フィルム・コミッションとは? わかりやすく解説

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フィルム・コミッション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/26 21:38 UTC 版)

フィルム・コミッションFilm Commission、略称:FC)とは、地域活性化を目的として、映像作品のロケーション撮影が円滑に行われるための支援を行う公的団体である[1]。具体的にはロケ撮影に際して、映像制作者と地域社会(自治体、施設所有者など)との間にフィルム・コミッションが入り、各種連絡・交渉などの調整係の役割を果たす[2]。映像作品は撮影時や上映による経済効果が大きいため、フィルム・コミッションが映像作品の誘致活動などを積極的に行うこともある。


注釈

  1. ^ 宇宙を舞台としたコメディ映画『ギャラクシー街道』(2015年、三谷幸喜監督)[9]。実写作品ではあるが、舞台が宇宙となっており、全編がセット撮影とアニメーションの組み合わせで、ロケは実施されなかった。そのため、そもそもフィルム・コミッションの支援を受ける必要がなかったという、若干特殊な作品である。
  2. ^ 施設利用料等は除く。
  3. ^ a b c 北九州フィルムコミッションも自らを「日本初のフィルム・コミッション」と謳っているが[12]、組織として設立されたのは大阪のほうが7ヶ月早い。
  4. ^ a b 日本の関係の所管機関(警察など)に申請しない状態で、路上などの施設で撮影を行うこと。
  5. ^ 大阪を舞台とした映画『ブラック・レイン』が1989年公開である。北九州市の映像支援の取り組みは、偶然にも『ブラック・レイン』の大阪ロケでフィルム・コミッションの不在により様々なトラブルが起きたのとほぼ同時期に開始されたことになる。
  6. ^ IMDBの撮影地情報ならびにDVD・ブルーレイ収録情報による。
  7. ^ 日本語字幕は誤って「契約は2ヶ月間だ」と訳されているが、英語ではリドリー・スコットが「We had a deal for this with two months」と語っており、「市場における2日間の撮影期間を確保するための交渉に2ヶ月間もかけたのに、その条件を市場側に反故にされて、2日間の撮影期間を1日間に短縮された」というのが正しい日本語訳である。ハリウッド制作側の怒りは、妥当な理由も明示せずに後付で一方的に撮影条件を変更した挙げ句に、撮影の延長のために法外な保証金を要求した大阪の市場の態度に対するものである。
  8. ^ リドリー・スコットは日本文化に関心が高く、日本人の女性メイドまで雇用していた[27]。リドリー・スコットが監督を務めたSF映画『ブレードランナー』(1982年)に、日本をモチーフにした近未来像が多数出現するのは、このためである。
  9. ^ 『ブラック・レイン』では、これらの交渉を全てハリウッド側のスタッフが個別に行った結果、様々なトラブルが発生したと見られる。『ブラック・レイン』DVD・ブルーレイのリドリー・スコットのオーディオコメンタリーでは、プロデューサーのスタンリー・R・ジャッフェが大阪市中央卸売市場側の対応に激怒したことが説明されている。
  10. ^ 石原慎太郎の指摘[7]が、まさにこのことを指している。
  11. ^ この問題は、『ブラック・レイン』の撮影時に大阪市中央卸売市場とのトラブルが発生した1988年からそれほど変わっていない。
  12. ^ 近年、中国、インド、タイ、フィリピンなど、これまで想定されなかった国が日本ロケを行うことが増えている。これらの国の作品は、全世界での上映を前提としているアメリカのハリウッド作品とは異なり、著作権や配給会社などの関係で、日本ではソフトが配給されないケースが多い。
  13. ^ 補助金額は『僕はチャイナタウンの名探偵3』が4800万円、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』が9600万円(いずれも消費税別)[31]
  14. ^ 日本におけるフィルム・コミッション組織化のさきがけであり、1989年に北九州フィルムコミッションの前身である「北九州市広報室イメージアップ班」を日本で最初に設立した[12]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l ジャパン・フィルムコミッション (2020年12月15日). “【資料4】フィルムコミッションの活動について”. スポーツ庁 地域スポーツ振興組織の在り方検討会(第2回)配付資料(2020年12月15日開催). スポーツ庁. 2021年3月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m アメリカで広がる映像製作に対する公的支援”.  日本政策投資銀行ニューヨーク駐在員事務所. 2021年1月5日閲覧。
