ファイノン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 19:44 UTC 版)
ファイノン[1]またはパイノン[2]、パイノーン[3][4][5](古希: Φαίνων Phaínōn 羅: Phaenōn)は、古代ギリシア・ローマにおける土星(または木星)の呼称の一つ。「輝く者」[3][4]「自らを指し示す者」[1]を意味する。
解説
ヘレニズム期以降、惑星には「科学名」(見た目による名前)と「神話名」(神々の名前)があった[1]。
例えばキケロ[3]やプルタルコス[2][4][5]によれば、土星の科学名は「ファイノン」、土星の神話名は「サトゥルヌス」「クロノス」[1]。木星の科学名は「ファエトン」(パエトーン、光り輝く者)、木星の神話名は「ユピテル」「ゼウス」だった[1]。
一方ヒュギヌス[6]によれば、「ファイノン」は木星の神話名だった。ファイノンはプロメテウスが創造した人類の一人であり、美男子だった[6]。プロメテウスは、人類をユピテルに渡したが、ファイノンだけ自分のもとに置こうとした[6]。クピドがこのことをユピテルに報告すると、ユピテルはメルクリウスをファイノンのもとに送り、ファイノンを神にして天に昇らせた[6]。
脚注
- ^ a b c d e 藤村シシン『秘密の古代ギリシャ、あるいは古代魔術史』KADOKAWA、2024年。ISBN 9784046053985。220頁。
- ^ a b プルタルコス著、戸塚七郎 訳「『ティマイオス』における魂の生成について」『モラリア 13』京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、1997年。ISBN 9784876981069。112頁。
- ^ a b c キケロー 著、山下太郎 訳『神々の本性について』『キケロー選集 11』岩波書店、2000年。ISBN 9784000922616。120頁。
- ^ a b c プルタルコス著、三浦要 訳「月面に見える顔について」『モラリア 12』京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2018年。ISBN 9784814000982。88頁。
- ^ a b プルタルコス著、三浦要 訳「哲学者たちの自然学説誌」『モラリア 11』京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2004年。ISBN 9784876981526。72頁。
- ^ a b c d “Hyginus, Astronomica” (英語). topostext.org. 2025年11月1日閲覧。
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