崔賢級駆逐艦とは? わかりやすく解説

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崔賢級駆逐艦

(北朝鮮の大型水上艦 (2024) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/21 01:43 UTC 版)

崔賢級駆逐艦
基本情報
艦種 ミサイル駆逐艦(DDG)
命名基準 朝鮮民主主義人民共和国英雄。1番艦は国防委員会副委員長の崔賢に由来。
建造所 南浦造船所(1番艦)
清津造船所(2番艦)
運用者  朝鮮人民軍海軍
建造期間 2024年頃~?
就役期間 2026年以降?
同型艦 2隻(艤装中)
計画数 少なくとも4隻?
建造数 少なくとも2隻
前級 なし
次級 最新
要目
排水量 5,000トン
長さ 144m
16m
兵装
レーダー フェーズドアレイレーダー(4面)
電子戦
対抗手段
チャフ発射機?片舷2基ずつ
CNNの報道による[1]。 日本経済新聞の報道[2]
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崔賢級駆逐艦(チェ・ヒョンきゅうくちくかん、朝鮮語: 최현급 구축함)は、朝鮮人民共和国(北朝鮮)の朝鮮人民軍海軍が建造しているミサイル駆逐艦である[3]。ネームシップの艦名は、抗日独立運動の英雄とされる崔賢にちなむ。

概要

2024年末に造船所で建造中の艦を金正恩が視察したとされる画像が公開された。写真からはフェーズドアレイレーダーVLSを装備すると思しき開口部が見られる[3]。衛星画像から1隻が南浦造船所で建造されているとされる。専門家からは、本艦はミサイルフリゲート(FFG)ではないかという声が上がっている[1]。 米戦略国際問題研究所の分析によると、「FFGは全長およそ140メートルで、北朝鮮で建造される軍艦の中で最大」であるという。また、ロシアによる技術供与も疑われている[1][4]。 また、大韓民国軍(韓国軍)では、北朝鮮がVLSを装備した4,000トンのフリゲート級軍艦の建造を開始したようだと評価している[5]。南浦で建造中の艦は、120メートル級の浮きドックに係留されており、艤装作業が進行中だと報じられた[6]

一番艦「崔賢」

1番艦の「崔賢」(チェ・ヒョン)は、朝鮮人民軍の前身である朝鮮人民革命軍の創建93年に当たる2025年4月25日に南浦の造船所で進水式が行われた。金正恩党総書記によると駆逐艦は「超音速戦略巡航ミサイル」や「戦術弾道ミサイル」などを搭載しているとされる[2]。進水直後の28、29日には海上で「超音速巡航ミサイル」、ピョルチ艦対空ミサイル、ファサル戦略巡航ミサイル、主砲などの兵器システムの試験が行われた。しかし38ノースは艦の移動がタグボートによって行われていたと指摘、推進システムが機能していないことを示している可能性があるとした[7]

二番艦「姜健」

2番艦「姜健」(カン・ゴン)は、2025年5月21日に清津造船所で進水式が行われた。しかし衛星画像によると、船体の一部が岸壁に引っ掛かった状態で海側に横転した。船体には進水の失敗を隠すためか青色のシートがかけられた[8]。艦内が浸水したほか、艦首のソナーなどが破損した可能性が指摘されている[4]。当初、船底に穴が開いたと報じられたが、その後の調査で損傷は艦尾の通路の一部の浸水程度であることが判明したとされる。修復には10日程度が必要だとみられる[9]が、電子機器などが浸水し復旧は困難という意見もあり[10]、アメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)は廃艦となる可能性も指摘している[11]。金正恩はこの事故に関し、到底許されない深刻な重大事故であり犯罪的行為だと叱責し、事故の調査を指示[12]。朝鮮労働党の中央軍事委員会は厳正な処分を指示。司法機関は責任者を拘束する手続きに着手した[13]。5月25日、朝鮮中央通信は清津造船所の技師長ら3人が拘束されたと伝えた[14]。さらに26日には、朝鮮労働党中央委員会軍需工業部のリ・ヒョンソン副部長が拘束されたと伝えた[15]。6月下旬に開催される朝鮮労働党中央委員会総会までの修復が命じられ、6月5日、北朝鮮はバランスを復元して進水作業に成功し接岸したと発表[16]。6月8日には羅先特別市の乾ドックに入渠しているのが衛星画像で確認され[4]、6月13日、朝鮮中央通信は、前日に金正恩と娘の金主愛が出席して羅津で進水式が行われたと報じた[17]

