パイ中間子のパリティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 21:26 UTC 版)
「パリティ (物理学)」の記事における「パイ中間子のパリティ」の解説
1954年、William Chinowskyおよびジャック・シュタインバーガーは、パイ中間子は負のパリティを持つことを実証した。 彼らは、一つの重水素原子核 (d) および負の電荷のパイ中間子 (π–) から構成されているゼロ軌道角運動量 L = 0 状態にある"原子"が二つの中性子 (n) に崩壊する現象を解析した。中性子はフェルミオンであり、フェルミ統計に従う。このことは反応の最終状態は中性子の入れ替えに対して反対称であることを意味する。重水素はスピン1でパイ中間子はスピン0であること、終状態が中性子の入れ替えに対して反対称であることを用いて、彼らは二つの中性子系の軌道角運動量 Lは 1 でなければならないと結論付けた。その全パリティは、その粒子の固有パリティ(intrinsic parity) と球面調和関数 (−1)L の外部パリティ (extrinsic parity) の積である。その軌道角運動量はこの過程で0から1に変化するため、もしその過程が全パリティを保存するなら、粒子の初期状態と最終状態固有パリティの積は逆符号でなくてはならない。重水素原子核は陽子と中性子から構成されており、前述の陽子および中性子の固有パリティは+1とする定義を用いると、パイ中間子のパリティは二つの中性子のパリティの積を重水素中の陽子と中性子のパリティで割った値のマイナス、(−1)(1)2/(1)2、すなわち-1であることが導かれる。このようにして、彼らはパイ中間子は擬スカラー粒子であると結論付けた。
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