ハルトークス現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/26 18:56 UTC 版)
「ハルトークスの拡張定理」の記事における「ハルトークス現象」の解説
一変数で成立するが多変数では成り立たない現象をハルトークス現象(Hartogs' phenomenon)という。この現象は、このハルトークスの拡張定理や正則領域の考え方、ひいては多変数複素函数論の発展を導いた。 2変数の場合を例にとり、 0 < ε < 1 {\displaystyle 0<\varepsilon <1} として、二重円板 Δ 2 = { z ∈ Z ; | z 1 | < 1 , | z 2 | < 1 } {\displaystyle \Delta ^{2}=\{z\in \mathbb {Z} ;|z_{1}|<1,|z_{2}|<1\}} の内部領域 H ε = { z = ( z 1 , z 2 ) ∈ Δ 2 : | z 1 | < ε or 1 − ε < | z 2 | } {\displaystyle H_{\varepsilon }=\{z=(z_{1},z_{2})\in \Delta ^{2}:|z_{1}|<\varepsilon \ \ {\text{or}}\ \ 1-\varepsilon <|z_{2}|\}} を考える。 定理 Hartogs (1906): H ε {\displaystyle H_{\varepsilon }} 上の任意の正則函数 f {\displaystyle f} は Δ 2 {\displaystyle \Delta ^{2}} へ解析接続される。すなわち、 Δ 2 {\displaystyle \Delta ^{2}} 上の正則函数 F {\displaystyle F} が存在し、 H ε {\displaystyle H_{\varepsilon }} 上で F = f {\displaystyle F=f} となる。 実際、コーシーの積分公式を使い、拡張された函数 F {\displaystyle F} 得ることができる。すべての正則函数は多重円板へ解析接続できて、多重円板はもとの正則函数が定義された領域よりも真に広くなる。このような現象は、一変数では決して起きない現象である。
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