ワトスンの推理法修行とは? わかりやすく解説

ワトスンの推理法修業

(ワトスンの推理法修行 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/17 07:53 UTC 版)

ワトスンの推理法修業
著者 コナン・ドイル
発表年 1920年
発生年 不明
事件 ホームズの行動をワトスンが推理
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ワトスンの推理法修業(ワトスンのすいりほうしゅぎょう、原題:How Watson Learned the Trick)は、アーサー・コナン・ドイルが、1920年に書いた[1]掌編小説。元々はイギリス国王ジョージ5世の王妃メアリーに捧げる目的で書かれた。1924年に、E・V・ルーカスが編集し1500部のみ刷られた[要出典]『王妃の人形の家の書斎の本』に収録された。ワトスンホームズの行動を推理する筋書きの、ドイル本人によるセルフパロディ作品で、シャーロック・ホームズシリーズの外典とされる。

あらすじ

朝食の席で、ワトスンホームズをずっと「観察」している。ワトスンは「ホームズの推理なんて上っ面だけの技術で簡単に会得できる」と息巻き、彼の行動について推理を始める。ホームズが髭を剃り忘れたのは考え事があったから。バーロウという名の依頼人を抱えていて手紙を受け取った。新聞の金融欄を眺めていたのは投機に入れあげているから。朝食時にドレッシング・ガウンではなく上着を着ているのは大事な客がやってくるから・・・・・・

ワトスンの推理を聞いたホームズは、1つ1つ種明かしをしていく。剃刀を研ぎに出しており髭が剃れなかった。朝早い歯医者の予約を取ったため上着を着込んでいて、歯医者のバーロウからその確認の手紙を受け取った。金融欄の隣にはクリケットの記事があって、ホームズの関心はそちらだった。この種明かしでワトスンの推理が全く的外れだったと分かり、ホームズは「君もいつか推理力を身につけられるだろう」と親友をなだめるのだった。

背景・位置づけ

1920年、当時の英国王ジョージ5世王妃メアリー・オブ・テックへ、英国国民からドールハウスを贈る計画が持ち上がった[2][3][注 1]。ドイルは、この『メアリー王妃のドールハウス』の書斎に収めるために、作品を書き上げたのである。作品はその後、いわゆる豆本の形式でドールハウスに収められた[3]

作品の執筆は『最後の挨拶』(1917年)と『マザリンの宝石』(1921年)の間にあたる。

その後、1924年に、E・V・ルーカス編『王妃の人形の家の書斎の本』に収録されている[4]

この作品ではワトスンが多分に茶化されていることから、翔泳社創元推理文庫両版で翻訳を担当した北原尚彦は、「やはりドイルはホームズ物を書くのはあまり好きではなかったようだ」とコメントしている[1]

あまりにも短い話であるために、なかなか決定的な日本語訳が出版されずにいたが、1999年翔泳社から発売された『ドイル傑作選』、2004年創元推理文庫から刊行された『まだらの紐 ドイル傑作集 1』に収録され、現在では比較的容易に入手が可能となった。

書誌情報

訳本

脚注

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注釈

  1. ^ 創元推理文庫『まだらの紐』の初版では、ドールハウスを贈られたのが「ジョージ6世の妻アン王妃」とされているが[1]、これは二重の意味で誤りである。まず1920年は父王ジョージ5世在位期である。一方のジョージ6世は『英国王のスピーチ』のモデルとなった、エリザベス2世の父王であり、1936年に即位している。またジョージ6世の妻はエリザベス・ボーズ=ライアンであり、アン王妃ではない(ハノーヴァー朝では数代に渡って「アン王妃」が存在しない)。

出典

参考文献





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