周縁減光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 23:20 UTC 版)
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周縁減光[1](しゅうえんげんこう、limb darkening)は、太陽などの恒星表面が中心から周縁に向かうにつれて色が赤味を帯びて暗く見えるようになる現象[1]。「周辺減光」と呼ばれることもあるが、カメラなどで周辺光量が減少して暗くなる現象と混同しやすいため避けたほうがよいとされる[1]。
主に中心から距離が離れれば離れるほど恒星のガスの密度が減少すること[要出典]、光球の温度が中心部分に比べ外縁部では減少すること[1]の二つの効果によるもので、太陽をはじめとする恒星にみられる。
周縁減光の程度は観測する光の振動数に依存し、特にスペクトル線毎に異なっている[2]。中心部よりも周縁の方が明るく見える場合もあり、この現象は limb brightening と呼ばれる[3]。周縁減光と limb brightening を総称して center-to-limb variation と呼ぶ[3]。
原理
周縁減光は以下のような原理によって生じる[4]。太陽内部から放射された光はガスに吸収され外部へ到達できないため、外部から観測される太陽の光は太陽の表面付近で放射されたものである。地球から太陽の縁を観測するとき、光の経路が太陽内部を斜めに横切るためより多くのガスにより吸収を受ける結果、中心部と比較してより浅いところから放射された光が観測される。そのため、太陽の浅い場所ほど温度が低いことにより、縁の光は中心部に比べて暗く見える。
より数学的には、周縁減光は以下のように説明される。光の吸収の程度は、単位質量当たりの断面積(不透明度)
周縁減光は太陽のようなガス天体について生じるものであり、例えば月は大気がほぼなく太陽光を表面で反射することに光っているため、周縁減光は見られない[4]。一方、太陽以外にも以下の天体で周縁減光が観測されている。
- 木星 - 1976年に Pilcher と Kunkle は木星大気の性質を調べるために異なる振動数での周縁減光を測定した[8]。
- タイタン - 1908年にホセ・コマス・ソラはタイタンに周縁減光が観測されたと主張し、それによりタイタンに大気が存在すると考えられるようになった[9]。1981年にタイタンの半径を周縁減光の可視光での観測とモデルの比較から決定することが試みられた[10]。
- ベテルギウス - 1997年に赤外線による周縁減光の観測が報告されている[11]。
また、太陽系外惑星をトランジット法により観測する際に、光度曲線を正確にモデリングするために周縁減光の効果が考慮されている[12][13] 。
周縁減光のモデル
周縁減光は、天体中心部の光の放射強度 この項目は、自然科学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(Portal:自然科学)。
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