千葉寺のイチョウとは? わかりやすく解説

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千葉寺のイチョウ

(千葉寺の公孫樹 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/03 13:22 UTC 版)

千葉寺のイチョウ(2018年7月)

千葉寺のイチョウ(ちばでらのいちょう、せんようじのいちょう、千葉寺の公孫樹[注 1])は、千葉県千葉市中央区千葉寺町161の千葉寺境内にある千葉県の天然記念物に指定されたイチョウである[1][2]。千葉寺創建時に植栽されたと伝えられ、樹齢は約1300年と推定される雄樹である。幹が太く発達しているほか、枝から垂れた乳柱といわれる突起が特徴的であり、古くは女性の母乳不足に効くという俗信があった[3][4]

解説

千葉寺境内におけるイチョウの位置。1: 仁王門 2: 本堂 G: イチョウ

千葉寺(せんようじ、俗に「ちばでら」と読まれる[3])は、709年和銅2年)に仏教僧行基によって開基されたのに始まる真言宗豊山派寺院であり、現在も千葉県千葉市中央区千葉寺町161番地に位置し、坂東三十三観音の第29番礼所に数えられているほか[5]、千葉市の史跡にも指定されている[6]。千葉寺のイチョウは、寺を仁王門から入った正面にある本堂に向かって右手の方に生育している[7]イチョウ(学名: Ginkgo biloba[8])は裸子植物に分類される落葉性喬木の一つで、日本には野生せず、現在の日本の生育株は中国大陸から渡来したものとなっている[9]。千葉寺のイチョウは行基が開基時に植栽されたものだと伝わっており[3]、樹齢は約1300年と推定される[7]。雄樹である[3]

1935年(昭和10年)11月12日に千葉県の天然記念物に指定された[1]

千葉寺の
イチョウ
千葉寺のイチョウの位置

現在の樹高は約24[3] - 27メートル[7]、ただし30メートルと紹介されることもある[2]。根回りは約11メートル、目通り周囲は約8.4メートルである[3]。元々樹高は約30メートルに達していたが、台風による影響で主幹が折れ、現在の高さになっている[3]。幹の周囲は地面から離れた上部の方が根元よりも発達して太くなっている[4]。枝は地面より3メートル以上のところから横四方23メートルほどのところまで大きく広がっている[3]。これは、神奈川県鎌倉市にあったかつての鶴岡八幡宮の大銀杏[注 2]よりも大きいと見られていた[11][3]

根元の地面には、多くの根が地面を覆うようにして現れているほか[9]、枝からは多くの乳柱(乳房状突起)が垂れ下がっている。この枝に対しては、天然記念物に指定されることにより毀損行為が禁じられるまでは、損傷行為が相次いでいた。これは、この乳柱の枝の皮を削ったものを煎じて飲めば、乳不足の女性に効果があるという迷信を信じた地元の住民によるものであった[3]。通常このような乳房状突起は局部的な栄養過剰を伴う雄樹の老木に見られるが[12]、高橋 (2009) は、千葉寺のイチョウの乳柱が顕著に発達している要因を、落雷によって主幹が折れて枝の分化が促されたこととしている[4]

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関連項目

  • 飯香岡八幡宮の夫婦銀杏 - 同じく千葉県の天然記念物に指定された市原市にあるイチョウ。枝葉を服用すると女性の乳の出が良くなるという俗信があり、安産子育ての象徴として信仰された[13]

脚注

注釈

  1. ^ 千葉県公式サイトなどでの表記。
  2. ^ 2010年(平成22年)3月に強風が原因で倒壊[10]

出典

  1. ^ a b 千葉寺ノ公孫樹/千葉県”. 千葉県ホームページ (pref.chiba.lg.jp). 千葉県庁 (2024年2月8日). 2024年5月18日閲覧。
  2. ^ a b 千葉市: 千葉寺ノ公孫樹(県指定天然記念物)”. 千葉市公式サイト (city.chiba.jp). 千葉市役所 (2019年11月22日). 2024年5月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 千葉県史料研究財団 1996, p. 665.
  4. ^ a b c 高橋 2009, pp. 26–27.
  5. ^ 全国寺院名鑑刊行会 1976, p. 244.
  6. ^ 千葉市: 千葉寺境内(市指定文化財)”. 千葉市公式サイト (city.chiba.jp). 千葉市役所 (2019年10月11日). 2024年5月18日閲覧。
  7. ^ a b c d 渡辺 2005, p. 144.
  8. ^ 森林総合研究所 九州支所/イチョウ”. 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 九州支所. 2024年5月18日閲覧。
  9. ^ a b c 千葉県教育庁 2004, p. 120.
  10. ^ “鶴岡八幡宮の大イチョウ倒れる 「実朝暗殺の舞台」”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2010年3月10日). オリジナルの2010年6月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100610095157/http://www.asahi.com/national/update/0310/TKY201003100130.html 2010年3月11日閲覧。 
  11. ^ 千葉県教育委員会 2000, p. 543.
  12. ^ 広島県の文化財 - 上高野山の乳下りイチョウ”. 広島県公式ホームページ (pref.hiroshima.lg.jp). 広島県教育委員会. 2024年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月18日閲覧。
  13. ^ 千葉県史料研究財団 1996, p. 647.

参考資料

  • 財団法人 千葉県史料研究財団 編『千葉県の自然誌 本編1 千葉県の自然』千葉県〈県史シリーズ40〉、1996年。 
  • 全国寺院名鑑刊行会編纂『全国寺院名鑑 北海道・東北・関東篇』史学センター、1976年。 
  • 高橋弘『神様の木に会いに行く 神秘の巨樹・巨木・ご神木の聖地巡礼』東京地図出版、2009年9月15日。ISBN 978-4-8085-8559-4 
  • 千葉県教育委員会 編『千葉県の文化財』千葉県教育委員会、1990年。 
  • 千葉県教育庁 編『ふさの国の文化財総覧 第三巻』千葉県教育庁、2004年12月27日。 
  • 渡辺典博『続 巨樹・巨木』山と渓谷社、2005年12月1日。 ISBN 4-635-06256-2 

外部リンク

座標: 北緯35度35分41.4秒 東経140度7分54.4秒 / 北緯35.594833度 東経140.131778度 / 35.594833; 140.131778




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