後続艦として、金正恩は2番艦の進水式で駆逐艦クラスの艦艇2隻を建造する計画を承認したと発表した[17]

同型艦

同型艦
艦番号 艦名 進水 就役 配備先
51 崔賢 2025年4月25日 艤装・試験中
52 姜健 2025年5月21日
(1回目)
2025年6月12日
(成功)
艤装・試験中

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c 北朝鮮、同国史上最大かつ最も高度とみられる軍艦を建造中 衛星画像で明らかに”. CNN.co.jp. 2025年4月14日閲覧。
  2. ^ a b 金正恩氏、新型駆逐艦の進水式に出席 軍現代化へ「突破口開けた」”. 2025年4月26日閲覧。
  3. ^ a b 日本の防衛網かいくぐる?グライダー型先端部が極超音速で機動する北朝鮮の新型IRBM級ミサイル…陰で建造進む「イージス艦」モドキの北朝鮮軍艦も フジテレビ特別解説委員 能勢伸之|FNNプライムオンライン”. FNNプライムオンライン (2025年1月14日). 2025年4月14日閲覧。
  4. ^ a b c CNNソウル支局 (2025年6月9日). “進水失敗の北朝鮮駆逐艦、修復にロシアが関与か 国境付近に移動”. CNN. https://www.cnn.co.jp/world/35234025.html 2025年6月14日閲覧。  {{cite news}}: |author=に無意味な名前が入力されています。 (説明)
  5. ^ 初期!北朝鮮は垂直発射装置で4,000トンの重さの新しい軍艦を建てます” (jp). VOI - Waktunya Merevolusi Pemberitaan. 2025年4月14日閲覧。
  6. ^ 望月博樹 (2025年4月10日). “北朝鮮、密かに「空母級」大型軍艦を建造中か 140メートル新型ミサイル護衛艦が衛星写真で発覚!”. 江南タイムズ. 2025年4月14日閲覧。
  7. ^ 産経新聞 (2025年4月30日). “北朝鮮が新型駆逐艦で巡航ミサイルを試射 金正恩氏「海軍の核武装を加速」”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年4月30日閲覧。
  8. ^ 日本放送協会 (2025年5月23日). “北朝鮮 “キム総書記出席の駆逐艦進水式で重大事故” 現地報道 | NHK”. NHKニュース. 2025年5月23日閲覧。
  9. ^ 実は「船底に穴」はなし 北朝鮮、駆逐艦事故で調査開始”. 毎日新聞. 2025年5月23日閲覧。
  10. ^ 조선일보 (2025年5月22日). “김정은 눈 앞서 쓰러진 北 구축함, 뱃머리만 육지에 걸쳐졌다” (朝鮮語). 조선일보. 2025年5月23日閲覧。
  11. ^ 外信部, 時事通信 (2025年5月23日). “北朝鮮駆逐艦が横倒しに 米研究所が衛星写真公開:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2025年5月23日閲覧。
  12. ^ 北朝鮮「駆逐艦事故の責任者を処罰、うやむやにできない…破損は深刻でない」”. 中央日報 - 韓国の最新ニュースを日本語でサービスします. 2025年5月23日閲覧。
  13. ^ 産経新聞 (2025年5月23日). “金正恩氏激怒の北朝鮮駆逐艦事故 責任者を拘束へ 党中央軍事委員会が厳正処分指示”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年5月23日閲覧。
  14. ^ “駆逐艦事故で技師長ら3人拘束 北朝鮮”. 時事通信. (2025年5月25日). https://www.jiji.com/sp/article?k=2025052500192&g=int 2025年5月28日閲覧。 
  15. ^ “北朝鮮当局、朝鮮労働党副部長らを拘束 駆逐艦の進水失敗巡り”. 毎日新聞. (2025年5月26日). https://mainichi.jp/articles/20250526/k00/00m/030/001000c 2025年5月28日閲覧。 
  16. ^ CNNソウル支局 (2025年6月6日). “北朝鮮、横倒しになっていた駆逐艦の進水に成功 アナリストらに衝撃”. CNN. https://www.cnn.co.jp/world/35233963.html 2025年6月14日閲覧。  {{cite news}}: |author=に無意味な名前が入力されています。 (説明)
  17. ^ a b “北朝鮮、姿勢復元の駆逐艦進水 正恩氏さらに2隻建造を承認”. AFPBB News (フランス通信社). (2025年6月13日). https://www.afpbb.com/articles/-/3583138?pno=3&pid=doc-626Y9CQ_1_2991194_preview 2025年6月14日閲覧。 



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