  3. ^ a b c 増淵敏之, 映画によるまちづくりの現状と今後の展望 月刊地域づくり 第293号, 2015年11月(Internet Archive、2013年11月6日) - https://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/book/monthly/1311/html/f00.htm
  4. ^ ジャパン・フィルムコミッション. “概要|ジャパン・フィルムコミッション”. ジャパン・フィルムコミッション. ジャパン・フィルムコミッション. 2021年3月23日閲覧。
  5. ^ a b 共同通信TVfanWeb【映画コラム】『県庁おもてなし課』をはじめ“ご当地映画”が続々登場(2013-05-11) - ウェブアーカイブInternet Archive、2013年8月9日)
  6. ^ a b c d e f g h i j 自治体国際化協会 (2012年7月15日). “自治体国際化フォーラム286号(2013年8月) 特集 フィルムコミッション”. 自治体国際化協会. 自治体国際化協会. 2014年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月21日閲覧。
  7. ^ a b c d e 石原慎太郎 (2001年(公開日不詳)). “支援策 東京ロケーションボックス 東京を世界のシネマスクリーンに”. 宣戦布告 NETで発信石原慎太郎. 石原慎太郎. 2021年3月21日閲覧。
  8. ^ 地域と映像業界、共栄へ=関根留理子 ジャパン・フィルムコミッション事務局長 毎日新聞 2021年1月7日付 - ウェブアーカイブInternet Archive、2021年1月8日)
  9. ^ a b c d ジャパン・フィルム・コミッション (2017年8月2日). “首相官邸 ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議 第1回会議資料 日本国内におけるロケ撮影の現状と課題”. 首相官邸 ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議. 2021年3月22日閲覧。
  10. ^ a b c d e f 杉本穂高 (2021年3月18日). “銀座でカーチェイスも?東京であらゆる映画が撮れる時代がやってくる”. シネマズプラス. 株式会社フォンテーン・株式会社ギークピクチュアズ. 2021年3月21日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n 産経新聞社 (2016年6月1日). “【けいざい徒然草】 「ブラック・レイン」の汚名返上なるか?福山主演のJ・ウー最新作で問われる大阪ロケの「おもてなし」度”. 産経WEST. 産経新聞社. 2021年3月16日閲覧。
  12. ^ a b c d 北九州フィルムコミッション (2017年(公表日不詳)). “KFCとは?|北九州フィルムコミッション”. 北九州フィルムコミッション. 北九州フィルムコミッション. 2021年3月23日閲覧。
  13. ^ a b c 大阪フィルム・カウンシル. “メッセージ|大阪フィルム・カウンシルとは|大阪フィルム・カウンシル”. 公益財団法人大阪観光局. 2021年3月17日閲覧。
  14. ^ 神戸フィルムオフィス. “神戸フイルムオフィスとは|KOBE FILM OFFICE”. 神戸フィルムオフィス. 神戸フィルムオフィス. 2021年3月23日閲覧。
  15. ^ 横浜市 (2019年3月20日). “フィルムコミッションについて”. 横浜市. 横浜市. 2021年3月23日閲覧。
  16. ^ a b c 石田真一 (2001年4月20日). “東京・銀座でカーチェイス---都庁内ロケボックスで撮影許可を”. Response.. 株式会社イード. 2021年3月21日閲覧。
  17. ^ a b Cinematopics (2000年11月5日). “銀座でカーチェイスを!”. Cinematopics. Cinematopics online. 2021年3月21日閲覧。
  18. ^ a b フロントロウ編集部 (2020年7月26日). “『ワイスピ TOKYO DRIFT』の日本ロケはゲリラ撮影だった! 撮影直後に監督が逮捕!?”. フロントロウ. 株式会社オウトグラフ・プロダクション. 2021年3月21日閲覧。
  19. ^ a b c d 首相官邸. “ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議”. 首相官邸. 首相官邸. 2021年3月22日閲覧。
  20. ^ a b “NHK・ETV特集 『忘れられた“ひろしま”』”. 長周新聞 (長周新聞社). (2019年8月22日). オリジナルの2020年8月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200806220655/https://www.chosyu-journal.jp/review/12860 2022年9月25日閲覧。 
