三原子水素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 02:31 UTC 版)
三原子水素(Triatomic hydrogen, H3)は、水素のみからなる不安定な三原子分子である。水素原子のみを含む為、最も単純な三原子分子であり、粒子の量子力学的記述を数値的に解くことは比較的容易である。不安定なため、分子は100万分の1秒未満で崩壊する。その短寿命のため稀であるが、宇宙にプロトン化水素分子(H3+)が普遍的にあるため、非常に一般的に形成、破壊が行われている。振動と回転によるH3の赤外線スペクトルは、H3+と非常に近い。初期宇宙では、この赤外線を放出する性質のため、初期水素及びヘリウムガスが急速に冷却されて恒星を形成した。
形成
中性分子は、低圧ガス封入管内で生成される。
H3の中性ビームは、気体状カリウム中を通過するH3+がカリウムから電子を与えられることにより形成される。電子供与体として、セシウム等の他の気体状アルカリ金属も用いることができる。H3+は、低圧水素分子中で放電することにより、デュオプラズマトロン中で生成する。これにより、一部のH2がH2+となり、H2 + H2+→H3+ + Hという反応が起こる。この反応は1.7 eVの発熱反応であり、そのため生成したイオンは大きな振動エネルギーを持つ。圧力が十分に大きいと、他の気体と衝突して、冷える。強く振動するイオンは、フランク=コンドンの原理に従って中和されると、強く振動する中性分子を生成する。
崩壊
H3は、以下のように崩壊する。
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