マスキュレアー2とは? わかりやすく解説

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マスキュレアー2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/16 05:49 UTC 版)

マスキュレアー2
(Musculair2)


  1. ^ イギリスの実業家ヘンリー・クレーマーによって1959年に創始された人力飛行機の懸賞競技、クレーマー賞(en:Kremer prize)の一つ。クレーマー賞は現在、王立航空協会(Royal Aeronautical Society)により管理されている。クレーマー・速度世界記録賞は人力飛行機による速度の世界記録のために1983年に設定され、1986年に打ち切られるまでに5回獲得された。平地からの自力発進により離陸し、1500mの三角形周回コースを3分以内に飛行することが最初の目標に設定され、最初の目標が達成された後は記録された速度を5%以上更新することを目標とする規定であった。(現在、国際航空連盟(FAI)により管理される人力飛行機(FAI Sub-class I-C)の閉回路速度記録は同様のコース設定で行われるが、記録の更新は1%以上で認められる。)三角形の周回コースは正三角形である必要はなく長い直線区間を持つ細長いコースを設定することも可能であった。また、機体にはエネルギー貯蓄装置の装備が認められており、飛行直前の10分間にパイロットによるエネルギー貯蓄が認められていた。クレーマー・速度世界記録賞を獲得した4機(5回の受賞のうち2回は同一の機体によるものである)のうち、マサチューセッツ工科大学(MIT)開発のモナークBおよびポール・マクレディ開発のバイオニック・バットはバッテリーとモーターから構成されるエネルギー貯蓄装置を搭載しており、純粋な人力飛行機はマスキュレアー1とマスキュレアー2のみであった(但し、バイオニック・バットは、エネルギー貯蓄装置を用いない純粋な人力飛行も可能であった)。
  2. ^ マスキュレアー2の軽量かつ高性能な機体構造はエリック・レイモンド(Eric Raymond)に大きな影響を与え、後に21回の飛行でアメリカ横断に成功したソーラープレーン「タンポポ号(Sunseeker-1)」に活かされた。
  3. ^ 翼端を持つ三次元翼で生じる渦で、単純には主翼の翼端を中心とし後方へ伸びる渦と見なせる。誘導抗力は翼端渦によって翼全体に生じる下向きの流れ成分によって生じるため、翼端渦と誘導抗力には密接な関係があり、翼端渦を弱くすることで誘導抗力を低減することができる。翼端渦は翼上下面の圧力差により生じるので、翼の圧力分布(便宜的に揚力分布)を工夫することで低減が可能であり、誘導抗力の低減のために前述のアスペクト比の増大を始め、翼平面形や翼型、そして翼端部形状の最適化が図られる。 実用機も同様の原理で飛行する以上、翼端渦の低減は課題の一つであり、特に近年は燃料費の高騰などもあり、低抵抗化することで燃費向上を狙いウィングレットなど翼端部に翼端渦低減機構を持った旅客機が多数見られるようになった。人力飛行機においては解析の難しさに加えて、構造や重量の問題からウィングレットのような見た目に分かりやすい工夫は少ない。
  4. ^ マスキュレアー1でも主翼の捻れ問題解決のため、捻れ剛性を向上させる目的で炭素繊維ロービングにより上面外皮-桁-下面外皮を連結するという改修が行われた。
  5. ^ マスキュレアー2の主翼翼型にも採用されている層流翼型に分類される翼型は一般に形状によって巧みに翼表面の圧力分布を制御することで翼表面の境界層の乱流遷移位置を後退させ、層流境界層領域を長く保つことで低抵抗化を図っている。そのため、層流翼型は設計形状からの実体形状のずれに対して敏感な特性を持ち、形状の誤差により抗力の増大を生じやすい。人力飛行機は人力という限られた出力で飛行するために低抵抗化が欠かせず、マスキュレアー(採用翼型:FX76MPシリーズ)に限らず、飛行距離、飛行時間の両世界記録を樹立したダイダロス(採用翼型:DAEシリーズ)、日本初の人力飛行に成功した日本大学のリネット1(採用翼型:NACA633-1218)など、多くの人力飛行機で層流翼型が採用されている。翼型の抗力を増大させる乱流への遷移は、翼表面に付着したゴミや朝露などによる水滴のような局所的で小さな物であっても生じる可能性が十分にある。そのため、人力飛行機の飛行前にはこのような翼表面のゴミや水滴の除去し、翼型本来の性能を引き出すために、翼表面のふき取りが行われる。
  6. ^ 最低速度はマスキュレアー1が7.5m/sであるのに対し、マスキュレアー2では10m/s。最低出力はマスキュレアー1の200W(機速8m/s時)に対し、マスキュレアー2は250W(機速10m/s時)
  7. ^ a b ドイツの現存する最古の飛行場。前述のシュライスハイム航空館に隣接する。
  8. ^ アメリカのハンググライダーパイロット、アマチュア自転車選手。ポール・マクレディが開発した人力飛行機のパイロットを多く務め、ゴッサマー・コンドルによる最初のクレーマー賞である8の字飛行賞、ゴッサマー・アルバトロスによる英仏海峡横断賞、そしてバイオニック・バットによる速度世界記録賞と3つのクレーマー賞の獲得に貢献した。1985年には人力飛行船、ホワイトドワーフ(White Dwarf)による飛行距離と滞空時間の世界記録を樹立した。
  9. ^ 1992年に開館したドイツ博物館最初の分館。建屋は元々、前述のシュライスハイム飛行場[解説 7]の整備格納庫だった。


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マスキュレアー2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 03:27 UTC 版)

人力飛行機」の記事における「マスキュレアー2」の解説

グンター・ローヘルト開発速度記録更新のために開発されたマスキュレアーの後継機クレーマー世界速度記録最終獲得機。閉回路飛行速度世界記録保持機。

※この「マスキュレアー2」の解説は、「人力飛行機」の解説の一部です。
「マスキュレアー2」を含む「人力飛行機」の記事については、「人力飛行機」の概要を参照ください。

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