  21. ^ 内閣府政策統括官室(経済財政分析担当) (2007年11月30日). “地域の経済2007 ~自立を目指す地域経済~”. 内閣府. 内閣府. 2021年3月21日閲覧。
  22. ^ 地域の経済2007 > 第3章 第5節 ケーススタディ1:「映画の街」尾道”. 内閣府の政策 > 経済財政政策 > 白書等(経済財政白書、世界経済の潮流、地域の経済等) > 白書等(過去のデータ) >. 内閣府 (2020年12月15日). 2011年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月25日閲覧。
  23. ^ a b c 「1980年代日本映画BEST15」『キネマ旬報』、キネマ旬報社、2019年1月上旬号、57頁。 
  24. ^ “春秋”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2020年4月12日). オリジナルの2021年1月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210119140507/https://www.nikkei.com/article/DGXKZO57965620S0A410C2MM8000 2022年9月25日閲覧。 森田晃司 (2021年3月6日). “「映画のまち」魅力アップへ 尾道フィルムラボ発足”. 中国新聞デジタル (中国新聞社). オリジナルの2022年9月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220925062749/https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/89709 2022年9月25日閲覧。 嶋田知加子 (2022年7月31日). “「映画のまち」尾道 受け継がれる大林宣彦監督の遺志”. 産業経済新聞 (産業経済新聞社). オリジナルの2022年7月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220731051508/https://www.sankei.com/article/20220731-ZBDU3AUILBOATD6LAFKC27LVLM/ 2022年9月25日閲覧。 
  25. ^ a b c 永橋爲介、神谷雅子、宮西恵津 (2011-03-01). “2000年代におけるフィルム・コミッション論の検証” (日本語). 立命館産業社会論集 (立命館大学) 46 (4): 59. ISSN 02882205. https://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/assets/file/2010/46-4_02-04.pdf 2021年3月25日閲覧。. 
  26. ^ a b c 河三平 (2017年3月1日). “「映画の街・北九州」のロケ地を巡る <小倉・門司>篇”. たびらい. 株式会社パム. 2021年3月25日閲覧。
  27. ^ 高尾 慶子 (2001年2月9日), イギリス人はおかしい~日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔, 文藝春秋社, pp. 321, ISBN 978-4167123093 
  28. ^ “特集 ロケ誘致で地域を売り込め 設立相次ぐフィルム・コミッションの展望「インタビュー 市民のサポートで大阪を『映像の街』に」”. 石垣 (日本商工会議所) 21 (7). (2001-09-10). ISSN 03889807. https://www.jcci.or.jp/nissyo/publication/ishi0110.html. 
  29. ^ a b 国が海外映画作品の「ロケ誘致」に乗り出した理由 | 映画界のキーパーソンに直撃”. 東洋経済オンライン (2021年10月24日). 2021年10月24日閲覧。
  30. ^ Simon Reynolds (2009年10月4日). “'F&F' director got man arrested in Tokyo”. Digital Spy. Hearst UK Entertainment Network. 2021年3月16日閲覧。
  31. ^ a b クオラス (2020年3月1日). “地域経済の振興等に資する外国映像作品ロケ誘致に関する実証調査 実施報告書”. 首相官邸 ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議 第5回会合. 2021年3月16日閲覧。




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