リュイリエの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/10 19:51 UTC 版)
リュイリエの定理(英: L'Huilier's theorem) とは、初等幾何学における三角形についての定理で、1809年に[1]スイスの数学者サイモン・アントワーヌ・ジャン・リュイリエによって提唱されたものである。
定理
証明
面積S の三角形の3辺を a, b, c とする。
内接円の半径r の逆数は
3傍接円の半径 rA, rB, rC の逆数は
故に逆数和は
となる。
拡張
リュイリエの定理は平面(2次元)の結果だが、次元空間に拡張できる。
を単体(2次元では三角形、3次元では四面体)とする。の内接球は、の内部から各面への距離が等しくなる点を中心とした、各面に接する球として定義できる。この半径をとする。同様に、の傍接球は、の内部から一つの面に対してだけ反対側に行った領域から、各面への距離が等しくなる点を中心とした、各面に接する球として定義できる。は個の面を持つので、これらの半径をとする。このとき、
この結果は日本の経済学者の戸田アレクシ哲が大学生のときに証明し、2014年に専門誌に掲載された[3]。
派生項目
リュイリエは、彼の著書 (Lhuilier, 1809) において
であることも示唆している。
これより
であるから、リュイリエの定理:
と辺々掛け合わせると
が得られる。ここで s は △ABC の半周長 (a + b + c)/2 である。この等式は、カール・フォイエルバッハが1822年に得たものである[1][4]。
脚注
- ^ a b 岩田至康『幾何学大辞典』 1巻、槙書店、1971年、15,193頁。
- ^ Toda, Alexis Akira (2014). “Radii of the inscribed and escribed spheres of a simplex”. International Journal of Geometry 3 (2) . Theorem 4.1
- ^ “Alexis Akira Toda - Publications”. 2025年9月10日閲覧。
- ^ それよりも前にリュイリエが彼の著書 (Lhuilier, 1809) において全く同等の等式を示唆している(224頁)。
関連項目
出典
- Simon Lhuilier (1809). Elémens d'analyse géométrique et d'analyse algébrique, appliquées à la recherche des lieux géométriques. A Paris: chez J. J. Paschoud; à Genève: chez le même libraire. pp. 223-224. doi:10.3931/e-rara-4330
- Toda, Alexis Akira (2014). “Radii of the inscribed and escribed spheres of a simplex”. International Journal of Geometry 3 (2) .
外部リンク
- リュイリエの定理のページへのリンク