パッケージ (電子部品)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/21 18:24 UTC 版)
電子部品のパッケージ(外周器:がいしゅうき)とは、電気製品を構成する個別部品の外形を構成する部分であり、通常は小さな電子部品を包む合成樹脂や金属、セラミックを指す。
注釈
- ^ 高機能なデジタル半導体の多くが良好な放熱を必要としており、それらのパッケージは多数の接続端子を備えたりヒートスプレッダを内蔵したりして、放熱特性の向上が図られている。また、電力制御用の半導体素子や高輝度照明用LED素子などでは、放熱板への取り付けを前提としたねじ穴や切り欠きが備わっている。
- ^ はんだに含まれる鉛が環境問題となるため鉛フリーはんだが求められ、その他の電子部品特有の有害物質も排除や削減が求められている。
- ^ 特殊な課題としては、微細化したデジタル半導体の中にはパッケージ中の放射性物質から放射される中性子によってソフトエラーを起こすため、この削減のためにパッケージ材料の純度を上げることで放射性物質の排除が求められる。
- ^ 例えば表面実装用アルミ電解コンデンサは、挿入用のアルミ電解コンデンサのリードを短く切って断面が平たくなるように潰し、台座に通してリードを内側に曲げたものが一般的である。
- ^ トランジスタなどで鉄製の端子が使われることもあった。
- ^ このため、放熱器を取り付けるときは絶縁する必要があり、各パッケージ用の絶縁シートが市販されている。
- ^ 金属缶パッケージと同様に絶縁の必要があるが、放熱性を犠牲にして金属板をプラスチックで覆って絶縁してあるものもあり、これはフルモールド型という。
- ^ タンタル電解コンデンサやマイカコンデンサ等のパッケージにも「ディップ」と呼ばれるものがあるが、これは樹脂に「漬けた(dip)」パッケージという意味で、ICのDIPパッケージとは全く関係ない。また、半導体のDIPと同じような形状の「DIPスイッチ」(ディップスイッチ)というものがあるが、こちらは半導体パッケージのDIPに由来する。
- ^ 過去には"DIL"とも呼ばれたことがあり、その外形から今でも俗称として「ムカデ」や「ゲジゲジ」と呼ばれる。
- ^ 一般にTTLと呼ばれるDIP形状の半導体製品の端子間隔は、米国の軍用規格に由来する"mil"(ミル)と呼ばれる1000分の1インチの長さを基準に定められた経緯があり、一般的なDIPでの最小端子間隔は100mil=2.54mm、2列の間隔は300mil=7.62mmであった。21世紀の今日ではデジタル半導体の接続端子数が増え、基板上での占有面積を小さくするためにピン間隔は狭くなる傾向がある。ピン間隔が2.54mmというデジタル半導体のパッケージは試作用途を除いて徐々に市場から姿を消しつつある。
- ^ パッドを上面や底面に出したトップブレイズドDIP、ボトムブレイズドDIPも存在するが、現在では非常にまれな存在である。
- ^ C-DIPと表現されている場合、ほとんどがセラミック・ディップではなくサー・ディップである。
- ^ パッケージ素材としてのセラミックはプラスチックに比べて、今でも放熱性が求められる製品で使用されることが多い。DIP形状でセラミックの使用割合が減っているのは、8~20ピン前後のICの多くがあまり発熱しない傾向があるためと考えられる。
- ^ P-DIPが登場してもしばらくは、Cer-DIPがEEPROMの消去用紫外線を透過させる石英ガラス窓を上面に設けたものでは、一般的なパッケージだった。
- ^ 素材がプラスチックでは出荷後の使用環境が高湿度であれば内部にゆっくりと水分が浸透するため、出荷後1年から数年ほどで内部の金属が腐食して機能しなくなることがある。このため高コストをいとわず高信頼性を求める製品ではセラミック素材が選ばれる。
- ^ DIPに限らずセラミックのパッケージではダイを強固にセラミック上に固着させると温度変化によって膨張・縮小した時に互いの膨張係数が大きく異なるためにダイが断裂する場合がある。これはCSPでも強固なサブストレートに固着させると同様であり、対策としてこれらの間には銅や高分子化合物などの緩衝材を入れて温度変化による変形を受け止めるようになっている。
- ^ MIL規格では「0.1インチ = 2.54mm = 100MIL」を長さの基本単位としていたため、21世紀に入って広がっている微小な表面実装用部品でのミリ単位の基準を除けば、デジタルICでの尺度の多くに今でもこの2.54mmの基準が残っている。
