命[2]
社格 式内小社、旧村社[3]
本殿の様式 春日造変態[4]
別名 松尾神社[2]
例祭 3月17日[2][1]
地図
和気能須神社
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和気能須神社(わけのすじんじゃ)は島根県隠岐郡隠岐の島町下西に所在する神社式内社(小社)で、旧社格は村社。通称は松尾神社

概要

勧請年は不詳だが、『延喜式神名帳』に記載される「和気能湏命神社」の比定社である[4]。『隠州神名帳』には下西の惣社「従一位和気能酒大明神」として記載されている[5][注釈 1]明治5年(1872年)、村社に列せられる[6]

「松尾神社」と俗称され、酒造の神として知られる[4][注釈 2]。神紋は「丸に瓢箪[2]

祭神

和気能須命(わけのすのみこと)

水若酢神社の水若酢命、玉若酢命神社の玉若酢命と関連する神と考えられ、神格は不詳だが人格神とする立場と自然神とする立場に大きく分けられる[8]

  • 人格神説
    この説は清水真三郎による『島根県史』に載せられた論考[9]に代表される[8][10]。清水は「水=瑞」と「玉」はそれぞれ美称であり、両若酢命に血縁関係を想定した[11]。そこで「1. 景行朝の皇族は諸国に分布して所謂「別」の分治が行はれたのである」[12]、「2. 景行第五皇子大酢別皇子は隠岐「別」として隠岐に分治せられたらしい」[13]、「3. 和気能須命神社は大酢別命を祭つたものであらう」[14]と論を進め、和気能須命神社を祖神とする水若酢命・玉若酢命は島後を二分して統治したのだと推測した[15]。すなわち当社祭神の和気能須命を大酢別皇子に比定する説である。
  • 自然神説
    この説は志賀剛による『式内社の研究』[16]に代表される[8]。志賀は和気能須命を「和気能若酢命」の「若」が省略されたものとみなし、玉若酢命神社の摂社格にあたる神社であると考えた[17]。神格としては、当社の傍にある池の水を湧かせる神と推定した[17]。なお玉若酢命は玉若酢命神社の下西村の「地下水は島内一の清水である」ことから「玉水湧かす」の意味[18]、水若酢命は水若酢神社の旧社地である山田を流れる山田川と「若返りの水」を意味する「越知(おち)」の地名に注目してやはり清水を湧かせる「水ワカス命」であるとして[19]、玉若酢命神社と水若酢神社は対称的であるとしつつもこれら3社の祭神同士の直接の関係を考えなかった[20]

施設

本殿
春日造変態[注釈 3]で、間口1間・奥行1.3間[4]。本殿の軸立は寛政2年(1790年)と考えられる[6]
通殿
切妻造[6]、間口1.3間・奥行2.3間[4]
拝殿
入母屋造[6]、間口2.1間・奥行2.1間[4]
参篭所[4]
隠岐では、産土神社に病気回復、安産、大漁、入学などの祈願をした後、成就のお礼として神社境内に存在する「コモシャ」「コモリヤ」と呼ばれる小屋に一晩籠る「オコモリ」という行事が存在した[21]
鳥居
明神鳥居[6]

脚注

注釈

  1. ^ この「従一位」は宗源宣旨と考えられている[6]
  2. ^ 社地に隣接して流れる谷川が酒造に適した良質な水であったことから「和気能酒」と書かれ、また中古には山城国から松尾明神を勧請したと伝わる[5]。「和気能酒」と表記するようになってから酒造の神とされるようになったとする説もある[7]
  3. ^ 隠岐造」とする文献もある[6]

出典

  1. ^ 島根県神社庁.
  2. ^ a b c d 高橋他編 1996, p. 494.
  3. ^ 高橋他編 1996, pp. 494–495.
  4. ^ a b c d e f g 高橋他編 1996, p. 495.
  5. ^ a b 半田 1983, p. 979.
  6. ^ a b c d e f g 半田 1983, p. 980.
  7. ^ 離火之舎 1987c, p. 293.
  8. ^ a b c 離火之舎 1987a, p. 184.
  9. ^ 清水 1923.
  10. ^ 離火之舎 1987b, p. 256.
  11. ^ 清水 1923, p. 227.
  12. ^ 清水 1923, pp. 228–229.
  13. ^ 清水 1923, pp. 229–230.
  14. ^ 清水 1923, pp. 230–232.
  15. ^ 清水 1923, p. 231.
  16. ^ 志賀 1981.
  17. ^ a b 志賀 1981, p. 558.
  18. ^ 志賀 1981, p. 557.
  19. ^ 志賀 1981, p. 561.
  20. ^ 志賀, pp. 557, 560.
  21. ^ 大津 1973, p. 310.

参考文献

関連項目




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