リューコフェン石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/20 15:26 UTC 版)
リューコフェン石 Leucophanite | |
---|---|
分類 | イノケイ酸塩 |
シュツルンツ分類 | 9.DH.05 |
化学式 | NaCaBeSi2O6F |
結晶系 | 直方晶系 |
へき開 | 完全 |
モース硬度 | 4 |
光沢 | ガラス光沢、脂肪光沢 |
色 | 黄色、緑がかった白色、黄緑色、無色 |
条痕 | 白色 |
比重 | 2.96 - 3.07 |
蛍光 | ピンク色〜紫色、青色 |
文献 | [1] [2] [3] |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
リューコフェン石(リューコフェンせき、リューコフェナイト、英: leucophanite)は、ナトリウムやカルシウム、ベリリウムを含むイノケイ酸塩鉱物である[4]。カルシウムの一部を微量の希土類元素(主にセリウム)が置換することがある。
特徴
リューコフェン石は通常、白色、淡黄色、あるいは黄緑色の不透明な塊状で産出するが、条件が整えば最大4 cm程度の結晶、あるいは11 cmを超える双晶も知られている。結晶は明瞭な三方向のへき開を示し、これにより擬四角柱状の破断面を示すことがある。ある角度から観察すると白色のシラー(干渉光)を呈し、加熱によって青い燐光を発することがある。また、ホウ砂球試験では紫色を呈する。
発見と命名
1829年頃、ノルウェー南部のランゲスンツフィヨルド湾口のローヴェン島で、ノルウェーの牧師であり自然科学者でもあったハンス・モルテン・トラーネ・エスマルクによって発見されたとされる。名前は、ギリシャ語の「λευκός」(leukos:白い)と「φαίνομαι」(phainomai:現れる、見える)に由来する(当初は Leucophan と呼ばれていたが、のちに Leucophanite に変更された)。
産状
曹長石、霞石、モサンドル石などと共に、アルカリ火成岩中のペグマタイトや熱水変質帯で見られる。特に19世紀にはローヴェン島をはじめとするノルウェーのランゲスンツフィヨルド周辺で産出が多く報告された。
現在、リューコフェン石の最も代表的な産地はカナダ・ケベック州のモンサンチレールであり、特に1980年代にはジル・エノー(Gilles Haineault)によって市場に多数の良質標本が紹介され、世界的に広く知られるようになった。
蛍光
個体差はあるが、長波紫外線および中波紫外線、短波紫外線ではピンク色〜紫色、青色に蛍光することが知られている[5]。これは蛍石などと同じく希土類元素(主にセリウム)によるものである。
参考文献
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ [3]
- ^ “Leucophanite”. www.mindat.org. 2025年5月5日閲覧。
- ^ “Luminescence, fluorescence et phosphorescence des minéraux: bibliographie”. www.fluomin.org. 2025年5月5日閲覧。
- リューコフェン石のページへのリンク