- ^ DIPと同様、発熱の大きい用途には放熱性が優れるCPGAが使用されていたが、後にPPGAやFC-PGAにヒートスプレッダと呼ばれる金属製の導熱板が付くようになり、放熱性におけるCPGAの優位性は薄れた。コスト的にもCPGAは不利であったため、現在ではCPGAはあまり使われなくなったがAMDは2011年現在もSocket_AM3などにPGAを使用している
- ^ ピン挿入型では不可能だった部品の両面実装が可能であり、それだけでも実装密度が向上する。さらに部品とそれを載せる基板上のはんだランドが小さいため、基板上の占有面積(フットプリント)が小さくできる。一般に基板のコストは配線層数と面積に比例するため、表面実装は基板コストを削減し、さらに筐体コストのような他のコスト削減にも寄与する。また、部品や接続端子の小型化や配線長の短縮は高周波回路における動作特性の向上に寄与する。一方、実装の過密化や配線幅の細線化が進むと、発熱の問題から特に高消費電力の部品の実装が難しくなり、適切な設計をしなければ部品の寿命を縮め製品不良の原因となる。また、回路故障時の修理や部品交換が難しくなる。
- ^ DRAMでLOCが一般的になったのは、16MBの世代からである。
- ^ トレイの移し替え時には、専用のエアーピンセットを使用してパッケージ本体上面だけで吸い上げるが、それでも曲げてしまうことがある。
- ^ LQFPは1.4mm程度、TQFPは1.0mm程度の厚みとなり、HQFPでは元のQFPと同等かより厚い3mm強となる。LQFP、TQFP、HQFPのリードピッチには 0.4、0.5、0.65mm や中には0.80mm のものなどいくつか存在する。
- ^ 近年は、DFNパッケージの4辺に端子を持つタイプのものが新たにQFNと呼ばれるようになっている。
- ^ TCPは基本的にフリップチップで、シリコンとヒートシンクを直接密着させた最初のパッケージ形態である。
- ^ 例外的にLLPと同じ構造の場合もある。
- ^ インテルが開発したBBUL(Bumpless build-up layer)は、それまでのC4のバンプ接続層を省略して、ダイをサブストレート基板に直接装着するパッケージである。これで接続端子の高密度化、20 GHz以上の導通が可能な低インダクタンス、1 mm厚のサブストレートを実現した。
- ^ MCP/MCMの1種に、以前からハイブリッドICと呼ばれるものがある。ハイブリッドICではICチップや多数の個別部品を基板上に実装してカバーで覆ったものであり、古典的なSiPともいえる電子部品である。また、フレキシブル基板をサブストレートとして使用して、2個や3個、又はそれ以上のダイを実装して折り畳むことでCSPに近いサイズのMCMとするものもある。この方式では折り畳む前に信号接続が可能なのでKGDの検査が行え、パッケージ完成前に不良品の交換が可能になる。
- ^ インターポーザーは非常に薄いプリント基板を極めて多数重ね合わせてある、周辺LSIとの接続性を確保する配線でもある。米intelのLGA2011用インターポーザーは重ね合わせてあるプリント基板を剥して1枚1枚並べるとテニスコート1面分にも及ぶ広大かつ複雑な回路になっている。
出典
- ^ 「システムLSIのできるまで」編集委員会編著、『システムLSIのできるまで』、日刊工業新聞社、2002年12月10日初版発行、ISBN 4526050482
- ^ a b c 菊池正典著 『半導体のすべて』、日本実業出版社、2006年8月10日初版発行、ISBN 4534041098、166-168頁
- ^ a b c 沼倉研史、E. Jan Vardaman著 『半導体パッケージのできるまで』、日刊工業新聞社、2005年12月12日初版1刷発行、ISBN 4526055581
- ^ a b Apple採用で業界騒然、FOWLP本格量産へ
- ^ 水野文夫、鷹野致和著 『半導体がわかる本』 オーム社 2006年6月20日第1版第1刷発行 ISBN 4274202534
- ^ 菊地正典監修 『半導体製造装置』 日本実業出版社 2007年4月20日初版発行 ISBN 9784534042170
- ^ 日経エレクトロニクス 2007年11月26日号 増刊「半導体パッケージ 各社独自名称が乱立, 整理して間違いを防ぐ」 p.129-p.139
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