中心小体の複製
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 10:11 UTC 版)
中心小体は分裂期の中心体のそれぞれに二本ずつ含まれ、分裂によって娘細胞に二本ずつ分配される。次の周期で中心小体が複製されることによって、その数が維持される。 中心小体の複製は、細胞周期のG1期とS期の間に起こる。G1からS期にかけて、母中心小体とよばれる既存の中心小体の側面から垂直に、娘中心小体が形成される。その後G2期からM期にかけて伸長し、細胞分裂によってそれぞれの中心小体の組が各娘細胞に受け継がれる。 受け継がれた中心小体はG1期に分離し、娘中心小体は新たな母中心小体(New mother centriole)となる。前の細胞周期でも母中心小体であった構造体は古い母中心小体(Old mother/Grandmother centriole)と呼ばれて区別される。二つの母中心小体の側面からは、再び娘中心小体が形成される。 中心小体の形成過程では、はじめにカートホイールと呼ばれる構造が母中心小体の側面に形成される。カートホイールは自転車の車輪のような構造が何層にも積み上がったものであり、その外側に微小管が形成されると娘中心小体となる。カートホイールは分裂期に娘中心小体から脱落するため、母中心小体には観察されない。 カートホイール形成のマスター制御因子はPLK4と呼ばれるキナーゼである。PLK4を過剰発現すると大量の中心小体が形成され、逆にCentrinoneなどの薬剤を用いて阻害すると中心小体の複製が阻害される。
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